【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華

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12】結局来てしまった

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12】結局来てしまった

 「お先に失礼します」

「お疲れ様~」

(今日の仕事も終わってしまった……!)

早い。時間が過ぎるのが早すぎる。
昨日までは、定時上りを意気込んでいたが、今日は少しくらい残業しても良い気分でいるくらいだ。だが、俺が今日する分の仕事は片付いてしまった。残業する理由が無い。(偉い。凄い。よく頑張ったぞ、俺)
長居するわけにもいかず、とりあえず会社を後にした。駅をプラついてみるが、どうしたものかと考える。先週の俺なら、すぐにスーパーに行って今日の晩御飯は~なんて思っていたのに。

(スーパーに行くべきか。それとも、また海野食堂に行くべきか……)

お店一つで、こんなに悩むとは。
スーパーの弁当も、美味しい物がある。数日前まで、俺の夕食だったわけだし。正直、昨日の後和時の悪さもあって、海野食堂へ行きづらいというのが本音だ。

(だってなぁ~~海野さん、最後俺の方見てたし)

俺が、視線も合わせず逃げるように出てきてしまったのが悪いのだけれど。

(んぁあ゛~~~~! どうすれば良いんだ)

田中さんは笑っていたが、思い出せば悩みだす。だが、同時に腹は空いてくるわけで。

『水野さん』

また脳裏に浮かんだのは、海野さんの顔。会いたい気持ちと、昨日のモヤモヤ。それから、ろくに顔を会わせずに出てきてしまったことを、謝りたくなった。

(店に行かないのは簡単だけど、美味しい弁当が食べづらくなるのは嫌だし)

(ええい! どうにでもなれ!)

重たい脚を動かして、どうにかこうにか海野食堂の前へと到着。人の行きかいは多く、俺が入るより先に、またお店からお客さんが弁当を買って出てきたのが見えた。

「お弁当買えて良かった」
「もうすぐ無くなりそうだったから、危なかったよね」

その言葉を聞けば、俺の足は急ぐわけで。

(俺の弁当!)

食いっぱぐれるわけにはいかないと、急いで店の扉を開けた。昨日ぶりの良い匂いが鼻孔に香る。

(くぅ~~、腹が一気に減って来る……!)

悩んでいたせいで空腹を感じていなかったのに、現金なものだ。だが、すぐにハッとする。何なら、この期に及んで海野さん以外の店員さんがいればなんて思ってしまった。だが、視界に入ったのは、ようやく慣れてきたイケメン。海野さんだ。

「水野さん! いらっしゃいませ」

あんまりにも海野さんが嬉しそうな顔をしている。パァァッ……と効果音が見えそうなほどの笑顔で俺を見ていて、思わず拍子抜けした。なんなら、イケメンなのに可愛いのでは? と思ってまった。

(俺一人が来るだけで、何で嬉しそうな顔してくれるんだろう)

******
お気に入りほか、有難うございます
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