聖女として白龍の生贄になると思ったらなぜか騎士様と契約結婚することになって愛されています

鳥花風星

文字の大きさ
19 / 82

セシルの気持ちとベルの助言

しおりを挟む

 ベル様にランス様のことをどう思っているのかと聞かれたけれど、正直自分の気持ちがよくわからない。

「どう、と言われましても……」

 困惑するわたしに、ベル様は優しく微笑んでくれる。

「単純なことで良いのよ。この人かっこいい!とか、なんか気持ち悪い!とか」

「気持ち悪いなんて思ったことはないです!むしろ、素敵すぎるので私なんかが相手でいいのだろうかと……」

 最後の方は自然に声が小さくなってしまった。

「そう。セシルはランスのこと、きっともう好きになり始めているのね」

 うふふ、と嬉しそうに笑うベル様の言葉に少し驚いてしまう。私のこの気持ちは、好きということなのだろうか。

「ランス様と一緒にいると胸がドキドキして顔も熱くなってしまいますし、そのせいで変なことを言ってしまっていないだろうかとか考えてしまうんです。昨日はランス様の様子がおかしくて、私とキスするのがそんなに嫌だったのかなって……もしかしたらランス様には他に思う人がいるからなんじゃないかとか」

「まぁ、キスしたの?そっか、浄化で力を使いすぎたから補充が必要だったのね。あらあら、そうだったの」

 両手を頬に添えてキャッキャっと嬉しそうにしている。ベル様、こういうモードになると途端に別人みたいになるなぁ。

「でも、ランスに他に思い人がいるだなんて、なぜそう思ったの?ランスにそう言われた?」

 覗き込むようにしてベル様が言う。さっきまでキャッキャしてた顔とは打って変わって真剣だ。

「いえ、その、なんとなくです。キスした後にランス様がずっと塞ぎ込んでいるようでしたし……。ミゼル様との仲もなんとなくぎこちなくなってしまって、よくわからないけれどたぶん私のせいなのはわかるので、私が聖女じゃない方が良かったんじゃないかって」

 言いながらどんどん自信が無くなっていく。聖女に選ばれてランス様の元で生きて行けるのは嬉しいけれど、私なんかじゃなかったらランス様もあんな風にならなかったんじゃないだろうか。

「ミゼルとランスの仲がぎこちなくなったの?珍しいわね」

 驚くベル様に昨日の話をすると、ベル様は途端に楽しそうな顔をした。え、どういうこと?この状況で一体何が楽しいのだろう……?

「なるほどねぇ。ミゼルもミゼルだけど、ランスったら、ウフフ」

 一人でぶつぶつと嬉しそうに呟いている。なんだろう、気になってしまう。

「あの……」

「あぁ、ごめんなさい!セシル、そのことランスにちゃんと話した?あなたのことだから言ってないでしょう。だめよ、ちゃんと気持ちは伝えないと。わかってもらえるはずのものもわかってもらえないわ」

 それに、とベル様は人差し指を立てて言う。

「ランスにもなぜ塞ぎ込んでいたのか聞いてみて。聞かなきゃ何もわからないでしょう。ランスのパートナーとして、虹の力を持つ聖女として生きていくと覚悟を決めて来たのなら、ちゃんとランスとコミュニケーションを取らなくちゃ。怖いかもしれないけれど、一番大事なことよ」

 ね?と私の両手を取って優しく微笑む。ベル様に微笑まれると、なんだか安心する。もしかしてこれも聖女の力なんだろうか。聖女が聖女に力を分けるなんてことあるのかな。

 それともベル様には人を安心させる何かがあるのだろうか。

 何にせよ、ランス様とちゃんと話をしてみよう、という気持ちになれた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~

白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。 国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。 幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。 いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。 これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

処理中です...