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第壱幕 神託
第八話
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ギクシャクと固まる体を何とか動かして水晶の前に立つ。
手と足が一緒に出ちゃってる。
わたし、相当緊張しているみたい。
当たり前だけど。
緊張しすぎて息も上手くできないよ。
呼吸音がうるさいくらい。
『あら?これって、迦楼羅の…』
「え?な、なに?」
一緒に付いて来てくれた幽霊のお姉さんが呟いた。
『神託の水晶っていうから、どんな特別な代物かと思ったら、これって迦楼羅の石だわ』
「かるらの石?」
『ええ。そこにいる迦楼羅の妖力の結晶体よ』
「え?迦楼羅丸様の!?」
思わず岩に封じられている迦楼羅丸様を見上げた。
この水晶玉が迦楼羅丸様の妖力の結晶体って、どういう事?
「どうした冬?」
「え?あ、何でもないです」
「早くしろ」
「は、はい」
泰時様に催促されて、わたしは慌てて水晶玉に手を翳す。
『いい?私の言うとおりにやるのよ』
「うん」
『まずは目を瞑って、大きく深呼吸』
「すー…はー…すー…はー…」
『気持ちが落ち着いたら、体の中を静かに水が流れるイメージをしてみて』
「うん」
何度か深呼吸を繰り返すと、緊張が解けてきた。
そのまま言われたとおりにイメージする。
水が、ゆっくりと、静かに流れる。
頭のてっぺんから腕を通り、お腹を通り足へ向かって、またゆっくりと頭へ。
『そのまま、水を水晶に注ぐようなイメージで』
流れる水がゆっくりと水晶に…。
『起きて、迦楼羅』
「おきて、かるら」
ピシリ、とヒビの入る音がした。
なんだろうと思った途端、
ピカァァァァァァァ!
「きゃああああああああ!」
眩く強い光が辺りを支配した。
あまりにも突然で、眩しすぎて、わたしは悲鳴を上げてしまった。
目を瞑っていてもまぶたの上から強烈な光が突き刺さる。
光が強すぎて何も見えない。
手で覆ったけれど、それでも光を遮る事が出来ない。
本殿は強すぎる光に支配されて、一面白い空間と化していた。
バキィィィンと何かが砕ける音がして、ようやく光が収まる。
強すぎる光に目をやられて、なかなか視力が戻ってこない。
「お前か、俺を起こしたのは」
「え?」
ようやく戻った視力で見たのは、先程まで岩に封じられていたはずの迦楼羅丸様の姿だった。
ぽかんと口を開けたままだったからかな、迦楼羅丸様の表情が『こいつ、大丈夫か?』と語っている。
何か言えばいいのだろうけれど、何を言えばいいのかがわからない。
『すごいわ、冬!迦楼羅が起きたわ』
幽霊のお姉さんは手を叩いて喜んでいるけれど、これは喜ぶべき状況なのかな?
あまりにも突然の出来事で、そして予想もしていなかった事態に誰も何も言えず、ただ迦楼羅丸様を見る事しかできない。
予想できていたのか、もしかしたらこういう事態に慣れているのか、幽霊のお姉さんだけはいつも通りだったけれど、やっぱり迦楼羅丸様にも見えていないようで、全然状況は変わらない。
誰も何も言えなくて、しばらく固まった時間が流れるのかなって思った時だった。
「折角お目覚めになられたのに、ずいぶんと不機嫌そうですね」
その一言で、時が流れ始めた。
いつもと変わらないトーンで、いつもと変わらない微笑を浮かべて秋ちゃんが言う。
平常を装っているのかそうでないのかはわからなかったけれど、ただ一人言葉を発した秋ちゃんへと迦楼羅丸様は視線を向けた。
「目の前に阿呆面下げた小娘がいて、こちらの質問には答えない。機嫌を損ねても文句はないだろう?」
「貴方様がお目覚めになるとは、誰も予想しておりませんでしたから。大変申し訳ございません」
三つ指ついて秋ちゃんは頭を下げた。
それに機嫌を良くしたのか、ただ単に興味を持ったのかはわからないけれど、迦楼羅丸様は秋ちゃんへと近づく。
「お前、名は?」
「秋、と申します。啼々家で女中をさせていただいております」
「女中?お前が?」
「はい」
わたしの位置からじゃ迦楼羅丸様の表情は見えないけれど、声からして訝しんだみたい。
秋ちゃん一人だけが妙に落ち着いているからなのかな?
服装だって地味だし、座布団に座っているわけでもないし、女中であることは一目でわかると思うけど…。
「昔からそうだったが、啼々家はどこか変わっているな」
「……」
「今の当主は?」
「こちらの、充実様にございます」
「…こいつが?」
秋ちゃんに紹介され、ようやく充実様も驚きから解放されてみたい。
慌てて迦楼羅丸様に会釈をした。
「申し遅れました。私、啼々家14代目当主、啼々充実と申します。以後、お見知りおきを」
「お前が当主…ねぇ。紫の時とは随分と違うんだな」
「違う、とは?」
「まあいい。状況が知りたい」
「は。では、別室で説明を…」
「秋、お前がしろ」
「秋が、でございますか?」
「そうだ」
迦楼羅丸様の言葉に、皆が顔を見合わせた。
啼々家の当主ではなく、なぜ一介の女中に?言葉はないけれど、皆の顔にはそう書かれている。
『迦楼羅、何かに気づいたのかしら?』
幽霊のお姉さんが呟く。
声に出して聞き返すわけにはいかないから、わたしは視線で聞き返す。
『もしかしたら秋を気に入っただけなのかもしれないけれど、迦楼羅が人を指名するなんて珍しいのよ』
どういう事かしら?と幽霊のお姉さんは首をかしげる。
わたしなんてもっとよくわからなくて、どうしていいのかわからずに立ち尽くすだけ。
わたしだけじゃない、全員が成り行きを見守るしかない。
秋ちゃんは充実様に視線を向ける。
主人の許可なく勝手に受ける訳にはいかない。
「秋は女中です、失礼な事があっては…」
「お前より遥かにいい」
「……」
バッサリと切り伏せられ、充実様は言葉を失う。
「人の少ないところがいい。秋、案内しろ」
やり取りの間、迦楼羅丸様の顔は一度たりとも充実様に向かない。
きっと視線だけを投げているのだと思う。
ずっと秋ちゃんを見下ろしている。
まるで、秋ちゃん以外はどうでもいい、そう態度で告げているみたい。
「秋の一存では決められません。充実様」
「……別室に案内して、説明を」
「かしこまりました」
歯を食いしばり、どこか悔しそうに言う充実様に一礼し、秋ちゃんは迦楼羅丸様と供に本殿を出て行った。
二人の足音が遠のき、完全に聞こえなくなると、それまで静寂が支配していた本殿に一気に声があふれた。
「迦楼羅丸が目覚めたぞ!?」
「いったいどういう事だ…」
「あの娘、どういう手を使ったのだ!?」
「まて、という事は、水晶は本物?」
「そんなバカな!」
「一介の女中風情が…」
「えぇい!静粛に!静粛に!」
充実様が声を上げるが、喧騒に掻き消されて届かない。
困惑が本殿を支配し、わたしに視線が集まる。
こんなことになるなんて思いもしなかった。
秋ちゃんと一緒に隅っこで神託の儀式を見ているだけだと思っていたのに。
神託をやらされて、迦楼羅丸様が目覚めて、頼みの綱の秋ちゃんは一緒にいなくなっちゃって…。
わたし、わたし…。
この後一体どうしたらいいのかなぁ。
秋ちゃぁん、助けてよ、秋ちゃん!
「冬」
「ふぇ…。泰時様ぁ。わ、わたし…その、いったいどうしたら…」
「まずは落ち着け」
「は、はい…」
腰に手を当てた泰時様が、やれやれと肩を竦めた。
そ、そうよね。まずは、お、落ち着かなくちゃ…。
深呼吸を何度か繰り返して、ようやく心が落ち着いてくる。
「とにかく、これでお前が嘘つきではないと証明されたわけだ」
「証明どころか、なんだかとんでもない事になってしまいましたけれど…」
「それはそうだが…。どうするかは、父上達が話し合いで決めるだろう」
「で、でも…」
「お前が慌てたところでどうにかなるものじゃない。ボクはお前の霊力が証明された事で満足した」
「か、勝手に満足しないでください!わたし、ただの女中なんですよ!?」
「じゃあ今日から姫巫女になればいい」
「ええ!?」
「実力はともかく、潜在能力の高さは証明されている。異議はないはずだ」
「そ、そんな事言われても…」
「ボクから父上に推薦してやろう」
「わたしには無理です!」
「やる前から無理だといってどうする」
「やらなくたってわかります!わたしは修行なんて一度もした事ないんですよ!」
「今からやればいい」
「無理です!」
「じゃあ命令だ。今からやれ」
「そんなぁ」
『ふふふ。これから大変ね』
「もー!お姉さん、笑ってないで助けてよぉ」
『あら、助けようにも私の声は貴女にしか聞こえないじゃない』
「なんだ?幽霊のお姉さんもボクの味方か?」
「お、お姉さんは中立ですっ!」
「という事は、反対ではない、と」
「あ……」
「諦めて姫巫女になるんだな」
意地悪く、どこか楽しそうに、嬉しそうに泰時様が笑った。
泰時様はこういうし、お姉さんは笑っているだけで助けてくれそうにないし。
なによりも、沢山の視線に耐えられそうにない。
今もまだ、時折わたしに視線を向けつつ、全員が何事か話している。
お願いします、話し合いならわたしのいないところでやってください。
またドキドキしてきて、わたし、わたし………。
早く戻ってきてよぉ、秋ちゃぁぁぁぁぁん!!!
手と足が一緒に出ちゃってる。
わたし、相当緊張しているみたい。
当たり前だけど。
緊張しすぎて息も上手くできないよ。
呼吸音がうるさいくらい。
『あら?これって、迦楼羅の…』
「え?な、なに?」
一緒に付いて来てくれた幽霊のお姉さんが呟いた。
『神託の水晶っていうから、どんな特別な代物かと思ったら、これって迦楼羅の石だわ』
「かるらの石?」
『ええ。そこにいる迦楼羅の妖力の結晶体よ』
「え?迦楼羅丸様の!?」
思わず岩に封じられている迦楼羅丸様を見上げた。
この水晶玉が迦楼羅丸様の妖力の結晶体って、どういう事?
「どうした冬?」
「え?あ、何でもないです」
「早くしろ」
「は、はい」
泰時様に催促されて、わたしは慌てて水晶玉に手を翳す。
『いい?私の言うとおりにやるのよ』
「うん」
『まずは目を瞑って、大きく深呼吸』
「すー…はー…すー…はー…」
『気持ちが落ち着いたら、体の中を静かに水が流れるイメージをしてみて』
「うん」
何度か深呼吸を繰り返すと、緊張が解けてきた。
そのまま言われたとおりにイメージする。
水が、ゆっくりと、静かに流れる。
頭のてっぺんから腕を通り、お腹を通り足へ向かって、またゆっくりと頭へ。
『そのまま、水を水晶に注ぐようなイメージで』
流れる水がゆっくりと水晶に…。
『起きて、迦楼羅』
「おきて、かるら」
ピシリ、とヒビの入る音がした。
なんだろうと思った途端、
ピカァァァァァァァ!
「きゃああああああああ!」
眩く強い光が辺りを支配した。
あまりにも突然で、眩しすぎて、わたしは悲鳴を上げてしまった。
目を瞑っていてもまぶたの上から強烈な光が突き刺さる。
光が強すぎて何も見えない。
手で覆ったけれど、それでも光を遮る事が出来ない。
本殿は強すぎる光に支配されて、一面白い空間と化していた。
バキィィィンと何かが砕ける音がして、ようやく光が収まる。
強すぎる光に目をやられて、なかなか視力が戻ってこない。
「お前か、俺を起こしたのは」
「え?」
ようやく戻った視力で見たのは、先程まで岩に封じられていたはずの迦楼羅丸様の姿だった。
ぽかんと口を開けたままだったからかな、迦楼羅丸様の表情が『こいつ、大丈夫か?』と語っている。
何か言えばいいのだろうけれど、何を言えばいいのかがわからない。
『すごいわ、冬!迦楼羅が起きたわ』
幽霊のお姉さんは手を叩いて喜んでいるけれど、これは喜ぶべき状況なのかな?
あまりにも突然の出来事で、そして予想もしていなかった事態に誰も何も言えず、ただ迦楼羅丸様を見る事しかできない。
予想できていたのか、もしかしたらこういう事態に慣れているのか、幽霊のお姉さんだけはいつも通りだったけれど、やっぱり迦楼羅丸様にも見えていないようで、全然状況は変わらない。
誰も何も言えなくて、しばらく固まった時間が流れるのかなって思った時だった。
「折角お目覚めになられたのに、ずいぶんと不機嫌そうですね」
その一言で、時が流れ始めた。
いつもと変わらないトーンで、いつもと変わらない微笑を浮かべて秋ちゃんが言う。
平常を装っているのかそうでないのかはわからなかったけれど、ただ一人言葉を発した秋ちゃんへと迦楼羅丸様は視線を向けた。
「目の前に阿呆面下げた小娘がいて、こちらの質問には答えない。機嫌を損ねても文句はないだろう?」
「貴方様がお目覚めになるとは、誰も予想しておりませんでしたから。大変申し訳ございません」
三つ指ついて秋ちゃんは頭を下げた。
それに機嫌を良くしたのか、ただ単に興味を持ったのかはわからないけれど、迦楼羅丸様は秋ちゃんへと近づく。
「お前、名は?」
「秋、と申します。啼々家で女中をさせていただいております」
「女中?お前が?」
「はい」
わたしの位置からじゃ迦楼羅丸様の表情は見えないけれど、声からして訝しんだみたい。
秋ちゃん一人だけが妙に落ち着いているからなのかな?
服装だって地味だし、座布団に座っているわけでもないし、女中であることは一目でわかると思うけど…。
「昔からそうだったが、啼々家はどこか変わっているな」
「……」
「今の当主は?」
「こちらの、充実様にございます」
「…こいつが?」
秋ちゃんに紹介され、ようやく充実様も驚きから解放されてみたい。
慌てて迦楼羅丸様に会釈をした。
「申し遅れました。私、啼々家14代目当主、啼々充実と申します。以後、お見知りおきを」
「お前が当主…ねぇ。紫の時とは随分と違うんだな」
「違う、とは?」
「まあいい。状況が知りたい」
「は。では、別室で説明を…」
「秋、お前がしろ」
「秋が、でございますか?」
「そうだ」
迦楼羅丸様の言葉に、皆が顔を見合わせた。
啼々家の当主ではなく、なぜ一介の女中に?言葉はないけれど、皆の顔にはそう書かれている。
『迦楼羅、何かに気づいたのかしら?』
幽霊のお姉さんが呟く。
声に出して聞き返すわけにはいかないから、わたしは視線で聞き返す。
『もしかしたら秋を気に入っただけなのかもしれないけれど、迦楼羅が人を指名するなんて珍しいのよ』
どういう事かしら?と幽霊のお姉さんは首をかしげる。
わたしなんてもっとよくわからなくて、どうしていいのかわからずに立ち尽くすだけ。
わたしだけじゃない、全員が成り行きを見守るしかない。
秋ちゃんは充実様に視線を向ける。
主人の許可なく勝手に受ける訳にはいかない。
「秋は女中です、失礼な事があっては…」
「お前より遥かにいい」
「……」
バッサリと切り伏せられ、充実様は言葉を失う。
「人の少ないところがいい。秋、案内しろ」
やり取りの間、迦楼羅丸様の顔は一度たりとも充実様に向かない。
きっと視線だけを投げているのだと思う。
ずっと秋ちゃんを見下ろしている。
まるで、秋ちゃん以外はどうでもいい、そう態度で告げているみたい。
「秋の一存では決められません。充実様」
「……別室に案内して、説明を」
「かしこまりました」
歯を食いしばり、どこか悔しそうに言う充実様に一礼し、秋ちゃんは迦楼羅丸様と供に本殿を出て行った。
二人の足音が遠のき、完全に聞こえなくなると、それまで静寂が支配していた本殿に一気に声があふれた。
「迦楼羅丸が目覚めたぞ!?」
「いったいどういう事だ…」
「あの娘、どういう手を使ったのだ!?」
「まて、という事は、水晶は本物?」
「そんなバカな!」
「一介の女中風情が…」
「えぇい!静粛に!静粛に!」
充実様が声を上げるが、喧騒に掻き消されて届かない。
困惑が本殿を支配し、わたしに視線が集まる。
こんなことになるなんて思いもしなかった。
秋ちゃんと一緒に隅っこで神託の儀式を見ているだけだと思っていたのに。
神託をやらされて、迦楼羅丸様が目覚めて、頼みの綱の秋ちゃんは一緒にいなくなっちゃって…。
わたし、わたし…。
この後一体どうしたらいいのかなぁ。
秋ちゃぁん、助けてよ、秋ちゃん!
「冬」
「ふぇ…。泰時様ぁ。わ、わたし…その、いったいどうしたら…」
「まずは落ち着け」
「は、はい…」
腰に手を当てた泰時様が、やれやれと肩を竦めた。
そ、そうよね。まずは、お、落ち着かなくちゃ…。
深呼吸を何度か繰り返して、ようやく心が落ち着いてくる。
「とにかく、これでお前が嘘つきではないと証明されたわけだ」
「証明どころか、なんだかとんでもない事になってしまいましたけれど…」
「それはそうだが…。どうするかは、父上達が話し合いで決めるだろう」
「で、でも…」
「お前が慌てたところでどうにかなるものじゃない。ボクはお前の霊力が証明された事で満足した」
「か、勝手に満足しないでください!わたし、ただの女中なんですよ!?」
「じゃあ今日から姫巫女になればいい」
「ええ!?」
「実力はともかく、潜在能力の高さは証明されている。異議はないはずだ」
「そ、そんな事言われても…」
「ボクから父上に推薦してやろう」
「わたしには無理です!」
「やる前から無理だといってどうする」
「やらなくたってわかります!わたしは修行なんて一度もした事ないんですよ!」
「今からやればいい」
「無理です!」
「じゃあ命令だ。今からやれ」
「そんなぁ」
『ふふふ。これから大変ね』
「もー!お姉さん、笑ってないで助けてよぉ」
『あら、助けようにも私の声は貴女にしか聞こえないじゃない』
「なんだ?幽霊のお姉さんもボクの味方か?」
「お、お姉さんは中立ですっ!」
「という事は、反対ではない、と」
「あ……」
「諦めて姫巫女になるんだな」
意地悪く、どこか楽しそうに、嬉しそうに泰時様が笑った。
泰時様はこういうし、お姉さんは笑っているだけで助けてくれそうにないし。
なによりも、沢山の視線に耐えられそうにない。
今もまだ、時折わたしに視線を向けつつ、全員が何事か話している。
お願いします、話し合いならわたしのいないところでやってください。
またドキドキしてきて、わたし、わたし………。
早く戻ってきてよぉ、秋ちゃぁぁぁぁぁん!!!
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