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愛してくれる人はいた
しおりを挟む突然ハルク様から抱きしめられ、
「俺では駄目か?」
「え?」
「俺ならガネットを一途に愛せる。死んでも愛せる。あんなクズの旦那よりお前を愛せる。俺では駄目か?」
「ハルク様?」
「初めは確かにからかいがあった。それでも一緒に過ごすうちに可愛いと思うようになった。からかい怒る顔も少し困った顔も可愛いと思うようになった。奥様と話してる時の笑顔も可愛いと思うようになった。ずっと見てきたんだ。ずっと見てきて愛しいと思うようになった。俺が護ってやりたい、俺が安らぎになりたいと思うようになった。
俺は男爵家の三男だ、いずれ平民になる。それに辺境の騎士だ。俺が持ってる物は剣を振るう腕一本しかない。それでもガネットを愛してる」
「ハルク様…」
「別に俺を愛さなくてもいい。俺では駄目か?」
「ハルク様…」
「俺には約束は出来ない。いつか必ずと言う約束は出来ない。だからいつかじゃなく出来る時にしかやらない。辺境は危険と隣り合わせの場所だ。いつ命がなくなるかそれさえも分からない。だから死んでも愛すのは俺じゃなくガネットの方だ。それでも俺を選んでくれ」
「約束は出来ませんか?」
「出来ない。辺境はいつか必ずが果たせる所じゃないんだ」
「死んでも愛すのは私の方ですか?」
「そうだ。この命が続く限りはガネットを愛す。だけど明日戦になればこの命も尽きるかもしれない」
「そうですか」
「ガネット、俺を信じてくれ」
「そうですね」
「ガネット?」
「ハルク様なら信じられます。約束を果たすのが私の特別な何かです。いつか必ずと楽しみにしているからこそ特別な何かになりました。でもいつか必ずは叶う事はないと分かりました。ならハルク様が言ったように出来る時にしたい。必ず叶う事しかしたくない」
「ああ」
「愛人は作らないで下さい」
「作る訳ない」
「浮気も許しません」
「それはガネットもだぞ」
「私ですか?」
「ガネットは騎士の中でもててる」
「それは知りませんでした」
「それはそうだろ。俺がどれだけ防いできたか」
「まあ」
「何だ?ガネットは俺よりも他の騎士が良いのか?」
「他の騎士の方は知りませんもの」
「俺だけでいい」
「ふふっ。私もハルク様だけで良いです」
「ガネット」
ハルク様にギュッと力強く抱きしめられました。ちょっと痛い、でもその痛さがとても心地良いと思います。
私はハルク様に手を引かれ宿舎に戻ります。宿舎の前でハルク様に挨拶をしました。
「送って下さりありがとうございます」
「ガネット」
「はい」
「俺達は恋人だろ?」
「そうですね」
「なら恋人らしくしてほしい」
「恋人らしく、ですか?」
「今のガネットは他人行儀だ」
ハルク様は少し拗ねていらっしゃいます。
「ふふっ。何も拗ねなくても」
「拗ねたくもなる」
「ハルク」
「何だ?」
「思った事は何でも言える関係になりたい」
「当たり前だ」
「でも公私は分けてね?」
「それが一番難しい。可愛いガネットがすぐそこにいたら抱きしめたくなるだろ?」
「公私は分けてね?」
「分かった」
「なら明日ね?」
「ああ明日な」
「ガネット」
ハルク様は私の手を繋ぎました。それから私の手を引いたので私はハルク様の胸の中に抱き寄せられました。ハルク様は抱き寄せた私の頬を包み上に向かせました。
ハルク様の唇と私の唇が重なりました。
恥ずかしく私は俯きました。
「嫌だったらごめん」
私は俯いたまま首を横に振ります。
私の額に口付けが落とされました。
「おやすみガネット」
「おやすみなさい」
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