【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華

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19】先客がいなくなったあと、ふと。

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19】先客がいなくなったあと、ふと。

 (う~ん。今日は何にしようか)

初めて店を訪れた時には、腹の虫が鳴るほどだったのに。今日は腹に余裕がある。クッキー美味しかったなと思いつつ。弁当が完売しない時間程度に少し運動しようと、他の店を見ながら海野食堂へと向かった。

「こんばんは」

ガラリと扉を開けると、今日は先客がいる。やはり女性客が多く、どの弁当にするか迷っている様子だった。(分かる。選ぶの迷うよな。)

「あ、こんばんは」

俺の姿を見ると、カウンターからニコリと海野さんが微笑んでくれる。相変わらず顔が良い。

(少し待った方が良さそうだ)

俺は静かにして、並んでいる弁当だけでもチェックしようとお客さんの中へ。並んだ弁当はどれも美味しそうで、中でも女性にも人気なのか「これにしよ!」と俺の目の前でハンバーグ弁当が選ばれていった。

「あ、私もじゃあハンバーグにしよう」
「私も!」

積まれていたハンバーグ弁当の段は、あっという間に低くなる。

「有難うございます。皆さん同じくハンバーグ弁当ですね。お会計1つ800円になります。袋はどうされますか?」

「「「あります」」」

三人とも嬉しそうに弁当を受け取って、店を出て行く。俺はまだ決められず、並ぶ弁当を眺めていた。そうしていれば、後からやってきた男性が、サッとハンバーグ弁当を手に取って会計を済ませて行った。ハンバーグ弁当、完売の瞬間である。

「有難うございました」

最後のハンバーグ弁当を買っていった男性もいなくなり、店には俺と海野さんだけになる。すると、先ほどのようにまた海野さんが笑った。

「今日は、結構迷ってるね」

昨日よりも砕けた感じの口調に、内心ドキッとしたが、平常心。

「あー……。実は今日、お昼にお菓子とか食べちゃって。何にしようか迷ってるんだ」

「そうなんだ。今日は野菜炒めは無いからなぁ……」

「でも全部美味しそうで迷うんだよ」

「そう? 嬉しいな」

「ぐっ……!」

「水野さん?」

思わず目を逸らせば、海野さんが不思議そうに俺を見た。いきなり顔を背けられれば、良い気はしないだろう。ごめん、海野さん。俺のイケメン耐性が低いばかりに。

「あ、ごめん。悪気はないんだ。ただ海野さん、顔が良いから刺激が強くて」

「顔が良い……?」

「イケメンってことだよ。女性のお客さんからも言われない?」

「まぁ、そう言ってくれるお客さんもいるけど、自分じゃそう思わないから……」

「俺もそういこと言ってみたいんですけど」

「水野さんも恰好良いよ」

「くぅ~。イケメンめ……!」

そんな会話をしていると、ふと昼間の話を思い出した。いわゆる恋バナ。

(海野さんに恋人って……)

どうして気になるんだろう? だとか。同時に思い出したチクリとした痛みが分からないまま。

「あの」

「うん?」

「海野さんて、か……彼女さんとか……いるの……?」

******
伸び悩みなので、早めに終わらせるつもりですが、途中で別のを始めるかもしれません><
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