35 / 51
『あなたならどう生きますか?~両想いを確認した直後に「余命半年」の宣告を受けました~』
1-34「ドレス選び」
しおりを挟む
「ドレス選び」
直の「大岡裁き」もとい「菅野裁き」で長井夫婦への最初の難関を軟着陸させ、店のテーブルで、引っ越し作業への慰労会へと進めることとなった。稀世とまりあと直の向かいに夏子と陽菜が座った。三朗が、特上握りの小桶とみんなで食べられる大桶で直の追加分も含めて十三人前の寿司を並べた。陽菜は、まりあからこの後ビール禁止の命令を受けた。
酔いがさめるにつれて、自分のやらかしたことの重大さに気付いたのか、夏子と共に三郎に謝りに来た。先ほどのAV騒動は、完全にノーサイドとなった。女子会二次会は、お寿司パーティーとなった。半分ほど、桶が開いたところで、直が紫の大きな風呂敷包みを持ち出した。中から、出てきたのは「ウエディングドレスカタログ」だった。稀世と夏子と陽菜から「キャー、素敵」と歓声が上がった。稀世が席の中央で、両サイドの席のまりあと直の席に夏子と陽菜が付き、まりあと直は向かいの席に移った。ニッセンのカタログくらいあるドレスカタログはずっしりと重かった。
「こんな重たいの持ってきてもらってすいませんでした。」
と稀世が直にお礼を言った。
「何言うてんねん、稀世ちゃんの一生一代の晴舞台やないか。稀世ちゃんは、わしの孫みたいなもんや。気にせんとな。それよりも、気に入ったやつあったら、付箋貼っといてな。候補絞ったら、笹井に言うて、取り寄せるから、試着に行こな。」
「直さん、私らも試着できないんですかー。」
夏子が聞いた。
「まあ、笹井に言うたるけど、取り寄せは結構手間かかる言うてたから、笹井ンとこにあるドレスでよかったら、わしから言うたるわ。」
「きゃーっ、結婚する予定も見込みもないけどドレスは来てみたかってん。陽菜ちゃん、お互い、ドレスとタキシード着て交互に写真撮ってSNS上げようや。」
「こらこら、直さんは、稀世のために重たいカタログ持ってきてくれてんねんから、あんたらは後。まずは、稀世。決めていきや。ところで、お色直しはするんか。」
「うん、そこまでは考えてなかった。まずは、カタログ見てみるわ。」
その後も、稀世と夏子と陽菜はキャーキャー言いながら、ページを進めていた。どんどん付箋の数が増えていく。そんな、光景をカウンターの中から、三朗は見守った。
約一時間かけて、候補が絞られてきたようだった。六時を過ぎて、一般客が入ってきだしたので、女子会は三次会と化して二階に上がっていった。三朗は、改めて直とまりあに礼を告げるとともに、先ほどのAV事件の味方のお礼を述べた。ふたりして、「あんたが、稀世を大事にしてる間は味方してやるよ。泣かしたら即地獄行きやで。」とすごまれ冷汗が出た。
夜の部の営業は、昨日のお披露目会と違って、従来の客の入りに戻り、三朗ひとりで十分こなすことができる仕事量だった。寿司を握り、配膳し、下膳する。下膳してバックヤードに入った際、二階から響いてくる黄色い声が耳に入った。(女の子は、あんなカタログ一冊でよく何時間も盛り上げれるもんやなぁ。)と感心すると同時に不思議に思ったが、楽しそうに話し、笑っている稀世の声を聴くのは楽しかった。
午後八時、女子会三次会は、お開きとなった。候補のドレスは四着に絞られ、金曜日の午後に笹井写真館で試着の予定となったらしい。直の口利きもあり、夏子と陽菜も五千円で二回写真を撮ってもらえることになったと喜んでいた。このことが後日、笹井写真館に大きな影響を与えるきっかけになるとは、その時には誰も気づいてはいなかった。三朗はふざけて「直さんは、ドレス写真撮らはらへんのですか?」と聞くと、「お前、ふざけたこと言うとったら、生駒山に埋めんぞ。」とデコピンされた。稀世もみんなも腹を抱えて笑っていた。おでこは痛かったが悪い気はしなかった。
稀世の大正のアパートの家具については、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、電気ポット、洗濯機等、ここにそろっているものは、夏子たち若手に譲ることになったとの事だった。それ以外の家財は、明日、ここを整理して、木曜日に稀世が電車で戻り、再び夏子と陽菜が運ぶのを手伝ってくれることになった。
「なっちゃん、陽菜ちゃん、悪いけど木曜日、また稀世さんの事、頼むわな。」
と三朗もお願いした。
夏子が、ハイエースを取って戻ってきた。まりあと陽菜が乗り込んだ。乗りがけに、まりあが言った。
「サブちゃん、日曜日はええ式にしよな。楽しみにしてるで。それと今晩、私はサブちゃんに賭けてっから、頼むで?」
「はい。いろいろとありがとうございました。ところで賭けってなんですか?」
「まあ、いろいろあるから。結果は、稀世から聞くから、頼むで。」
(ん?)何を言ってるのかわからないまま、ハイエースは大阪市内に向けて出発した。
稀世は、再び直と二階に上がっていった。三朗は残った客の対応に戻った。午後9時半、最後の客が勘定を済ませて、暖簾を片付けた。下膳してシンクにたまった食器類を洗い、木桶と塗り箸は布巾で丁寧に吹き上げ棚にしまい、それ以外は食器乾燥機に入れた。カウンターとテーブルをふき取り清掃を済ませ、ごみを表に出した。(稀世さんと直さん、まだ話してんのかな?)
「お客さん引けたんで、店閉めました。上あがっていいですか?」
「サブちゃん、お疲れさまー。今日の夜はなんも手伝えなくてごめんね。サブちゃんのケーキ残してるから、上がってきて。」
二階に上がると、直と向かい合って座り、ノートにいろいろと書き込んでいる最中だったようだ。ノートのページをめくろうとすると
「ダメっ。まだ見せたらへん。」
と言って、稀世にノートを取り上げられた。直がキッチンに立ち、紅茶を入れて、冷蔵庫からかわいらしいケーキを出してくれた。
「すいません。直さん、今日もいろいろと、ありがとうございました。ずっと二階から楽しそうな声してはりましたね。じゃあ、いただきます。」
「せやな、孫に囲まれてるようで、わしも楽しかったわ。夏子と陽菜はちょっと行儀から教えたらなあかんけどな。」
と言って笑っていた。
稀世は、奥の部屋に行き、何やらごそごそしている。三朗がケーキを食べ終わろうとする頃、稀世が大きなボストンバックを手に部屋から出てきた。
「遅くなってすいません。直さん、お願いします。」
「おっしゃ、じゃあ行こか。」
「えっ、ええええ、どこ行くんですか?もう九時ですよ。ねえ、直さん、稀世さんをどこに連れて行かはりますの?何があるですか?」
「お前は何も知らんでええ。じゃあ、稀世ちゃん、借りていくで。」
「えっ?」
「サブちゃん、また連絡するわな。しっかり戸締りしてね。」
とふたりは部屋を出て行った。リビングには、三朗ひとりが残された。部屋の隅には、黒いビニール袋が残されていた。
ひとり残され、直が稀世をどこに連れて行ったかもわからず、風呂に入り、洗濯機を回し、リビングでひとり寂しくビールを飲んだ。すっかり、三日前のさみしい部屋に戻ってしまった。三朗の携帯が鳴った。稀世からのメールで「先に寝ていてください。」とだけあった。稀世に電話を掛けたが、コールが鳴るだけで、途中で圏外のコールに変わった。三朗は、何やら、不吉なものを感じた。
直の「大岡裁き」もとい「菅野裁き」で長井夫婦への最初の難関を軟着陸させ、店のテーブルで、引っ越し作業への慰労会へと進めることとなった。稀世とまりあと直の向かいに夏子と陽菜が座った。三朗が、特上握りの小桶とみんなで食べられる大桶で直の追加分も含めて十三人前の寿司を並べた。陽菜は、まりあからこの後ビール禁止の命令を受けた。
酔いがさめるにつれて、自分のやらかしたことの重大さに気付いたのか、夏子と共に三郎に謝りに来た。先ほどのAV騒動は、完全にノーサイドとなった。女子会二次会は、お寿司パーティーとなった。半分ほど、桶が開いたところで、直が紫の大きな風呂敷包みを持ち出した。中から、出てきたのは「ウエディングドレスカタログ」だった。稀世と夏子と陽菜から「キャー、素敵」と歓声が上がった。稀世が席の中央で、両サイドの席のまりあと直の席に夏子と陽菜が付き、まりあと直は向かいの席に移った。ニッセンのカタログくらいあるドレスカタログはずっしりと重かった。
「こんな重たいの持ってきてもらってすいませんでした。」
と稀世が直にお礼を言った。
「何言うてんねん、稀世ちゃんの一生一代の晴舞台やないか。稀世ちゃんは、わしの孫みたいなもんや。気にせんとな。それよりも、気に入ったやつあったら、付箋貼っといてな。候補絞ったら、笹井に言うて、取り寄せるから、試着に行こな。」
「直さん、私らも試着できないんですかー。」
夏子が聞いた。
「まあ、笹井に言うたるけど、取り寄せは結構手間かかる言うてたから、笹井ンとこにあるドレスでよかったら、わしから言うたるわ。」
「きゃーっ、結婚する予定も見込みもないけどドレスは来てみたかってん。陽菜ちゃん、お互い、ドレスとタキシード着て交互に写真撮ってSNS上げようや。」
「こらこら、直さんは、稀世のために重たいカタログ持ってきてくれてんねんから、あんたらは後。まずは、稀世。決めていきや。ところで、お色直しはするんか。」
「うん、そこまでは考えてなかった。まずは、カタログ見てみるわ。」
その後も、稀世と夏子と陽菜はキャーキャー言いながら、ページを進めていた。どんどん付箋の数が増えていく。そんな、光景をカウンターの中から、三朗は見守った。
約一時間かけて、候補が絞られてきたようだった。六時を過ぎて、一般客が入ってきだしたので、女子会は三次会と化して二階に上がっていった。三朗は、改めて直とまりあに礼を告げるとともに、先ほどのAV事件の味方のお礼を述べた。ふたりして、「あんたが、稀世を大事にしてる間は味方してやるよ。泣かしたら即地獄行きやで。」とすごまれ冷汗が出た。
夜の部の営業は、昨日のお披露目会と違って、従来の客の入りに戻り、三朗ひとりで十分こなすことができる仕事量だった。寿司を握り、配膳し、下膳する。下膳してバックヤードに入った際、二階から響いてくる黄色い声が耳に入った。(女の子は、あんなカタログ一冊でよく何時間も盛り上げれるもんやなぁ。)と感心すると同時に不思議に思ったが、楽しそうに話し、笑っている稀世の声を聴くのは楽しかった。
午後八時、女子会三次会は、お開きとなった。候補のドレスは四着に絞られ、金曜日の午後に笹井写真館で試着の予定となったらしい。直の口利きもあり、夏子と陽菜も五千円で二回写真を撮ってもらえることになったと喜んでいた。このことが後日、笹井写真館に大きな影響を与えるきっかけになるとは、その時には誰も気づいてはいなかった。三朗はふざけて「直さんは、ドレス写真撮らはらへんのですか?」と聞くと、「お前、ふざけたこと言うとったら、生駒山に埋めんぞ。」とデコピンされた。稀世もみんなも腹を抱えて笑っていた。おでこは痛かったが悪い気はしなかった。
稀世の大正のアパートの家具については、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、電気ポット、洗濯機等、ここにそろっているものは、夏子たち若手に譲ることになったとの事だった。それ以外の家財は、明日、ここを整理して、木曜日に稀世が電車で戻り、再び夏子と陽菜が運ぶのを手伝ってくれることになった。
「なっちゃん、陽菜ちゃん、悪いけど木曜日、また稀世さんの事、頼むわな。」
と三朗もお願いした。
夏子が、ハイエースを取って戻ってきた。まりあと陽菜が乗り込んだ。乗りがけに、まりあが言った。
「サブちゃん、日曜日はええ式にしよな。楽しみにしてるで。それと今晩、私はサブちゃんに賭けてっから、頼むで?」
「はい。いろいろとありがとうございました。ところで賭けってなんですか?」
「まあ、いろいろあるから。結果は、稀世から聞くから、頼むで。」
(ん?)何を言ってるのかわからないまま、ハイエースは大阪市内に向けて出発した。
稀世は、再び直と二階に上がっていった。三朗は残った客の対応に戻った。午後9時半、最後の客が勘定を済ませて、暖簾を片付けた。下膳してシンクにたまった食器類を洗い、木桶と塗り箸は布巾で丁寧に吹き上げ棚にしまい、それ以外は食器乾燥機に入れた。カウンターとテーブルをふき取り清掃を済ませ、ごみを表に出した。(稀世さんと直さん、まだ話してんのかな?)
「お客さん引けたんで、店閉めました。上あがっていいですか?」
「サブちゃん、お疲れさまー。今日の夜はなんも手伝えなくてごめんね。サブちゃんのケーキ残してるから、上がってきて。」
二階に上がると、直と向かい合って座り、ノートにいろいろと書き込んでいる最中だったようだ。ノートのページをめくろうとすると
「ダメっ。まだ見せたらへん。」
と言って、稀世にノートを取り上げられた。直がキッチンに立ち、紅茶を入れて、冷蔵庫からかわいらしいケーキを出してくれた。
「すいません。直さん、今日もいろいろと、ありがとうございました。ずっと二階から楽しそうな声してはりましたね。じゃあ、いただきます。」
「せやな、孫に囲まれてるようで、わしも楽しかったわ。夏子と陽菜はちょっと行儀から教えたらなあかんけどな。」
と言って笑っていた。
稀世は、奥の部屋に行き、何やらごそごそしている。三朗がケーキを食べ終わろうとする頃、稀世が大きなボストンバックを手に部屋から出てきた。
「遅くなってすいません。直さん、お願いします。」
「おっしゃ、じゃあ行こか。」
「えっ、ええええ、どこ行くんですか?もう九時ですよ。ねえ、直さん、稀世さんをどこに連れて行かはりますの?何があるですか?」
「お前は何も知らんでええ。じゃあ、稀世ちゃん、借りていくで。」
「えっ?」
「サブちゃん、また連絡するわな。しっかり戸締りしてね。」
とふたりは部屋を出て行った。リビングには、三朗ひとりが残された。部屋の隅には、黒いビニール袋が残されていた。
ひとり残され、直が稀世をどこに連れて行ったかもわからず、風呂に入り、洗濯機を回し、リビングでひとり寂しくビールを飲んだ。すっかり、三日前のさみしい部屋に戻ってしまった。三朗の携帯が鳴った。稀世からのメールで「先に寝ていてください。」とだけあった。稀世に電話を掛けたが、コールが鳴るだけで、途中で圏外のコールに変わった。三朗は、何やら、不吉なものを感じた。
20
あなたにおすすめの小説
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
婚約辞退いたします。だってこの国、沈みますもの
鍛高譚
恋愛
「婚約はお断りいたします――この国は近い将来、崩壊しますので」
そう言い放ったのは、社交界でも目立たない子爵令嬢、マリン・アクアリウム。
ある日、とある舞踏会に突如現れた王太子ガイア殿下。
誰もが驚く中、なんと彼はマリンに婚約を申し出る。
周囲は騒然。「子爵令嬢が王太子妃!?」「断る理由などないはず!」
――だが、彼女は断った。「この国は、もうすぐ滅びます」――と。
そんな不吉な言葉を口にしたことで、彼女は“狂言癖のある嘘つき令嬢”と噂され、
家族にさえ見放され、ついには国外追放の身に。
だが、彼女の予言は本物だった――
数年後、王国に未曾有の大災厄が迫る。
国土が崩れ、海に沈む都市。人々が絶望する中、思い出されるのは、
あの舞踏会でただひとり“滅び”を告げた少女の名。
「彼女なら、この国を救えるかもしれない……」
皮肉にも“追放令嬢”マリンは、再び王都に呼び戻され、
滅びゆく国で最後の希望として担ぎ上げられる。
信じてもらえなかった過去。
それでも人々の命を守ろうと奔走するマリン。
そして、王子ガイアが差し伸べた、あの日と変わらぬ手。
――たとえ国が滅んでも、あなたとともに歩んでいきたい。
【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました!
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる