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しおりを挟むそして、あれから何年か経ち…。
ある日の雲一つない澄みわたった夜空にぽっかり浮かぶ大きな満月。その下に広がる草原に一匹のオオカミが座っていた。
そのオオカミは、大きく立派な体で、精悍な顔で、漆黒のツヤツヤした毛並みをしていた。
オオカミは、すくっと立ち上がり、満月に鼻先を向け、首を伸ばし、甘ーい声で、
「ワオーーーン……ワオーーーーーン……」
と広がる草原に響き渡るように二回吠えた。
すると、空からオオカミに向かって、月色の粉が降りだす。
それはキラキラキラキラしていて、オオカミを包み込む。
そこには、大きく立派な体で、精悍な顔で、漆黒のツヤツヤした毛並みをしたオオカミが人間に化けて…いたのではなく、まだ子供の真っ黒なオオカミが、ちょこんと座っていた。
オオカミは、自分の丸みのある手や足を見て驚く。
「なっ、なっ、なっ、なんでー?!ぼく、人間に化けんと、なんで子供になってんのーっ?!」
なんでー?!と、大騒ぎをするオオカミ。
『オオカミのぼく、ごめーーーん!』
と、上の上の上の方から声が降ってきた。
「あっ、その声は、お月様!」
オオカミが空を見上げてお月様を見る。
『そうや、私や!久しぶりやなぁー…オオカミのぼく』
「お久し振りです…って、お月様、なんでぼくに『ごめーーーん』なんですか?」
『えっ?謝った理由?それは、ほんまやったらオオカミのぼく、ちゃんと人間になれてたんやで。でも、私がオオカミのぼくに会いたかったから、そうならへんようにちょっとしちゃった…エヘッ』
「ええっ!ちょっとしちゃった…エヘッ…って!!がーーーん」
落ち込むオオカミ。
『ごめん、ごめん。あとで、ちゃんと人間になれるようにするし、そんな落ち込まんと…な?』
「いや、まぁ…お月様が子供のぼくに会いたかった…って、言ってくれはったし…それは、嬉しいことやし、うん…まぁ…人間になること、今はいいですわ…で、ぼく、この後ちゃんともとの姿に戻れるんですか?」
急に心配になったオオカミにお月様が伝えた。
『えっ?この後ちゃんともとの姿に戻れるかって?フフフ、それはやな…』
「そっ、それは?」
一瞬、オオカミとお月様の間に緊張がはしる。
『それは、フフフ…。オオカミのぼく次第や!』
「ええっ!」
オオカミは、青ざめる。
再び、オオカミとお月様の間に緊張がはしる。青ざめた顔でお月様を見上げ、次の言葉を待つオオカミ。
『フフフッ…オオカミのぼく、ちゃんともとの姿に戻れるし、心配しんとき!』
「ほ、ほんまですか~!あーーーっ、よかったーーーーー…」
『驚かせてごめんやでー、オオカミのぼく。あんまりぼくの反応がかわいかったから、おちょくってしもたわぁ』
「お、おちょくるって。もう、勘弁して下さい!」
『ごめん、ごめんやでー、オオカミのぼく………あっ!?』
ここでお月様が何かに気付く。
『おおっと~!!ぼくと会った時、私高いところにいたのに、今はかなり低い場所にいるし、もうすぐ東の空からお日様昇ってくるなぁ…楽しすぎて、あっという間に時間過ぎてしもたわ。オオカミのぼく、あんな、これあげる』
すると、空からフワリ、フワリ…と月色の布が降ってきて、オオカミを包みこむ。
『オオカミのぼく、その月色の布にくるまって、ここですぐネンネし。起きたら全て解決してるし、安心し!』
「この布にくるまってすぐにネンネし…って、そんなすぐ寝れへんで?お月様」
無理なことを言うお月様にちょっと文句を言ったオオカミ。
『フォッフォッフォッ…言うと思った!すぐ寝れるように私が子守唄歌うさかい、大丈夫や!そしたら、また、おいでや?オオカミのぼく…ほんならな?…おやすみ…』
と、最後は囁くようにオオカミに言って、静かに優しく子守唄を歌い始めたお月様。
『🎼♬♩♩♩♪♫♫♪♫♫♫♩』
「あ…お月様…ま…た…ね……」
途切れ途切れに話して、オオカミはすぅすぅ寝てしまった。
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