あなたならどう生きますか?両想いを確認した直後の「余命半年」宣告

M‐赤井翼

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『あなたならどう生きますか?~両想いを確認した直後に「余命半年」の宣告を受けました~』

1-10「三朗の告白」

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「三朗の告白」
 稀世に問い詰められて、三朗はたじたじになって震える声でやっとのことで返答した。
「は、はい。絶対見てません。ただ、稀世さんが、レオタード上げる間に、「目開けたら、コブラツイストの刑やで!」って言うから、「稀世さんの裸見て、おまけに、コブラかけてもらえるなら、ダブルラッキーかなって!」考えてたら、目あけるの忘れてました。すんません!」
「な、なに言うてんの!サブちゃん、そんなんほんまもんの変態やん!」
「さらに、ごめんなさい!コブラだけやなくて、稀世さんにお仕置きで「卍固め」や「首四の字」とか「ジャパニーズ・レッグロール・ホールド」もかけてほしいと考えてしまってました。」
「えっ?卍と首四と回転足折り固めって…。ほかにもなんか考えてたんとちゃうの?」
「は、はい。あと、「縦四方固め」、「上四方固め」かけてもろて、最後に「M字ビターン」で決めてほしいと考えてました。あぁ、僕、何、心の中の声、自白してしもたんやろ!ごめんなさい!ほんまにごめんなさい。今の発言全部、撤回させてください。」
三朗は、稀世の前で土下座をして謝った。

 目の前で床に頭をこすりつけ土下座する三朗を見おろし、三朗には恐ろしく冷たく聞こえる声で呟いた。
「サブちゃん、縦四,上四,にさらにMビタ!?サブちゃん、ドMなん?最後には「撤回させてくれ」って何どっかの政治家の失言みたいに言うてくれてんの。以前から、私に、そんな技かけられんの想像してたん?」
「は、はい。い、いや。そ、そんなん想像したことはありません。こ、今回が、初めてです。信じてください。」
「サブちゃん、今、最初に「はい」って言うたやん。正直に言わんとほんまにお仕置きやで!」
「じ、実は、以前から考えてました。しょっちゅう、稀世さんに、技かけてもらうの想像してました。プロレスファンとしては、好きな女の子に技かけてもらうのって、世界中の女子プロレスファンの「男の夢」やないですか。堪忍してください。ぼ、僕、本気で、き、稀世さんの事、好きやから。」
冷汗たらたらで言い訳する三朗に対し、稀世も真っ赤な顔して聞き返した。
「「男の夢」って…。サブちゃん、私、こんなおデブやから、男の人に好きって言われたん初めてで、めっちゃ、ドキドキしてんねんけど。サブちゃん、今、私の事、「好きや」って言うてくれたけど、それは、「レスラーとして?」それとも「女の子として?」どっちなん?」
「ど、ど、ど、どっちもです!」
(わぁ、言うてしもた。アカン!もう嫌われた。もう出禁になってしまうんとちゃうか。あぁーっ。)目をつぶったまま、三朗は天井を仰いだ。少しの間が開き、
「こんな私のどこが好きなん?」
「ぜ、全部です。稀世さんの全部が好きです!」
極度の緊張で、声が裏返った。
「えっ!?」
「全部!全部!全部が大好きです!」
もう、自分で何言ってんのか全く分からない。三朗のひっくり返った声が、病院の廊下に響き渡る。
「臀部!?臀部ってお尻の事?」
「!?いや、ちゃいます。臀部やなくて全部。全体の全部でお尻の臀部やないです。もちろん、全部の中には臀部も入ってますが。(あーっ、またやってしもた。)」
「いやっ!サブちゃんのエッチ!」

 パシッ!稀世の平手が、三朗の頬に飛んだ。(あぁ、終わってしもた。さよならや。ロンググッバイや。あぁ、何やってんねや僕・・・。)三朗の瞳から自然と涙が溢れた。
「こりゃ、お仕置きが必要やな。まあ、最後やから、サブちゃんに選ばしたるわ。何がいい?」
「えっ?最後って。やっぱり。すんません。僕、僕、僕、失礼しました。あぁ、最後やったら、何にしよ。うーん」
「あー、もう、何言うてんの。もごもご言うて。男らしくない奴には、口封じの刑や!」
(口封じの刑って?)三朗が、思ったとたんに、天井を仰いでいた三朗の頭は、稀世の右手で引き寄せられ、稀世の顔の正面に向かされた。(正面からのヘッドバット!?それも口への頭突きで歯、折っての口封じ!?)身構えて、目を閉じた。予想していた衝撃の代わりに、唇に柔らかく、温かい感触。(んんん?この初めての感触は?)三朗が恐る恐るゆっくりと目を開けると、そこには1センチの距離に稀世の顔があった。
 一秒、二秒、三秒。まだ1センチ先に稀世の顔がある。五秒、十秒、十五秒。(夢なのか?人間死ぬ直前に見る、「願望夢」なのか?夢なら、覚めんとってくれ!)と三朗も稀世の首に手を回し、強く抱きしめた。十八秒、十九秒、二十秒。ゆっくりと稀世の顔が離れ、顔全体が見えるようになってきた。
 ゆっくりと酸素が三朗の口に入り、脳へ周り、現実の世界に戻ってきた。50センチの距離で稀世の顔と背景の廊下の非常灯が目に入り、ここは天国でなく、病院の廊下の待合席であることに意識が戻った。
「はい、嘘つきサブちゃんに、「口封じの刑」の「マウストゥーマウスホールド稀世スペシャル」よ!はい、お仕置きタイムおしまい。ありがとうね。」
「(シューッ)・・・・。」
「サブちゃん!サブちゃん?大丈夫?」
「(シューッ!)・・・・。」
「ほんとにサブちゃん大丈夫?息してる?」
「き、稀世さん、これは、「刑」やなくて「ご褒美」ですやん・・・。」
「うん。私の事、大事にしてくれてるサブちゃんへのお礼。好きよ、サブちゃん。」
「!!!」

「安さーん。」
廊下に看護師の声が響いた。ふたりは慌てて、正面を向いて
「はい、なんでしょう?」
と稀世が返事をした。看護師が、廊下の向こうから小走りで走ってきた。
「お待たせして、ごめんなさいね。さっきの救急車、小さい女の子、頭切っちゃって、すごい出血で手術になるかもって、先生、慌てていったんだけど、処置室で三,四針縫うだけで済みそうなんで、あと二十分ほどで終わりますから、ここで、もう少しお待ちくださいね。(後ろを振り返り)佐々木さんのお父さんもこちらでお待ちください。」
と早口で言うと、後ろに立っていた、有名ベビー服のブランド物のクマのフードを被った赤ん坊を抱いた男が、「順番飛ばししてすいません。」と会釈して、隣のソファーベンチに座った。
 まもなく、佐々木と呼ばれた男の娘が頭に包帯を巻かれた姿で、母親らしき女と診察室から出てきた。入れ替わりで、稀世が呼ばれ、三朗と共に、医師から脈、聴診、左肩の触診の後、1週間連続当直勤務をこなしていると初老の医師がめまいを起こし倒れた際、パソコンの本体も倒してしまい再起動させることになった。
 再起動後、改めて呼び出した検査結果を見て医師からCTの解説を受けた。
 老齢医師から、稀世に直近、めまいやふらつき等感じることはないかとの質問が終わったのち、若干の沈黙の時間があり、咳払いをした。何やら、パソコンを操作すると、横のレーザープリンターから三枚のプリンタ用紙が出てきて手に取った。
 医師は、ふたりの方に向き直り、大きく深呼吸をしたのちに、ゆっくりと話し出した。


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