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『あなたならどう生きますか?~両想いを確認した直後に「余命半年」の宣告を受けました~』
1-45「稀世の生前葬」
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「稀世の生前葬」
初詣は、電車に乗って、成田山に行った。すごい人だったが、逸れない様に、手を繋いでの参拝は楽しかった。おみくじは、稀世は、「大吉」、願い事全て良し。三朗は、「吉」、欲をかきすぎないこと。とでた。長い行列に並び、お賽銭を投げ入れ、お願いごとをした。
「サブちゃんは、何お願いしたん?」
「稀世さんと喧嘩することなく仲良く過ごせますように。ってお願いしました。稀世さんは?」
「最後まで、病院に入ることなくサブちゃんといれますように。と、生まれ変わってもサブちゃんのお嫁さんになれますように。と、サブちゃんが元気で長生きできますように。ってお願いしてん。」
「えー、三つもですか?欲張りですやん。」
「だって、私、大吉やったし、後三ケ月やと思ったら、来年のお参りは無いねんから、成田の神さんもおまけしてくれるやろ。なんちゅうても、これから死ぬまで、何でも「サブちゃんと一緒の、初めてで、最後のなんとか」になんねんからな。それぐらいサービスしてくれな神さんもあかんやろ。」
参道の帰り道、手をつないで歩きながら、ふたりで笑った。
その日の晩、直が例のごとく突然やってきた。稀世が呼びだされ、ダイレクトに聞かれた。
「やったか?」
「はい、すごく良かったです。直さんのおかげです。いろいろとありがとうございました。」
「さよか、そりゃえかった。じゃあ、今晩もがんばりや。」
それだけ言い残すと、笑顔で直は帰っていった。
2月14日、バレンタインデー。稀世から三朗に渡す、最初で最後のバレンタインチョコレートを手作りで作った。初めて作る、手作りチョコだったので、失敗に備えて多めに作った。しかし、初回から、そこそこの出来だったので、(私が、チョコ作んのも最後やから、商店街の人や、こども食堂の子や市民サロンの利用者さんにも配っておこうかな。)と考え、結構な量のチョコレートを作った。直やまりあはもちろんのこと、9月から、少しでも関わりのあった門真の人達に、この五ケ月の感謝の意をこめて配った。
昼のアイドリングタイムに商店街をチョコ配りで回り、店に戻ると三朗は生け簀の水槽を掃除していた。稀世は、カウンター席に座り、三朗が作業する姿を見ていた。180リットルの水槽のポンプのフィルターを洗い、海水の五分の一を入れ替えた。一時的に別容器に退避させていた、アワビやサザエ、紫ウニ、イセエビ等をもとの水槽に戻した。
「サブちゃん、クイズでーす。世界中で一番、寿命の長い生き物ってなんか知ってる?」
「普通に考えたら、鶴とか亀?鶴は千年、亀は万年って言うやないですか。」
「うーん、はずれ。鶴の寿命は四十年ほどで、ミドリガメで四十年、クサガメで六十年くらいやねんて。あと、直さんに聞いたんやけど。ガラパゴスゾウガメって言うのが二百五十年やって。」
「意外と短いもんですねぇ。そんで、答えは何なんですか?」
「えっとねぇ、答えは紅クラゲとロブスターやねんて。紅クラゲはテロリアっていう染色体を消耗せんで細胞分裂するから、1500年位生きんねんて。ロブスターは、もっとすごくて、脱皮時に内臓の細胞も生まれ変わるから老化せえへんねんて。まさに不老不死やなぁ。ちなみに、イセエビってロブスターの仲間やろ?」
「うん、そうやけど。それがなにか?」
「次、仕入れるときに子どものイセエビ仕入れて、「稀世」って名前つけてほしいねん。そんで、そのイセエビは、ネタにせんとずっとここの水槽に居らせてほしいねん。私、残り一ケ月しかサブちゃんとおられへんから、イセエビになって、ずっとサブちゃんが仕事してんの見ていたいねん。お願いね。はいこれ、私から最初で最後のバレンタインチョコ。あと、ひと月、よろしくね。」
半泣きで無理して笑顔を作る稀世から、三朗も泣き笑いでチョコを受け取った。
「う、うん、今いるイセエビ、「き、稀世さん」って、な、名前にさせてもらいます。僕が仕事でけへんようになるまで、ずっと、ずっと世話しますね。」
その日、臨時の商店街の役員会、青年部、女性部会が「お好み焼きがんちゃん」で開かれた。会議の終了後、忘年会の後にお好み焼きがんちゃんに残っていた九人のメンバーと稀世が残った。かずみから珍しく、厳しい顔で聞かれた。
「稀世ちゃん、なんか私たちに隠してること有らへん?」
「えっ、別に何も無いですよ。何か?」
「じゃあ、春のお花見の幹事は、稀世ちゃんにやってもらおかな。ええかな?」
「い、いや、お、お花見は…。ちょっと…。」
稀世がおろおろと言葉に詰まった。
「ごめん、稀世ちゃん。意地悪な言い方してしもたな。みんな、ここにいるメンバーは、稀世ちゃんの身体のこと知ってんねん。サブちゃんを責めんといたって欲しいねんけど、忘年会の後、ベロベロに酔っぱらわされてしもた、サブちゃんから聞いてんな。そんで、今ここにおるメンバーで、稀世ちゃんになんかしてあげられへんかなって。」
「えっ?」
「だって、突然、稀世ちゃん居なくなって、お別れも、お礼も、ハグも、一緒に笑ったり、泣いたりすんのもでけへんの嫌やねん。そんで、みんなで考えたんが、稀世ちゃんの「生前葬」やねん。」
「ん?「生前葬」って?」
かずみたちの計画を稀世と三朗に話した。稀世は、かずみとさとみと一緒に思いっきり泣いた。直と男連中も、大いにもらい泣きした。
「でも、泣いて終わりやなくて、笑える間に、前もってお別れ会しとこってな。了承してもらえるかな?」
さとみが、稀世と三朗に確認をとった。ふたりは、ありがたく申し出を受けた。
翌日には、直とかずみとさとみが一件、一件、「稀世の生前葬」について会員に話して回った。
「3月最初の日曜日、午前十時から。場所は西沢米穀特設リング会場。香典は無し、会費は二千円。こどもとサロンの利用者は無料。「笑って、送ってあげる」が条件。」
皆が、出席と回答した。
三週間弱の告知期間だったが、夏子と陽菜のSNS発信が、過去に取材に来たテレビ局と制作会社に伝わり、稀世のドキュメンタリー番組が作られることとなり、「生前葬」にも取材が入ることになった。ファンや西沢米穀特設リングでファイトをしたアマチュアプロレス団体や、バンドや演劇やお笑いの人達からも参加に対する問い合わせが多数来た。予想以上の参加者が集まり、立食パーティー形式の「生前葬」とする事になった。
「生前葬」開始の時間が来た。檜の司会で、葬儀は始まった。白い死に装束に、幽霊が良く額に巻いている三角の額烏帽子をおでこに巻き、稀世が登場した。場内に大きな笑いが起こった。檜が、
「稀世ちゃんのドキュメンタリー番組作成のため、テレビ局が来ています。これから、今しばらく、マイクをインタビュアーさんにお預けします」
とマイクをインタビュアーに手渡した。リング上に置かれた、三脚の椅子に、稀世と三朗、向かい合う形でインタビュアーが座った。カメラマンが、インタビュアーの背中越しで稀世と三朗にカメラを向ける。
半年前に、門真での大阪ニコニコプロレスでの事故で、稀世が余命半年の重病と告知された事。その1週間後には、結婚式を挙げた事。その後の、ニコニコ商店街と大阪ニコニコプロレスで起こった事。関係者のビデオレター等を間に挟み、約三十分のインタビューが続いた。
満を持して、インタビュアーが聞いた。
「周りの人の取材から、稀世さんは、いつもニコニコしていて、生前葬の話を聞くまで、稀世さんが居なくなってしまうなんて事は、思いもしなかったと全員がおっしゃってました。稀世さん自身は、ご自身の「死」に対してどうお考えですか?」
「…告知を受けた日は、泣きました。おそらく、今までの二十五年分以上泣きました。死を受け入れる事は怖かったです。サブちゃんに「好きだ。」と伝え、「好きだ。」と言ってもらった直後のことやったんで、どうしたらいいのかわかりませんでした。真っ暗な孤独の世界で押しつぶされそうになりました。ただ、サブちゃんが「最後の最後まで絶対いっしょに居るよ。」と言ってくれました。
ニコニコ商店街会長の直さんとニコニコプロレスリーダーのまりあさんの励ましがありました。ここニコニコ商店街で、仲間もどんどん増えました。みんなに支えられて、今の私があるんやと思います。
サブちゃんが、「泣いて過ごしても一生、笑って過ごしても一生やったら、笑って過ごしましょう。」って言うてくれたんと、私と同じように、余命告知を受けて、それでも結婚しはった、サブちゃんのご両親の話を心の支えに今日まで来ました。」
「ありがとうございました。では、最後にひとつ。稀世さんが、やり残したことや、悔いが残ってる事は、ありませんか?」
「うーん、やり残したことは、きっと山ほどあると思います。一番は、サブちゃんとの間で赤ちゃん作られへんかったことです。悔いが残ってるとしたら、半年前の披露宴、飲まされすぎて、実は記憶が無いんです。それが、サブちゃんに悪くって・・・。」
「えっ?稀世さんもやったんですか?僕も、そうやったんですけど、今まで言うに言えなくて。」
会場から、大きな笑い声が起こった。その質問を最後に、テレビのインタビュー取材は終わり、生前葬は、第二部の懇親会に移った。
懇親会が始まると、大阪ニコニコプロレスの時のライバルで、結婚式の時に邪魔しに来て、今は直の合気道教室に通う、「パイ・ヒール粋華」がやってきた。
「おい、稀世、お前の葬式、駅の反対側でもやってるやないか。間違えて、そっちに行ってしもてたわ。遅れて、すまんすまん。」
「えっ?私の葬式って?」
「門真市駅の前から、「安キヨ様告別式会場」って電柱に張り紙貼ってあったで。まあ、よお考えたら、名前がカタカナで「キヨ」って書いてあったし、苗字も「安」のままやったから、気付けへんかった私が悪いねんけどな?」
(ん?名前がカタカナで「安キヨ」?何か、引っ掛かるもん感じるなぁ。)三朗は、何かを思い出しそうになるが、もやもやとしたものが頭の中をぐるぐると回った。
初詣は、電車に乗って、成田山に行った。すごい人だったが、逸れない様に、手を繋いでの参拝は楽しかった。おみくじは、稀世は、「大吉」、願い事全て良し。三朗は、「吉」、欲をかきすぎないこと。とでた。長い行列に並び、お賽銭を投げ入れ、お願いごとをした。
「サブちゃんは、何お願いしたん?」
「稀世さんと喧嘩することなく仲良く過ごせますように。ってお願いしました。稀世さんは?」
「最後まで、病院に入ることなくサブちゃんといれますように。と、生まれ変わってもサブちゃんのお嫁さんになれますように。と、サブちゃんが元気で長生きできますように。ってお願いしてん。」
「えー、三つもですか?欲張りですやん。」
「だって、私、大吉やったし、後三ケ月やと思ったら、来年のお参りは無いねんから、成田の神さんもおまけしてくれるやろ。なんちゅうても、これから死ぬまで、何でも「サブちゃんと一緒の、初めてで、最後のなんとか」になんねんからな。それぐらいサービスしてくれな神さんもあかんやろ。」
参道の帰り道、手をつないで歩きながら、ふたりで笑った。
その日の晩、直が例のごとく突然やってきた。稀世が呼びだされ、ダイレクトに聞かれた。
「やったか?」
「はい、すごく良かったです。直さんのおかげです。いろいろとありがとうございました。」
「さよか、そりゃえかった。じゃあ、今晩もがんばりや。」
それだけ言い残すと、笑顔で直は帰っていった。
2月14日、バレンタインデー。稀世から三朗に渡す、最初で最後のバレンタインチョコレートを手作りで作った。初めて作る、手作りチョコだったので、失敗に備えて多めに作った。しかし、初回から、そこそこの出来だったので、(私が、チョコ作んのも最後やから、商店街の人や、こども食堂の子や市民サロンの利用者さんにも配っておこうかな。)と考え、結構な量のチョコレートを作った。直やまりあはもちろんのこと、9月から、少しでも関わりのあった門真の人達に、この五ケ月の感謝の意をこめて配った。
昼のアイドリングタイムに商店街をチョコ配りで回り、店に戻ると三朗は生け簀の水槽を掃除していた。稀世は、カウンター席に座り、三朗が作業する姿を見ていた。180リットルの水槽のポンプのフィルターを洗い、海水の五分の一を入れ替えた。一時的に別容器に退避させていた、アワビやサザエ、紫ウニ、イセエビ等をもとの水槽に戻した。
「サブちゃん、クイズでーす。世界中で一番、寿命の長い生き物ってなんか知ってる?」
「普通に考えたら、鶴とか亀?鶴は千年、亀は万年って言うやないですか。」
「うーん、はずれ。鶴の寿命は四十年ほどで、ミドリガメで四十年、クサガメで六十年くらいやねんて。あと、直さんに聞いたんやけど。ガラパゴスゾウガメって言うのが二百五十年やって。」
「意外と短いもんですねぇ。そんで、答えは何なんですか?」
「えっとねぇ、答えは紅クラゲとロブスターやねんて。紅クラゲはテロリアっていう染色体を消耗せんで細胞分裂するから、1500年位生きんねんて。ロブスターは、もっとすごくて、脱皮時に内臓の細胞も生まれ変わるから老化せえへんねんて。まさに不老不死やなぁ。ちなみに、イセエビってロブスターの仲間やろ?」
「うん、そうやけど。それがなにか?」
「次、仕入れるときに子どものイセエビ仕入れて、「稀世」って名前つけてほしいねん。そんで、そのイセエビは、ネタにせんとずっとここの水槽に居らせてほしいねん。私、残り一ケ月しかサブちゃんとおられへんから、イセエビになって、ずっとサブちゃんが仕事してんの見ていたいねん。お願いね。はいこれ、私から最初で最後のバレンタインチョコ。あと、ひと月、よろしくね。」
半泣きで無理して笑顔を作る稀世から、三朗も泣き笑いでチョコを受け取った。
「う、うん、今いるイセエビ、「き、稀世さん」って、な、名前にさせてもらいます。僕が仕事でけへんようになるまで、ずっと、ずっと世話しますね。」
その日、臨時の商店街の役員会、青年部、女性部会が「お好み焼きがんちゃん」で開かれた。会議の終了後、忘年会の後にお好み焼きがんちゃんに残っていた九人のメンバーと稀世が残った。かずみから珍しく、厳しい顔で聞かれた。
「稀世ちゃん、なんか私たちに隠してること有らへん?」
「えっ、別に何も無いですよ。何か?」
「じゃあ、春のお花見の幹事は、稀世ちゃんにやってもらおかな。ええかな?」
「い、いや、お、お花見は…。ちょっと…。」
稀世がおろおろと言葉に詰まった。
「ごめん、稀世ちゃん。意地悪な言い方してしもたな。みんな、ここにいるメンバーは、稀世ちゃんの身体のこと知ってんねん。サブちゃんを責めんといたって欲しいねんけど、忘年会の後、ベロベロに酔っぱらわされてしもた、サブちゃんから聞いてんな。そんで、今ここにおるメンバーで、稀世ちゃんになんかしてあげられへんかなって。」
「えっ?」
「だって、突然、稀世ちゃん居なくなって、お別れも、お礼も、ハグも、一緒に笑ったり、泣いたりすんのもでけへんの嫌やねん。そんで、みんなで考えたんが、稀世ちゃんの「生前葬」やねん。」
「ん?「生前葬」って?」
かずみたちの計画を稀世と三朗に話した。稀世は、かずみとさとみと一緒に思いっきり泣いた。直と男連中も、大いにもらい泣きした。
「でも、泣いて終わりやなくて、笑える間に、前もってお別れ会しとこってな。了承してもらえるかな?」
さとみが、稀世と三朗に確認をとった。ふたりは、ありがたく申し出を受けた。
翌日には、直とかずみとさとみが一件、一件、「稀世の生前葬」について会員に話して回った。
「3月最初の日曜日、午前十時から。場所は西沢米穀特設リング会場。香典は無し、会費は二千円。こどもとサロンの利用者は無料。「笑って、送ってあげる」が条件。」
皆が、出席と回答した。
三週間弱の告知期間だったが、夏子と陽菜のSNS発信が、過去に取材に来たテレビ局と制作会社に伝わり、稀世のドキュメンタリー番組が作られることとなり、「生前葬」にも取材が入ることになった。ファンや西沢米穀特設リングでファイトをしたアマチュアプロレス団体や、バンドや演劇やお笑いの人達からも参加に対する問い合わせが多数来た。予想以上の参加者が集まり、立食パーティー形式の「生前葬」とする事になった。
「生前葬」開始の時間が来た。檜の司会で、葬儀は始まった。白い死に装束に、幽霊が良く額に巻いている三角の額烏帽子をおでこに巻き、稀世が登場した。場内に大きな笑いが起こった。檜が、
「稀世ちゃんのドキュメンタリー番組作成のため、テレビ局が来ています。これから、今しばらく、マイクをインタビュアーさんにお預けします」
とマイクをインタビュアーに手渡した。リング上に置かれた、三脚の椅子に、稀世と三朗、向かい合う形でインタビュアーが座った。カメラマンが、インタビュアーの背中越しで稀世と三朗にカメラを向ける。
半年前に、門真での大阪ニコニコプロレスでの事故で、稀世が余命半年の重病と告知された事。その1週間後には、結婚式を挙げた事。その後の、ニコニコ商店街と大阪ニコニコプロレスで起こった事。関係者のビデオレター等を間に挟み、約三十分のインタビューが続いた。
満を持して、インタビュアーが聞いた。
「周りの人の取材から、稀世さんは、いつもニコニコしていて、生前葬の話を聞くまで、稀世さんが居なくなってしまうなんて事は、思いもしなかったと全員がおっしゃってました。稀世さん自身は、ご自身の「死」に対してどうお考えですか?」
「…告知を受けた日は、泣きました。おそらく、今までの二十五年分以上泣きました。死を受け入れる事は怖かったです。サブちゃんに「好きだ。」と伝え、「好きだ。」と言ってもらった直後のことやったんで、どうしたらいいのかわかりませんでした。真っ暗な孤独の世界で押しつぶされそうになりました。ただ、サブちゃんが「最後の最後まで絶対いっしょに居るよ。」と言ってくれました。
ニコニコ商店街会長の直さんとニコニコプロレスリーダーのまりあさんの励ましがありました。ここニコニコ商店街で、仲間もどんどん増えました。みんなに支えられて、今の私があるんやと思います。
サブちゃんが、「泣いて過ごしても一生、笑って過ごしても一生やったら、笑って過ごしましょう。」って言うてくれたんと、私と同じように、余命告知を受けて、それでも結婚しはった、サブちゃんのご両親の話を心の支えに今日まで来ました。」
「ありがとうございました。では、最後にひとつ。稀世さんが、やり残したことや、悔いが残ってる事は、ありませんか?」
「うーん、やり残したことは、きっと山ほどあると思います。一番は、サブちゃんとの間で赤ちゃん作られへんかったことです。悔いが残ってるとしたら、半年前の披露宴、飲まされすぎて、実は記憶が無いんです。それが、サブちゃんに悪くって・・・。」
「えっ?稀世さんもやったんですか?僕も、そうやったんですけど、今まで言うに言えなくて。」
会場から、大きな笑い声が起こった。その質問を最後に、テレビのインタビュー取材は終わり、生前葬は、第二部の懇親会に移った。
懇親会が始まると、大阪ニコニコプロレスの時のライバルで、結婚式の時に邪魔しに来て、今は直の合気道教室に通う、「パイ・ヒール粋華」がやってきた。
「おい、稀世、お前の葬式、駅の反対側でもやってるやないか。間違えて、そっちに行ってしもてたわ。遅れて、すまんすまん。」
「えっ?私の葬式って?」
「門真市駅の前から、「安キヨ様告別式会場」って電柱に張り紙貼ってあったで。まあ、よお考えたら、名前がカタカナで「キヨ」って書いてあったし、苗字も「安」のままやったから、気付けへんかった私が悪いねんけどな?」
(ん?名前がカタカナで「安キヨ」?何か、引っ掛かるもん感じるなぁ。)三朗は、何かを思い出しそうになるが、もやもやとしたものが頭の中をぐるぐると回った。
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