13 / 35
12】スーパーにするか、はたまた。
しおりを挟む
12】スーパーにするか、はたまた。
(ぐぇっ……!)
今日は久々に満員電車の圧が強かった。身体は潰れるし、上半身と下半身の場所がバラバラだ。何とか電車を降りて会社に来たが、俺のHPは随分と削られている。誰か、回復魔法をかけて欲しい。
「おはよう、水野君」
「田中さん、おはようございます」
「そのペシャ顔、久しぶりに見たわ」
「もう満員電車が凄くて……」
よくあることだ。俺以外の社会人だって、皆経験すること。皆! 今日も1日頑張ろうな!
俺の様子見て、田中さんが言った。
「イケメンのいるお店のお弁当でも、今日は駄目だったのね」
「う゛っ……」
「あら、何? どうしたの?」
俺のあからさまにギクリとした様子に、田中さんが食い気味で聞いてくる。
「いや、別に? 何も無かったんですヨ……?」
「私、水野君が新人の頃から見てるのよ? それに結構水野君って分かりやすいから、隠しても無駄よ」
まるで刑事ドラマのようだ。うぅ゛っ……と顔をしかめるも、田中さんには効果が無い。こうなってしまえば、白状した方が早い。それに、俺も胸に残るモヤモヤを吐露したかった。
「笑わないで下さいよ?」
「笑わないわよ。で? お弁当屋さんで何かあったの? 凄い苦手のが入っていたとか?」
「弁当は美味しかったです。ちなみに野菜炒めでした」
俺の謎のモヤモヤはさておき、弁当については訂正しておかなければ。
「健康的でいいわね」
「はい」
「で?」
本題は? という圧に、うぅ゛っ……とまた違った意味で顔がペシャっとする。
「笑わないで下さいよ?」
「実は……」
小さな声で伝えたのに、田中さんが俺とは違った明るい表情で言った。
「え!? イケメンと話してたら、他のお客さんが入って来てビックリして逃げちゃったって!?」
「田中さん、声! 声が大きいですって! それに笑わないって言ったじゃないですか!」
あはは~! と笑った田中さん。どうやら、俺が思っている以上に悩まなくて良い問題らしい。ぐぬぬ。
「あ~~……朝から笑っちゃった。水野君、可愛すぎない?」
「俺は……真剣なんですよ」
「で? 今日はどうするの?」
「まだ朝ですよ?」
昨日の夜は、スーパーに行こうと思っていたのに。田中さんと話していたら、気にする必要なんか無かったのかと、今日もまた海野さんに会いに行っても良いのかなと思ってしまった。
「どう、元気出た?」
「出ました」
「じゃあ、今日も働くぞ~!」
「お、おー!」
(俺ってチョロいな~~)
*******
(ぐぇっ……!)
今日は久々に満員電車の圧が強かった。身体は潰れるし、上半身と下半身の場所がバラバラだ。何とか電車を降りて会社に来たが、俺のHPは随分と削られている。誰か、回復魔法をかけて欲しい。
「おはよう、水野君」
「田中さん、おはようございます」
「そのペシャ顔、久しぶりに見たわ」
「もう満員電車が凄くて……」
よくあることだ。俺以外の社会人だって、皆経験すること。皆! 今日も1日頑張ろうな!
俺の様子見て、田中さんが言った。
「イケメンのいるお店のお弁当でも、今日は駄目だったのね」
「う゛っ……」
「あら、何? どうしたの?」
俺のあからさまにギクリとした様子に、田中さんが食い気味で聞いてくる。
「いや、別に? 何も無かったんですヨ……?」
「私、水野君が新人の頃から見てるのよ? それに結構水野君って分かりやすいから、隠しても無駄よ」
まるで刑事ドラマのようだ。うぅ゛っ……と顔をしかめるも、田中さんには効果が無い。こうなってしまえば、白状した方が早い。それに、俺も胸に残るモヤモヤを吐露したかった。
「笑わないで下さいよ?」
「笑わないわよ。で? お弁当屋さんで何かあったの? 凄い苦手のが入っていたとか?」
「弁当は美味しかったです。ちなみに野菜炒めでした」
俺の謎のモヤモヤはさておき、弁当については訂正しておかなければ。
「健康的でいいわね」
「はい」
「で?」
本題は? という圧に、うぅ゛っ……とまた違った意味で顔がペシャっとする。
「笑わないで下さいよ?」
「実は……」
小さな声で伝えたのに、田中さんが俺とは違った明るい表情で言った。
「え!? イケメンと話してたら、他のお客さんが入って来てビックリして逃げちゃったって!?」
「田中さん、声! 声が大きいですって! それに笑わないって言ったじゃないですか!」
あはは~! と笑った田中さん。どうやら、俺が思っている以上に悩まなくて良い問題らしい。ぐぬぬ。
「あ~~……朝から笑っちゃった。水野君、可愛すぎない?」
「俺は……真剣なんですよ」
「で? 今日はどうするの?」
「まだ朝ですよ?」
昨日の夜は、スーパーに行こうと思っていたのに。田中さんと話していたら、気にする必要なんか無かったのかと、今日もまた海野さんに会いに行っても良いのかなと思ってしまった。
「どう、元気出た?」
「出ました」
「じゃあ、今日も働くぞ~!」
「お、おー!」
(俺ってチョロいな~~)
*******
140
あなたにおすすめの小説
学園の俺様と、辺境地の僕
そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ?
【全12話になります。よろしくお願いします。】
前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。
◆お友達の花々緒(https://x.com/cacaotic)さんが、表紙絵描いて下さりました。可愛いニャリスと、悩ましげなラクロア様。
◆これもいつか続きを書きたいです、猫の日にちょっとだけ続きを書いたのだけど、また直して投稿します。
災厄の魔導士と呼ばれた男は、転生後静かに暮らしたいので失業勇者を紐にしている場合ではない!
椿谷あずる
BL
かつて“災厄の魔導士”と呼ばれ恐れられたゼルファス・クロードは、転生後、平穏に暮らすことだけを望んでいた。
ある日、夜の森で倒れている銀髪の勇者、リアン・アルディナを見つける。かつて自分にとどめを刺した相手だが、今は仲間から見限られ孤独だった。
平穏を乱されたくないゼルファスだったが、森に現れた魔物の襲撃により、仕方なく勇者を連れ帰ることに。
天然でのんびりした勇者と、達観し皮肉屋の魔導士。
「……いや、回復したら帰れよ」「えーっ」
平穏には程遠い、なんかゆるっとした日常のおはなし。
初恋ミントラヴァーズ
卯藤ローレン
BL
私立の中高一貫校に通う八坂シオンは、乗り物酔いの激しい体質だ。
飛行機もバスも船も人力車もダメ、時々通学で使う電車でも酔う。
ある朝、学校の最寄り駅でしゃがみこんでいた彼は金髪の男子生徒に助けられる。
眼鏡をぶん投げていたため気がつかなかったし何なら存在自体も知らなかったのだが、それは学校一モテる男子、上森藍央だった(らしい)。
知り合いになれば不思議なもので、それまで面識がなかったことが嘘のように急速に距離を縮めるふたり。
藍央の優しいところに惹かれるシオンだけれど、優しいからこそその本心が掴みきれなくて。
でも想いは勝手に加速して……。
彩り豊かな学校生活と夏休みのイベントを通して、恋心は芽生え、弾んで、時にじれる。
果たしてふたりは、恋人になれるのか――?
/金髪顔整い×黒髪元気時々病弱/
じれたり悩んだりもするけれど、王道満載のウキウキハッピハッピハッピーBLです。
集まると『動物園』と称されるハイテンションな友人たちも登場して、基本騒がしい。
◆毎日2回更新。11時と20時◆
ギャルゲー主人公に狙われてます
一寸光陰
BL
前世の記憶がある秋人は、ここが前世に遊んでいたギャルゲームの世界だと気づく。
自分の役割は主人公の親友ポジ
ゲームファンの自分には特等席だと大喜びするが、、、
ちっちゃな婚約者に婚約破棄されたので気が触れた振りをして近衛騎士に告白してみた
風
BL
第3王子の俺(5歳)を振ったのは同じく5歳の隣国のお姫様。
「だって、お義兄様の方がずっと素敵なんですもの!」
俺は彼女を応援しつつ、ここぞとばかりに片思いの相手、近衛騎士のナハトに告白するのだった……。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる