お月様とオオカミのぼく

いもり〜ぬ(いもいもぶーにゃん)

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 ある日の雲一つない澄みわたった夜空にぽっかり浮かぶ大きな満月。
その下に広がる草原に一匹のまだ子供の真っ黒なオオカミがちょこんと座っていた。



「今日は、すごい大きくて、すごい丸くて、立派なお月様…こんなお月様の夜は、人間になれるって森の図書室の本で読んだけど、ええっと、えーっと、どうするんやっけ?」

と、うーんと考え込む子供のオオカミ。

「えーっと、まずは、立つんやったっけ?」

うーん…と言いながら、その場で立ち上がってみた。

「えーっと、次は、確か、えーっと、お月様を見上げる?」

うーん…と言いながら、顔を上げて、お月様を見上げてみた。

「えーっと、次は、確か…うーん…うーん」

と、うんうん言いながら、右に左に頭を振り子のように揺らす。うーーーーーん。

そして、思い出す。

「あっ!お歌をうたう!」

子供のオオカミは、お月様を見上げて、見つめて、大きな声で元気よく歌い始めた。

「🎼♪♫♫♪♫♫♫♩」

子供のオオカミは、明るく楽しく元気いっぱいに歌い終え、お月様に向かっておじぎをすると、パチパチパチと上から手をたたく音とフフフッと笑う声が聞こえてきた。
「あれっ?」と、思って頭を上げてみると、お月様だけで。うーーーんと、考えていると上の上の上の方から声が降ってきた。

『フフフ…オオカミのぼく』

「えーっと、ぼく?」

『そうや、オオカミのぼくや』

「えっと、しゃべってんの、お月様?」

『そうや。ぼく、歌、上手やなぁ。元気いっぱいに楽しそうに歌えてたわ…もしかすると、私に歌聴かせてくれたんか?』

「うん!お月様に向かってお歌うたったら、人間になれるって、森の図書室の本で読んでん。でも、なんかぼく変わってへん?そのまんま?」

『ヒャッヒャッヒヤッ!ぼく、変わってへんで。そのまんまやわ』

「がーん…」

落ち込む子供のオオカミにお月様が励ますように言った。

『あんな、オオカミのぼく、私に歌をうたってくれるだけやったらあかんねん。歌うように吠えなあかんねん』

「歌うように吠える?それって、どういうことか分からへん…」

『そうやなぁ。大きくなったら分かるわ。今のぼくには、ちょっと難しいかなぁ…。だから、大きくなったらもういっぺんおいで』

「お月様、わかった!大きくなったらまた来る!」

『オオカミのぼく、大きくなったぼくに会えるの、楽しみにしてるわ。気をつけて帰るんやで。ぼくがちゃんと森のお家につくまで明るく照らしてるしな、心配しんと帰り』

「お月様、ありがとう!大きくなったらまた来るね!じゃぁ、またね~!!」

子供のオオカミは、お月様に向かって、さよならのあいさつにしっぽをフリフリ。

『オオカミのぼく、またおいでな~』

子供のオオカミは、森につくまでお月様に向かってしっぽをフリフリフリフリした。



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