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【高校編】分岐・山ノ内瑛
おめでとう
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結局のところ、私はただのコムスメなんだよなぁ……と実感したのは、校則の改革の件で。
「敦子さんの鶴の一声なんだもんなぁ」
家のリビングでぶうぶう言ってると、シュリちゃんに小突かれた。
「いたっ」
「目的が達成できたんだから御の字じゃないの。何か文句あんの?」
「……ないです」
おでこを両手でおさえながら、私はそう答えた。
校則の改革、OG会の強烈な反対を押し切ったのは「時代です」っていう敦子さんのひとこと、だった。
「さすがにあのBBA共も常盤コンツェルン総帥には逆らえなかったみたいねぇ」
「権力う」
まぁそれに助けられてるっていうか、権力傘にきてるのは私なんだけれど。
(悪役令嬢感、はんぱない)
そんな感じの11月半ば、学校へ行って、私はこっそりバスケ部の朝練を眺める。
(まさか生徒会室がこんなに眺めが良かったなんて)
ふふふ、と役得役得、と呟いた。
生徒会室の窓からは、グラウンドが見渡せる。
さすがに体育館は無理だけど、こうやって外練してるのをこっそり見るのは可能なのでした!
(あー、走ってる)
アキラくんはめっきり寒いのに、暑いのか上ジャージ脱いで友達と騒ぎながら走ってるみたいだった。グラウンド何周くらいするのかなぁ。
「ぼ、望遠鏡買おうかな」
「星でも見るのか?」
背後からのツッコミに振り返ると、そこには樹くんが苦笑して立っていた。
「あ、えへへ、おはよー」
「山ノ内か」
「うん」
あー、なんかアレだな、ストーカーチックだとか思われてそうですよ?
「樹くんはどうしたの」
ごまかすようにそう聞くと、生徒会長の机からノートを取り出す。
「少し議題をまとめておこうかと」
「……忙しいよね?」
樹くんはかたをすくめる。
「大したことはないさ」
「そうかなぁ」
部活に勉強に、生徒会。
「それはそうとして、例の校則の件。良かったな」
「あ、うん」
私は頷いた。
「おかげさまで、だよ」
「? 俺はなにも」
「静子さんも加勢してくれたみたいだから」
静子さんは、樹くんのおばあちゃん。やっぱり青百合の卒業生で、発言力は相当強かった。
そう言うと、樹くんは苦笑した。
「あの人はそもそも縛られるのが嫌いなんだ」
「ぽいよね」
「それも含めて、おめでとう、だな、華」
「?」
聞き返そうとしたとき、予鈴が鳴る。私たちは並んで生徒会室を出た。
クラスに着くと、同じクラスの大村さんにも「おめでとー」と朝から言われる。
「? ありがとう?」
校則の件、もう広まってるのかな? 委員会からの公式発表はまだなんだけれど。
「あれ、なにその反応。別件だと思ってるねこれ」
「別件ん?」
「職員室前行ってみな~」
言われるがままに、というか半ば引きずられるように来た、そこには。
「あ」
「実力テスト、ついに1番とったね~」
目の下にクマつくった甲斐あったじゃん、と頬を(なぜだか)つねられた。
(うわぁ)
思わず立ちすくむ。うわー、そうか、学年……っていっても理系で一位。うわぁ。
「う、嬉しい……」
「古典は相変わらず酷いねー」
「う」
「でもそれ補って総合一位か」
おめでとう、と言われてやっと私はゆっくり頷く。死ぬほど勉強したかいがあったよー……。
と、二人で廊下を離れようとしたとき。
「よくもまぁ、恥ずかしくないわね設楽華ッ!」
「あ、出た」
横で大村さんが舌打ちしながら呟く。視線の先には(当たり前のように)桜澤青花。
「あたし慣れてきたわ、コイツが現れるの」
「いや、慣れないでよ~」
こっそりとそんな会話をする。
仁王立ちしている青花はふん! と鼻息荒く私を睨みつける。
「こうも毎回毎回、不正で上位をとって! しかも今回は恥知らずにも一位にしてもらったの!?」
騒ぐ青花を横目に、私はため息をついて大村さんにこっそり言う。
「実はさ」
「なに?」
「最近気がついたんだけど」
「うん」
「やっぱりさ、無視がいちばんいいのかも」
大村さんはきょとん、としてそれから笑った。
「そだね」
私たちは踵を返して、廊下を反対側に走り出した。
「あ、待ちなさいっ、正々堂々とっ」
青花の叫び声が聞こえるけど、もー知らない!
あそこにはたくさん生徒がいたし、もしかしたらまた変な噂とかになっちゃうかもだけど、もう気にしたりなんかしない。
(だって忙しいんだもん)
あんな変な子、構ってる暇なんかないんだ。
だから、私は知らなかった。
青花がどんな顔で私をみていたか。
なにをしようとしていたのか。
何も、気がつかなかったんだ。
「敦子さんの鶴の一声なんだもんなぁ」
家のリビングでぶうぶう言ってると、シュリちゃんに小突かれた。
「いたっ」
「目的が達成できたんだから御の字じゃないの。何か文句あんの?」
「……ないです」
おでこを両手でおさえながら、私はそう答えた。
校則の改革、OG会の強烈な反対を押し切ったのは「時代です」っていう敦子さんのひとこと、だった。
「さすがにあのBBA共も常盤コンツェルン総帥には逆らえなかったみたいねぇ」
「権力う」
まぁそれに助けられてるっていうか、権力傘にきてるのは私なんだけれど。
(悪役令嬢感、はんぱない)
そんな感じの11月半ば、学校へ行って、私はこっそりバスケ部の朝練を眺める。
(まさか生徒会室がこんなに眺めが良かったなんて)
ふふふ、と役得役得、と呟いた。
生徒会室の窓からは、グラウンドが見渡せる。
さすがに体育館は無理だけど、こうやって外練してるのをこっそり見るのは可能なのでした!
(あー、走ってる)
アキラくんはめっきり寒いのに、暑いのか上ジャージ脱いで友達と騒ぎながら走ってるみたいだった。グラウンド何周くらいするのかなぁ。
「ぼ、望遠鏡買おうかな」
「星でも見るのか?」
背後からのツッコミに振り返ると、そこには樹くんが苦笑して立っていた。
「あ、えへへ、おはよー」
「山ノ内か」
「うん」
あー、なんかアレだな、ストーカーチックだとか思われてそうですよ?
「樹くんはどうしたの」
ごまかすようにそう聞くと、生徒会長の机からノートを取り出す。
「少し議題をまとめておこうかと」
「……忙しいよね?」
樹くんはかたをすくめる。
「大したことはないさ」
「そうかなぁ」
部活に勉強に、生徒会。
「それはそうとして、例の校則の件。良かったな」
「あ、うん」
私は頷いた。
「おかげさまで、だよ」
「? 俺はなにも」
「静子さんも加勢してくれたみたいだから」
静子さんは、樹くんのおばあちゃん。やっぱり青百合の卒業生で、発言力は相当強かった。
そう言うと、樹くんは苦笑した。
「あの人はそもそも縛られるのが嫌いなんだ」
「ぽいよね」
「それも含めて、おめでとう、だな、華」
「?」
聞き返そうとしたとき、予鈴が鳴る。私たちは並んで生徒会室を出た。
クラスに着くと、同じクラスの大村さんにも「おめでとー」と朝から言われる。
「? ありがとう?」
校則の件、もう広まってるのかな? 委員会からの公式発表はまだなんだけれど。
「あれ、なにその反応。別件だと思ってるねこれ」
「別件ん?」
「職員室前行ってみな~」
言われるがままに、というか半ば引きずられるように来た、そこには。
「あ」
「実力テスト、ついに1番とったね~」
目の下にクマつくった甲斐あったじゃん、と頬を(なぜだか)つねられた。
(うわぁ)
思わず立ちすくむ。うわー、そうか、学年……っていっても理系で一位。うわぁ。
「う、嬉しい……」
「古典は相変わらず酷いねー」
「う」
「でもそれ補って総合一位か」
おめでとう、と言われてやっと私はゆっくり頷く。死ぬほど勉強したかいがあったよー……。
と、二人で廊下を離れようとしたとき。
「よくもまぁ、恥ずかしくないわね設楽華ッ!」
「あ、出た」
横で大村さんが舌打ちしながら呟く。視線の先には(当たり前のように)桜澤青花。
「あたし慣れてきたわ、コイツが現れるの」
「いや、慣れないでよ~」
こっそりとそんな会話をする。
仁王立ちしている青花はふん! と鼻息荒く私を睨みつける。
「こうも毎回毎回、不正で上位をとって! しかも今回は恥知らずにも一位にしてもらったの!?」
騒ぐ青花を横目に、私はため息をついて大村さんにこっそり言う。
「実はさ」
「なに?」
「最近気がついたんだけど」
「うん」
「やっぱりさ、無視がいちばんいいのかも」
大村さんはきょとん、としてそれから笑った。
「そだね」
私たちは踵を返して、廊下を反対側に走り出した。
「あ、待ちなさいっ、正々堂々とっ」
青花の叫び声が聞こえるけど、もー知らない!
あそこにはたくさん生徒がいたし、もしかしたらまた変な噂とかになっちゃうかもだけど、もう気にしたりなんかしない。
(だって忙しいんだもん)
あんな変な子、構ってる暇なんかないんだ。
だから、私は知らなかった。
青花がどんな顔で私をみていたか。
なにをしようとしていたのか。
何も、気がつかなかったんだ。
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