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第壱幕 神託
第九話
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「お前は啼々家の人間か?」
別室へと向かう渡り廊下の途中、辺りを見回しながら秋の後ろを歩いていた迦楼羅丸が、ふと口を開いた。
「いいえ。ただ、この里は啼々家から始まっております。里に住む人間には、少なからず啼々家の血が流れていますから、厳密には『はい』という答えになりますね」
「ややこしい言い方を…」
「貴方のいた時代を考えると、そう説明した方がよろしいかと思いまして」
「少なくとも、俺がいた時には分家の話が出ていた」
「そうでしたか。秋は分家の血筋に近い立場です」
「分家にはもったいない霊力だな」
「お分かりになるので?」
「ああ。お前は綺麗に隠しているみたいだが、アイツから同じ波動がする」
「あいつ…?冬ですか?」
「名は知らん。先程からずっと俺を監視している鬼の事だ」
その一言に、秋の足が止まった。
後ろを振り返れば、庭に生えた松の木へと迦楼羅丸は視線を向けている。
松の木には誰も登っていない。おそらくはそのさらに向こうへと視線を向けていたのだろう。
「この気配……神鬼だな。まだ生きていたのか」
「…いつから?」
「本殿…だったか?あそこは結界が張られていてわかりにくかったが、外に出た瞬間にハッキリとわかった。方角を絞り込めたのは今だがな。殺気がないから判断しにくいが…、あれはお前の式神か?」
「親友です」
「へぇ…。式神でもないのに、霊力分け与えているってのか。物好きだな。…いや、物好きは向こうの方か」
「彼、心配性なんです」
「そのようだな」
ふ、と笑い迦楼羅丸は自身の放出していた妖力を弱めた。
それを敏感に感じ取り、秋は眉根を寄せる。
「敵対するつもりはないからな。……向こうさんもわかったか」
「不快な思いをさせたのなら謝ります」
「いや。神鬼とそれを従える力のあるお前に免じて、今日のところは大人しくするさ。…ほら、行くぞ」
「はい」
上機嫌になった迦楼羅丸に胸をなでおろし、秋祇は再び足を進めた。
別室へと向かう渡り廊下の途中、辺りを見回しながら秋の後ろを歩いていた迦楼羅丸が、ふと口を開いた。
「いいえ。ただ、この里は啼々家から始まっております。里に住む人間には、少なからず啼々家の血が流れていますから、厳密には『はい』という答えになりますね」
「ややこしい言い方を…」
「貴方のいた時代を考えると、そう説明した方がよろしいかと思いまして」
「少なくとも、俺がいた時には分家の話が出ていた」
「そうでしたか。秋は分家の血筋に近い立場です」
「分家にはもったいない霊力だな」
「お分かりになるので?」
「ああ。お前は綺麗に隠しているみたいだが、アイツから同じ波動がする」
「あいつ…?冬ですか?」
「名は知らん。先程からずっと俺を監視している鬼の事だ」
その一言に、秋の足が止まった。
後ろを振り返れば、庭に生えた松の木へと迦楼羅丸は視線を向けている。
松の木には誰も登っていない。おそらくはそのさらに向こうへと視線を向けていたのだろう。
「この気配……神鬼だな。まだ生きていたのか」
「…いつから?」
「本殿…だったか?あそこは結界が張られていてわかりにくかったが、外に出た瞬間にハッキリとわかった。方角を絞り込めたのは今だがな。殺気がないから判断しにくいが…、あれはお前の式神か?」
「親友です」
「へぇ…。式神でもないのに、霊力分け与えているってのか。物好きだな。…いや、物好きは向こうの方か」
「彼、心配性なんです」
「そのようだな」
ふ、と笑い迦楼羅丸は自身の放出していた妖力を弱めた。
それを敏感に感じ取り、秋は眉根を寄せる。
「敵対するつもりはないからな。……向こうさんもわかったか」
「不快な思いをさせたのなら謝ります」
「いや。神鬼とそれを従える力のあるお前に免じて、今日のところは大人しくするさ。…ほら、行くぞ」
「はい」
上機嫌になった迦楼羅丸に胸をなでおろし、秋祇は再び足を進めた。
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