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13:告白
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レオナルドが去っていく。
今度こそ、本当にさようなら。
私とレオナルドの人生は二度と交わることはない。
私を優しく抱き寄せてくれる、私を愛してくれる天使様。
私の為に人間になってくれたこの人の為に、私は生きていく。
「フィリップ様」
「なんだい?」
美しく優しい眼差しで私を見下ろして天使様が微笑む。
とろけるような甘い微笑み。
胸が高鳴り、体が熱くなる。
でも、今はまだ……
「他の誰にも聞いて欲しくありません。あなただけに、お伝えしたいの」
「愛しているよ、アリシア」
「フィリップ様……」
「わかっているから、大丈夫」
安心させるように私の髪を撫でる、大きな掌。
そのあたたかな掌は流れるように私の頬を包んだ。
◇ ◇ ◇
長く続いた祝宴が終わると、さすがに疲れを感じた。
煌びやかな大広間でたくさんの祝福を受けて、まるでおとぎ話のお姫様のようで、夢みたいで、幸せな時間。
解放されるのが少し寂しいけれど、天使様と二人きりで過ごす時間は深い安堵に包まれる。
「サラフィエル様」
二人きりだから、本当の名前で呼んでも、いいのよね……?
「なんだい?アリシア」
いつもの甘い笑顔が私に注がれる。
そっと抱き寄せられて、髪を撫でられ、労わるように額にキスされた。
「お疲れ様、アリシア」
「……こんなに、特別なことをして頂いて……」
「君は特別だから、特別なことをするのはむしろ特別じゃない」
言いながら天使様がくすりと笑う。
甘い空気とは違う、どこかお茶目な笑い方が少し可愛い。
「君には奇跡くらいが相応しいよ」
自信たっぷりな笑顔で断言された。
冗談に聞こえて、私も気が楽になる。
「ふふ」
「うぅん。いい笑顔だね。可愛い、可愛い」
「くすぐったい……っ」
「私と一緒にいると、楽しいかい?」
「はい」
「よかった」
私の頬や耳を優しく擽ったあと、天使様はにこりと笑った。
天使様……
優しい天使様に、私の気持ちを伝えたい。
「ん?」
私は天使様の両手を集めて掌で挟むように包んだ。
大きな手は私の手には収まらない。
はみ出した指先で、天使様は私の手首辺りを擽った。
「どうしたの?」
「あなたに、お伝えしたいの」
「うん」
天使様の瞳が深く私の目を覗き込む。
それだけで胸が熱くなる。
「サラフィエル様、私……」
「うん」
「あなたに、少しずつ惹かれて……」
「うん」
「今は、もう……」
「アリシア。私も、君を愛してる」
深い囁きの直後、天使様が甘いキスをする。
私は言葉を失って、息をするのも忘れて、弾けそうなときめきに耐える。
唇が離れた時、私を見つめているのは甘く微笑む天使様。
「愛しています」
想いが零れた。
すると天使様は一瞬だけ目を見開いて、その後、とても嬉しそうに目を細めた。
「愛しています。あなたと、生きていきたい」
想いを伝えることができてよかった。
私がこれから何度も伝えることになる、大切な想いを。
掛け替えのない人生を。
愛する人と。
これほど幸せなことはないから。
大切に、大切に、生きていきたい。
天使様が起こしてくださった奇跡を、その輝きをずっと、見失わないように。
今度こそ、本当にさようなら。
私とレオナルドの人生は二度と交わることはない。
私を優しく抱き寄せてくれる、私を愛してくれる天使様。
私の為に人間になってくれたこの人の為に、私は生きていく。
「フィリップ様」
「なんだい?」
美しく優しい眼差しで私を見下ろして天使様が微笑む。
とろけるような甘い微笑み。
胸が高鳴り、体が熱くなる。
でも、今はまだ……
「他の誰にも聞いて欲しくありません。あなただけに、お伝えしたいの」
「愛しているよ、アリシア」
「フィリップ様……」
「わかっているから、大丈夫」
安心させるように私の髪を撫でる、大きな掌。
そのあたたかな掌は流れるように私の頬を包んだ。
◇ ◇ ◇
長く続いた祝宴が終わると、さすがに疲れを感じた。
煌びやかな大広間でたくさんの祝福を受けて、まるでおとぎ話のお姫様のようで、夢みたいで、幸せな時間。
解放されるのが少し寂しいけれど、天使様と二人きりで過ごす時間は深い安堵に包まれる。
「サラフィエル様」
二人きりだから、本当の名前で呼んでも、いいのよね……?
「なんだい?アリシア」
いつもの甘い笑顔が私に注がれる。
そっと抱き寄せられて、髪を撫でられ、労わるように額にキスされた。
「お疲れ様、アリシア」
「……こんなに、特別なことをして頂いて……」
「君は特別だから、特別なことをするのはむしろ特別じゃない」
言いながら天使様がくすりと笑う。
甘い空気とは違う、どこかお茶目な笑い方が少し可愛い。
「君には奇跡くらいが相応しいよ」
自信たっぷりな笑顔で断言された。
冗談に聞こえて、私も気が楽になる。
「ふふ」
「うぅん。いい笑顔だね。可愛い、可愛い」
「くすぐったい……っ」
「私と一緒にいると、楽しいかい?」
「はい」
「よかった」
私の頬や耳を優しく擽ったあと、天使様はにこりと笑った。
天使様……
優しい天使様に、私の気持ちを伝えたい。
「ん?」
私は天使様の両手を集めて掌で挟むように包んだ。
大きな手は私の手には収まらない。
はみ出した指先で、天使様は私の手首辺りを擽った。
「どうしたの?」
「あなたに、お伝えしたいの」
「うん」
天使様の瞳が深く私の目を覗き込む。
それだけで胸が熱くなる。
「サラフィエル様、私……」
「うん」
「あなたに、少しずつ惹かれて……」
「うん」
「今は、もう……」
「アリシア。私も、君を愛してる」
深い囁きの直後、天使様が甘いキスをする。
私は言葉を失って、息をするのも忘れて、弾けそうなときめきに耐える。
唇が離れた時、私を見つめているのは甘く微笑む天使様。
「愛しています」
想いが零れた。
すると天使様は一瞬だけ目を見開いて、その後、とても嬉しそうに目を細めた。
「愛しています。あなたと、生きていきたい」
想いを伝えることができてよかった。
私がこれから何度も伝えることになる、大切な想いを。
掛け替えのない人生を。
愛する人と。
これほど幸せなことはないから。
大切に、大切に、生きていきたい。
天使様が起こしてくださった奇跡を、その輝きをずっと、見失わないように。
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