お月様とオオカミのぼく

いもり〜ぬ(いもいもぶーにゃん)

文字の大きさ
2 / 3

🐺🐺

しおりを挟む


 そして、あれから何年か経ち…。


 ある日の雲一つない澄みわたった夜空にぽっかり浮かぶ大きな満月。その下に広がる草原に一匹のオオカミが座っていた。

そのオオカミは、大きく立派な体で、精悍な顔で、漆黒のツヤツヤした毛並みをしていた。
オオカミは、すくっと立ち上がり、満月に鼻先を向け、首を伸ばし、甘ーい声で、

「ワオーーーン……ワオーーーーーン……」

と広がる草原に響き渡るように二回吠えた。
すると、空からオオカミに向かって、月色の粉が降りだす。
それはキラキラキラキラしていて、オオカミを包み込む。



 そこには、大きく立派な体で、精悍な顔で、漆黒のツヤツヤした毛並みをしたオオカミが人間に化けて…いたのではなく、まだ子供の真っ黒なオオカミが、ちょこんと座っていた。

オオカミは、自分の丸みのある手や足を見て驚く。

「なっ、なっ、なっ、なんでー?!ぼく、人間に化けんと、なんで子供になってんのーっ?!」

なんでー?!と、大騒ぎをするオオカミ。

『オオカミのぼく、ごめーーーん!』

と、上の上の上の方から声が降ってきた。

「あっ、その声は、お月様!」

オオカミが空を見上げてお月様を見る。

『そうや、私や!久しぶりやなぁー…オオカミのぼく』

「お久し振りです…って、お月様、なんでぼくに『ごめーーーん』なんですか?」

『えっ?謝った理由?それは、ほんまやったらオオカミのぼく、ちゃんと人間になれてたんやで。でも、私がオオカミのぼくに会いたかったから、そうならへんようにちょっとしちゃった…エヘッ』

「ええっ!ちょっとしちゃった…エヘッ…って!!がーーーん」

落ち込むオオカミ。

『ごめん、ごめん。あとで、ちゃんと人間になれるようにするし、そんな落ち込まんと…な?』

「いや、まぁ…お月様が子供のぼくに会いたかった…って、言ってくれはったし…それは、嬉しいことやし、うん…まぁ…人間になること、今はいいですわ…で、ぼく、この後ちゃんともとの姿に戻れるんですか?」

急に心配になったオオカミにお月様が伝えた。

『えっ?この後ちゃんともとの姿に戻れるかって?フフフ、それはやな…』

「そっ、それは?」

一瞬、オオカミとお月様の間に緊張がはしる。

『それは、フフフ…。オオカミのぼく次第や!』

「ええっ!」
オオカミは、青ざめる。

再び、オオカミとお月様の間に緊張がはしる。青ざめた顔でお月様を見上げ、次の言葉を待つオオカミ。


『フフフッ…オオカミのぼく、ちゃんともとの姿に戻れるし、心配しんとき!』

「ほ、ほんまですか~!あーーーっ、よかったーーーーー…」

『驚かせてごめんやでー、オオカミのぼく。あんまりぼくの反応がかわいかったから、おちょくってしもたわぁ』

「お、おちょくるって。もう、勘弁して下さい!」

『ごめん、ごめんやでー、オオカミのぼく………あっ!?』

ここでお月様が何かに気付く。

『おおっと~!!ぼくと会った時、私高いところにいたのに、今はかなり低い場所にいるし、もうすぐ東の空からお日様昇ってくるなぁ…楽しすぎて、あっという間に時間過ぎてしもたわ。オオカミのぼく、あんな、これあげる』

すると、空からフワリ、フワリ…と月色の布が降ってきて、オオカミを包みこむ。

『オオカミのぼく、その月色の布にくるまって、ここですぐネンネし。起きたら全て解決してるし、安心し!』

「この布にくるまってすぐにネンネし…って、そんなすぐ寝れへんで?お月様」

無理なことを言うお月様にちょっと文句を言ったオオカミ。

『フォッフォッフォッ…言うと思った!すぐ寝れるように私が子守唄歌うさかい、大丈夫や!そしたら、また、おいでや?オオカミのぼく…ほんならな?…おやすみ…』

と、最後は囁くようにオオカミに言って、静かに優しく子守唄を歌い始めたお月様。

『🎼♬♩♩♩♪♫♫♪♫♫♫♩』

「あ…お月様…ま…た…ね……」

途切れ途切れに話して、オオカミはすぅすぅ寝てしまった。









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

合言葉はサンタクロース~小さな街の小さな奇跡

辻堂安古市
絵本
一人の少女が募金箱に入れた小さな善意が、次々と人から人へと繋がっていきます。 仕事仲間、家族、孤独な老人、そして子供たち。手渡された優しさは街中に広がり、いつしか一つの合言葉が生まれました。 雪の降る寒い街で、人々の心に温かな奇跡が降り積もっていく、優しさの連鎖の物語です。

傷ついている君へ

辻堂安古市
絵本
今、傷ついている君へ 僕は何ができるだろうか

くらげ のんびりだいぼうけん

山碕田鶴
絵本
波にゆられる くらげ が大冒険してしまうお話です。

こわがり先生とまっくら森の大運動会

蓮澄
絵本
こわいは、おもしろい。 こわい噂のたくさんあるまっくら森には誰も近づきません。 入ったら大人も子供も、みんな出てこられないからです。 そんなまっくら森のある町に、一人の新しい先生がやってきました。 その先生は、とっても怖がりだったのです。 絵本で見たいお話を書いてみました。私には絵はかけないので文字だけで失礼いたします。 楽しんでいただければ嬉しいです。 まんじゅうは怖いかもしれない。

むかしむかしあるところに

あやの しのぶ
絵本
この絵本はむかしむかしあるところにから始まってめでたしめでたしまで8つのお話が読めるふしぎな絵本です

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

ママのごはんはたべたくない

もちっぱち
絵本
おとこのこが ママのごはん たべたくないきもちを ほんに してみました。 ちょっと、おもしろエピソード よんでみてください。  これをよんだら おやこで   ハッピーに なれるかも? 約3600文字あります。 ゆっくり読んで大体20分以内で 読み終えると思います。 寝かしつけの読み聞かせにぜひどうぞ。 表紙作画:ぽん太郎 様  2023.3.7更新

ボクはスライム

バナナ男さん
絵本
こんな感じだったら楽しいなと書いてみたので載せてみましたઽ( ´ω`)ઽ 凄く簡単に読める仕様でサクッと読めますのでよかったら暇つぶしに読んでみて下さいませ〜・:*。・:*三( ⊃'ω')⊃

処理中です...