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出会い
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婚約者は侯爵令嬢を懐妊させたらしく、侯爵令嬢と婚姻しました。婚約者も婚約者ならその侯爵令嬢も男性との浮名が多く、直ぐ抱かせてくれる令嬢と有名な令嬢でした。お似合いの二人が婚姻して良かったと思います。
私は傷物令嬢にはなりませんでしたが、元婚約者が元婚約者だけに私まで身持ちの軽い令嬢と言われ、結果、傷物令嬢と言われました。
私は学院の先生に、何処か侍女として雇ってくれる所がないか頼み、先生の紹介で王宮の侍女見習いとして働く事が出来ました。
見習いと言っても王族に仕えさせる訳にはいかないとメイドや下働きの扱いでした。それでも私は与えられた仕事をするだけです。
会計課から書類を受け取り騎士団へ来ました。
「すみません、騎士団長様のお部屋に参りたいのですが」
「お待ち下さい。今案内します」
私が声をかけ、案内して下さった方が私の旦那様でした。
騎士団長様に書類を渡し、
「ありがとうございました」
私はお礼を言い帰ろうとしました。
「あ、あの」
「はい、何でしょうか」
「あの、仕事は何時までですか?」
「今日は17時までですが」
「その後、食事でもどうですか?」
「申し訳ありません」
私は頭を下げて帰ろうとしました。
「あの、名前を聞いてもいいですか?」
「申し遅れました。ガネットと申します。今後もこちらに伺う事があると思います。よろしくお願い致します」
私は頭を下げて帰りました。
それからも私を見かけては声をかけて下さいますが、その度にお断りをさせて頂きました。
ある時、
「ガネット」
呼び止められ、
「はい、騎士様」
「ガネットはどうして俺の名前を聞いてくれないんだ?」
「お名前をお伺いした方がよろしいでしょうか」
「出来れば聞いて欲しい」
「では騎士様、お名前をお聞かせ願えますか?」
「俺の名前は、ケイザック・マーベン、マーベン侯爵令息だ」
「ありがとうございました、マーベン様」
「ザックでいい」
「分かりました、ザック様」
「ガネット、一度食事に行かないか?」
「申し訳ありません」
「それならお茶はどうだろう」
「申し訳ありません」
「それなら散歩ならどうだろう」
「申し訳ありません」
「ガネットは何だったら俺の誘いを受けてくれるんだ?」
「申し訳ありません。仕事中ですのでご用がなければこれで失礼致します」
「仕事が終わった後なら」
「申し訳ありません」
私は仕事に戻りました。
私は侍女として生きると決めたのです。お父様も元婚約者も何人もの女性に愛を注いでいます。
私はお母様の様になりたくないのです。
お父様に半ば無理矢理押し切られ結婚し、子供を産んで体が弱ればお払い箱の様に離れに押し込まれ、挙句の果て見せびらかす様に愛人と仲良くしている姿を見せられ、それでもお母様は耐え続けました。
妻の死に目にも会いに来ず、埋葬する時でさえ姿を見せず、どうして愛が無くなったのならお母様を解放してあげなかったのか、どうしてお母様の手を離してあげなかったのか、私には分かりません。
それでも私はお兄様の様に一人の女性にだけ愛を注いでくれる人を心の片隅で探していたのかもしれません。
私は傷物令嬢にはなりませんでしたが、元婚約者が元婚約者だけに私まで身持ちの軽い令嬢と言われ、結果、傷物令嬢と言われました。
私は学院の先生に、何処か侍女として雇ってくれる所がないか頼み、先生の紹介で王宮の侍女見習いとして働く事が出来ました。
見習いと言っても王族に仕えさせる訳にはいかないとメイドや下働きの扱いでした。それでも私は与えられた仕事をするだけです。
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「すみません、騎士団長様のお部屋に参りたいのですが」
「お待ち下さい。今案内します」
私が声をかけ、案内して下さった方が私の旦那様でした。
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「ありがとうございました」
私はお礼を言い帰ろうとしました。
「あ、あの」
「はい、何でしょうか」
「あの、仕事は何時までですか?」
「今日は17時までですが」
「その後、食事でもどうですか?」
「申し訳ありません」
私は頭を下げて帰ろうとしました。
「あの、名前を聞いてもいいですか?」
「申し遅れました。ガネットと申します。今後もこちらに伺う事があると思います。よろしくお願い致します」
私は頭を下げて帰りました。
それからも私を見かけては声をかけて下さいますが、その度にお断りをさせて頂きました。
ある時、
「ガネット」
呼び止められ、
「はい、騎士様」
「ガネットはどうして俺の名前を聞いてくれないんだ?」
「お名前をお伺いした方がよろしいでしょうか」
「出来れば聞いて欲しい」
「では騎士様、お名前をお聞かせ願えますか?」
「俺の名前は、ケイザック・マーベン、マーベン侯爵令息だ」
「ありがとうございました、マーベン様」
「ザックでいい」
「分かりました、ザック様」
「ガネット、一度食事に行かないか?」
「申し訳ありません」
「それならお茶はどうだろう」
「申し訳ありません」
「それなら散歩ならどうだろう」
「申し訳ありません」
「ガネットは何だったら俺の誘いを受けてくれるんだ?」
「申し訳ありません。仕事中ですのでご用がなければこれで失礼致します」
「仕事が終わった後なら」
「申し訳ありません」
私は仕事に戻りました。
私は侍女として生きると決めたのです。お父様も元婚約者も何人もの女性に愛を注いでいます。
私はお母様の様になりたくないのです。
お父様に半ば無理矢理押し切られ結婚し、子供を産んで体が弱ればお払い箱の様に離れに押し込まれ、挙句の果て見せびらかす様に愛人と仲良くしている姿を見せられ、それでもお母様は耐え続けました。
妻の死に目にも会いに来ず、埋葬する時でさえ姿を見せず、どうして愛が無くなったのならお母様を解放してあげなかったのか、どうしてお母様の手を離してあげなかったのか、私には分かりません。
それでも私はお兄様の様に一人の女性にだけ愛を注いでくれる人を心の片隅で探していたのかもしれません。
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