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第弐幕 宿祢
第二十話
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どれくらいの間霊力を注いでいたのかわからない。
気が付いたらもう夕方だった。
ずっと霊力を注ぎ続けていたらだんだんとくらくらしてきたけれど、そんな事言っていられない。
幽霊のお姉さんも迦楼羅丸様も、わたしを止めるような事はしなかった。
止められたところで、きっとわたしはやり続ける。
二人ともそれをわかっていたのかもしれない。
だから、フラフラになってもやって良かったって、今は心の底から思う。
「おはよう、宿祢」
現れた綺麗な空色の目に、また涙が溢れてきた。
「…針千本、飲まずに済みそうでござるな」
その笑顔は、わたしが見たいと思っていた温かい笑顔。
「うん。一緒に秋ちゃんのおはぎ、食べようね」
そっと伸びた手が、わたしの涙を拭う。
ゆっくりと体を起こす宿祢を支えて、視線を合わせた。
「なにか、礼をせねばならぬな」
「それじゃあ、わたしが姫巫女になれるように手伝ってよ。わたし一人じゃ何もできないって、身に染みたんだから」
「冬殿が拙者を必要としてくれるのならば」
『ねぇ冬。宿祢と式神契約したら?』
「式神契約?」
「それはいい考えだ」
「なんでござるか?」
聞き返したわたしの言葉に、迦楼羅丸様が賛同した。
式神契約がなんなのかわからない宿祢はきょとんとした顔で聞き返した。
「宿祢、お前は今までずっと落魂珠で命を繋いでいたそうだ。その繋ぎが失われた今、お前の存在は不安定なものになっている可能性がある」
「不安定…」
「今は小娘の霊力を注いで安定させているが、それが尽きればまた命の危険がある」
「つまり、今の拙者は、一時的に命を繋ぎとめている状態なのでござるな」
「そうだ。そして小娘と式神契約をすれば、常に霊力を分け与えられている状態だ。お前の存在は安定する。その対価として、お前は小娘の為に命を使え。こいつに渡した命だ、断る理由はないだろう」
「うむ。拙者に異論はない。冬殿はどうでござるか?」
「宿祢を助けられるなら…」
『常に霊力を分け与える為には、相当修行が必要よ。厳しいけれど、耐えられるかしら?』
「だ、大丈夫だよ!」
意地悪く言うお姉さんに言い返して、わたしは宿祢に手を差し出した。
「宿祢、わたしが立派な姫巫女になれるように、一緒に頑張ってほしいの。協力してくれる?」
「もちろんでござる。この命に代えても、冬殿をお守りするでござるよ」
「わたしも、宿祢をがっかりさせないように、命懸けで姫巫女になるよ」
握られた手を強く握り返す。
宿祢が助けたくれた命。
わたし、大事に使うよ。
夢を叶えてって宿祢が言ってくれた。
その宿祢が、無理やり死の淵から呼び戻したわたしに嫌な顔一つせずに協力すると言ってくれた。
だったらわたしは、本当に命を懸けて姫巫女になる。
その為に一生懸命頑張る。
どんなに厳しい修行でも、宿祢と一緒なら乗り越えられる気がするから。
気が付いたらもう夕方だった。
ずっと霊力を注ぎ続けていたらだんだんとくらくらしてきたけれど、そんな事言っていられない。
幽霊のお姉さんも迦楼羅丸様も、わたしを止めるような事はしなかった。
止められたところで、きっとわたしはやり続ける。
二人ともそれをわかっていたのかもしれない。
だから、フラフラになってもやって良かったって、今は心の底から思う。
「おはよう、宿祢」
現れた綺麗な空色の目に、また涙が溢れてきた。
「…針千本、飲まずに済みそうでござるな」
その笑顔は、わたしが見たいと思っていた温かい笑顔。
「うん。一緒に秋ちゃんのおはぎ、食べようね」
そっと伸びた手が、わたしの涙を拭う。
ゆっくりと体を起こす宿祢を支えて、視線を合わせた。
「なにか、礼をせねばならぬな」
「それじゃあ、わたしが姫巫女になれるように手伝ってよ。わたし一人じゃ何もできないって、身に染みたんだから」
「冬殿が拙者を必要としてくれるのならば」
『ねぇ冬。宿祢と式神契約したら?』
「式神契約?」
「それはいい考えだ」
「なんでござるか?」
聞き返したわたしの言葉に、迦楼羅丸様が賛同した。
式神契約がなんなのかわからない宿祢はきょとんとした顔で聞き返した。
「宿祢、お前は今までずっと落魂珠で命を繋いでいたそうだ。その繋ぎが失われた今、お前の存在は不安定なものになっている可能性がある」
「不安定…」
「今は小娘の霊力を注いで安定させているが、それが尽きればまた命の危険がある」
「つまり、今の拙者は、一時的に命を繋ぎとめている状態なのでござるな」
「そうだ。そして小娘と式神契約をすれば、常に霊力を分け与えられている状態だ。お前の存在は安定する。その対価として、お前は小娘の為に命を使え。こいつに渡した命だ、断る理由はないだろう」
「うむ。拙者に異論はない。冬殿はどうでござるか?」
「宿祢を助けられるなら…」
『常に霊力を分け与える為には、相当修行が必要よ。厳しいけれど、耐えられるかしら?』
「だ、大丈夫だよ!」
意地悪く言うお姉さんに言い返して、わたしは宿祢に手を差し出した。
「宿祢、わたしが立派な姫巫女になれるように、一緒に頑張ってほしいの。協力してくれる?」
「もちろんでござる。この命に代えても、冬殿をお守りするでござるよ」
「わたしも、宿祢をがっかりさせないように、命懸けで姫巫女になるよ」
握られた手を強く握り返す。
宿祢が助けたくれた命。
わたし、大事に使うよ。
夢を叶えてって宿祢が言ってくれた。
その宿祢が、無理やり死の淵から呼び戻したわたしに嫌な顔一つせずに協力すると言ってくれた。
だったらわたしは、本当に命を懸けて姫巫女になる。
その為に一生懸命頑張る。
どんなに厳しい修行でも、宿祢と一緒なら乗り越えられる気がするから。
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