20 / 82
白龍使いの騎士にとって必要なこと(ランス視点)
しおりを挟む
「さて、と。昨日はケインズがすまなかったな」
俺とユーズ団長は応接室から移動し執務室で話をしていた。
ケインズ団長の態度に対して俺があまりにも怒りを顕にしていたことで、ユーズ様に気を使わせてしまったようだ。
「いえ、こちらこそ……態度に出てしまい申し訳ありませんでした」
俺の謝る様子を見て、ユーズ団長はやれやれと頭をかく。
「しかしあれだな、お前どうかしたのか?あんなに態度に出すのは珍しいだろう。それに少し気が立ってる様子だったが」
顎に手をかけてこちらを伺う。団長は目敏いし、嘘をついても見抜かれてしまうのはわかりきっている。
「実は……」
浄化の任務の際に起きたことを伝えると、ユーズ団長は渋い顔をしてため息をついた。
「ミゼルがそんなことを……なるほどな。それは確かに気も立つだろうな。お前、セシルのことをもう本気で好きなんだろ」
団長にそう言われて思わず無言になる。
「そう、ですね。好きになってしまってるんだと思います。ですがそのせいで白龍使いの騎士として大切なことが疎かになってしまっているとしたら、俺はこのまま白龍使いの騎士としてやっていけるのかどうか」
「疑問になってしまっている、ということだな」
ユーズ団長に問われてすぐに頷いてしまう。
「ランスは白龍使いの騎士として大切なことってなんだと思う?」
「白龍へ力の供給をきちんと行うこと。白龍と聖女を何があっても守り抜くこと、でしょうか」
俺の答えにふむ、とユーズ団長は軽く頷いた。
「そのどちらももちろん大切だ。だが、もうひとつ大切なことがある」
言われてユーズ団長の顔を見る。
「自分のパートナーとなった聖女を心の底から愛し抜くことだ」
思ってもみなかった言葉に思わず驚く。
「聖女とはあくまでも契約結婚だ。だが、その聖女から力をわけてもらうために、聖女とキスや交わりを行わなければならない。それが人としてお互いにとってどれほど重要なことかきちんと考えなければならない」
ユーズ団長は俺の目を見ながらしっかりと言い放つ。
「別に契約だからと割り切る騎士や聖女ももちろんいる。だが、そうでない騎士や聖女の方が多い。そして、気持ちはあった筈なのにいつしかお互いに向き合い愛し合おうとしない二人の末路は悲しいものばかりだ」
白龍との任務以外聖女を放ったらかしにする騎士のせいで、騎士との力分けを拒み始めた聖女が白龍へ直接力分けを行うことで騎士への心が離れ、白龍もまたそんな騎士を不要と見なした。
聖女がパートナーである騎士以外の男性と恋仲になったせいで、白龍の力は弱まり白龍使いの騎士もまた白龍使いの騎士特有の病に倒れてしまった。
そんな騎士と聖女が過去に何組もいたという。
「俺達も聖女様達も騎士と聖女である以前に一人の人間だ。相手を思いやり愛しいと思えなければ関係は簡単に壊れてしまう。だからこそ、相手を心から愛し抜く覚悟が必要なんだ」
ユーズ団長はきっとそれを実際にきちんと行ってきたのだろう。だからこそベル様とあれほどの絆を強めることができているのだ。
「そしてそのために必要なことはなんだと思う?」
ユーズ団長に聞かれ考えてみる。
「お互いを知ろうとすること、でしょうか」
「そうだ。そしてそのためにちゃんとコミュニケーションを取ること。お前はセシルとちゃんと話をして、気持ちを伝えているか?」
ユーズ団長に言われてぐうの音も出ない。
「俺なんかが気持ちを伝えて、もしも拒否されたり少しでも嫌な気持ちになられたらと思うと……」
「そんなの、言ってみなきゃわからんだろが。それに、あのセシルがあからさまにそんな嫌な態度とると思うか?」
そう言われると、セシルはそんなことしないだろうと思う。むしろ優しいから、たとえ嫌だと思ってもそれを見せないように気を使うかもしれない。それはそれで申し訳なくなってしまうのだが。
「また一人であれこれ考えすぎているな。お前は考えすぎる節がある。考えることは大事だが、考えすぎて前に進めないのは意味が無い」
ユーズ団長はポン、と俺の肩を軽く叩いた。
「お前はもうちょっと気楽に構えていい。それに、セシルはきっとお前と同じ気持ちだ」
俺の観察眼は鋭いんだぞ、と言われてしまったけれど、本当にそうだとしたら嬉しいんだけどな。
俺とユーズ団長は応接室から移動し執務室で話をしていた。
ケインズ団長の態度に対して俺があまりにも怒りを顕にしていたことで、ユーズ様に気を使わせてしまったようだ。
「いえ、こちらこそ……態度に出てしまい申し訳ありませんでした」
俺の謝る様子を見て、ユーズ団長はやれやれと頭をかく。
「しかしあれだな、お前どうかしたのか?あんなに態度に出すのは珍しいだろう。それに少し気が立ってる様子だったが」
顎に手をかけてこちらを伺う。団長は目敏いし、嘘をついても見抜かれてしまうのはわかりきっている。
「実は……」
浄化の任務の際に起きたことを伝えると、ユーズ団長は渋い顔をしてため息をついた。
「ミゼルがそんなことを……なるほどな。それは確かに気も立つだろうな。お前、セシルのことをもう本気で好きなんだろ」
団長にそう言われて思わず無言になる。
「そう、ですね。好きになってしまってるんだと思います。ですがそのせいで白龍使いの騎士として大切なことが疎かになってしまっているとしたら、俺はこのまま白龍使いの騎士としてやっていけるのかどうか」
「疑問になってしまっている、ということだな」
ユーズ団長に問われてすぐに頷いてしまう。
「ランスは白龍使いの騎士として大切なことってなんだと思う?」
「白龍へ力の供給をきちんと行うこと。白龍と聖女を何があっても守り抜くこと、でしょうか」
俺の答えにふむ、とユーズ団長は軽く頷いた。
「そのどちらももちろん大切だ。だが、もうひとつ大切なことがある」
言われてユーズ団長の顔を見る。
「自分のパートナーとなった聖女を心の底から愛し抜くことだ」
思ってもみなかった言葉に思わず驚く。
「聖女とはあくまでも契約結婚だ。だが、その聖女から力をわけてもらうために、聖女とキスや交わりを行わなければならない。それが人としてお互いにとってどれほど重要なことかきちんと考えなければならない」
ユーズ団長は俺の目を見ながらしっかりと言い放つ。
「別に契約だからと割り切る騎士や聖女ももちろんいる。だが、そうでない騎士や聖女の方が多い。そして、気持ちはあった筈なのにいつしかお互いに向き合い愛し合おうとしない二人の末路は悲しいものばかりだ」
白龍との任務以外聖女を放ったらかしにする騎士のせいで、騎士との力分けを拒み始めた聖女が白龍へ直接力分けを行うことで騎士への心が離れ、白龍もまたそんな騎士を不要と見なした。
聖女がパートナーである騎士以外の男性と恋仲になったせいで、白龍の力は弱まり白龍使いの騎士もまた白龍使いの騎士特有の病に倒れてしまった。
そんな騎士と聖女が過去に何組もいたという。
「俺達も聖女様達も騎士と聖女である以前に一人の人間だ。相手を思いやり愛しいと思えなければ関係は簡単に壊れてしまう。だからこそ、相手を心から愛し抜く覚悟が必要なんだ」
ユーズ団長はきっとそれを実際にきちんと行ってきたのだろう。だからこそベル様とあれほどの絆を強めることができているのだ。
「そしてそのために必要なことはなんだと思う?」
ユーズ団長に聞かれ考えてみる。
「お互いを知ろうとすること、でしょうか」
「そうだ。そしてそのためにちゃんとコミュニケーションを取ること。お前はセシルとちゃんと話をして、気持ちを伝えているか?」
ユーズ団長に言われてぐうの音も出ない。
「俺なんかが気持ちを伝えて、もしも拒否されたり少しでも嫌な気持ちになられたらと思うと……」
「そんなの、言ってみなきゃわからんだろが。それに、あのセシルがあからさまにそんな嫌な態度とると思うか?」
そう言われると、セシルはそんなことしないだろうと思う。むしろ優しいから、たとえ嫌だと思ってもそれを見せないように気を使うかもしれない。それはそれで申し訳なくなってしまうのだが。
「また一人であれこれ考えすぎているな。お前は考えすぎる節がある。考えることは大事だが、考えすぎて前に進めないのは意味が無い」
ユーズ団長はポン、と俺の肩を軽く叩いた。
「お前はもうちょっと気楽に構えていい。それに、セシルはきっとお前と同じ気持ちだ」
俺の観察眼は鋭いんだぞ、と言われてしまったけれど、本当にそうだとしたら嬉しいんだけどな。
15
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!
屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。
そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。
そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。
ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。
突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。
リクハルド様に似ても似つかない子供。
そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる