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騎士ユーズと聖女ベルの馴れ初め
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「聖女に選ばれてランスの所に来た時はびっくりしたでしょう」
ユーズ様とランス様が退室してから、ベル様と私は庭園近くの芝生でピクニックのようにお茶とお菓子を広げながら二人でゆっくり喋っている。
「はい。まさか生贄は建前で、生きて聖女の力を分けることになるなんて思いもしませんでした。でも、死なないとわかってすごく嬉しかったです」
お茶を飲んでほうっと一息ついた。本当にこうして美味しいお茶をのんびりと飲めることが奇跡に感じる。
「わかるわ、私もそうだったもの。生贄になって死ぬものだとばかり思ってたから、まさか生きていられるなんてって。聖女の力については正直びっくりしたけれど……」
そう言って目を伏せながら微笑んでいる。ベル様、そうしているだけで本当にお美しい。さっきまでのはしゃぎっぷりが嘘のようだ。
「あの、ベル様は、ユーズ様とは最初から仲がよかったのですか?」
気になっていることを聞いてみる。お二人の仲の良さはどのようにして育まれたのだろう。私もいつかランス様とそんな風になれるのだろうか。
「まさか!最初はむしろ言い合いばかりしてたわ。聖女として来た以上契約は済ませたけれど、育ち方も生活も性格も何もかも違う二人が何も知らない状態から一緒になるのよ?まして恋愛結婚でもない。大変だったわね」
空を眺めながらベル様はそう言う。あんなに仲が良いユーズ様とベル様が、言い合い?!にわかには信じられない。
「逃げ出したいと思ったりしなかったんですか?」
「逃げ出したい、とは思わなかったわね。だって自分で決めたことだもの。むしろ、どうやったらここで居心地良く生きていけるかに必死だったわ。だってせっかく生きていることができるんだもの。だからユーズとも真正面から向き合ったの」
うふふ、と可愛らしく笑う。日の光に照らされてベル様の笑顔は輝いて見える。
「あの人ね、今ではあんなに気さくに色んな人と話すけれど、出会った頃は周りに人を寄せ付けないような寡黙なタイプだったの。きっと人嫌いだったのね、傷つかないように、そして傷つけないようにしていたんだと思う。だから何を考えているのか分かりにくくて。逆に私はこんなでしょう?正反対だから分かり合うのに苦労したわ」
あのユーズ様が若い頃はそんな風だったなんて意外だ。
「どうやって分かり合うようになったんですか?」
正反対の二人が分かり合うなんてできるんだろうか。でも、実際こうしてユーズ様とベル様は今はラブラブだ。
「とにかく話し合ったの。だって相手のことは何もわからないんだもの。特に心を開いてない状態なら尚更よね。でも無理矢理こじ開けようとすれば余計閉じられてしまう。根気がいるわ。それでも、ここで生きていくって決めたんだもの、パートナーとなる相手とは良好な関係を築きたいじゃない。それを白龍であるユインも望んでいたわけだし」
ほんの些細なことでも一緒に喜び、怒り、楽しみ、分かち合う。相手のことで不審に思ったこと、不安に思ったことは素直に言うし疑問に思うことは聞く。言う時も聞く時も、相手が受け取りやすいように考えながら。そして相手にも自分をわかってもらえるように努力する。
「最初は自分のためだったのよ、きっとそれはお互い様。でも、そうしてお互いに歩み寄っていくうちに、次第に自分のためだけじゃなく、相手のためにもそうしようと思えるようになったの。そして相手のことがわかってくるうちに、どんどん愛おしくなっていったわ。大切な大切なたった一人のパートナーを」
ユーズ様のことを考えているのだろう、ベル様の表情はとても優しく、そしてうっとりとしている。それは愛するものを思う人の表情だ。
「すごいんですね……そんなの、恋愛結婚した人たちでもなかなかできないことかもしれないのに」
お二人の馴れ初めを聞いていて思わずため息が出る。そんなの、途方もない作業としか思えない。
「そうね。好き合っていればいるからこそ、その大切な工程を省きがちになってしまうのかもしれない。わかって当然だろうって傲慢になってしまうのね。私達だってそうよ。だからこそ、そうなってしまう時はどちらかが気づいて修正していくの。その作業がめんどくさいとか思うようになったらきっとそれは愛が見えなくなった証拠だわ」
風にベル様の髪の美しい毛が靡く。花びらも舞ってキラキラ輝いている。
「愛は消えてしまうわけでも無くなってしまうわけでもないのよ。愛はいつだってそこにあるの。それが見えなくなってしまうだけ。きっと見えない心になってしまっただけなのよ、自分自身への愛も、相手への愛も。それがわかれば相手を見た時の状況も心境も全然変わってくる」
私は、こんな風にランス様と愛を育んでいくことができるのだろうか。そもそも、ランス様に愛してもらえるんだろうか。
「セシルはランスのことをどう思っているの?」
ユーズ様とランス様が退室してから、ベル様と私は庭園近くの芝生でピクニックのようにお茶とお菓子を広げながら二人でゆっくり喋っている。
「はい。まさか生贄は建前で、生きて聖女の力を分けることになるなんて思いもしませんでした。でも、死なないとわかってすごく嬉しかったです」
お茶を飲んでほうっと一息ついた。本当にこうして美味しいお茶をのんびりと飲めることが奇跡に感じる。
「わかるわ、私もそうだったもの。生贄になって死ぬものだとばかり思ってたから、まさか生きていられるなんてって。聖女の力については正直びっくりしたけれど……」
そう言って目を伏せながら微笑んでいる。ベル様、そうしているだけで本当にお美しい。さっきまでのはしゃぎっぷりが嘘のようだ。
「あの、ベル様は、ユーズ様とは最初から仲がよかったのですか?」
気になっていることを聞いてみる。お二人の仲の良さはどのようにして育まれたのだろう。私もいつかランス様とそんな風になれるのだろうか。
「まさか!最初はむしろ言い合いばかりしてたわ。聖女として来た以上契約は済ませたけれど、育ち方も生活も性格も何もかも違う二人が何も知らない状態から一緒になるのよ?まして恋愛結婚でもない。大変だったわね」
空を眺めながらベル様はそう言う。あんなに仲が良いユーズ様とベル様が、言い合い?!にわかには信じられない。
「逃げ出したいと思ったりしなかったんですか?」
「逃げ出したい、とは思わなかったわね。だって自分で決めたことだもの。むしろ、どうやったらここで居心地良く生きていけるかに必死だったわ。だってせっかく生きていることができるんだもの。だからユーズとも真正面から向き合ったの」
うふふ、と可愛らしく笑う。日の光に照らされてベル様の笑顔は輝いて見える。
「あの人ね、今ではあんなに気さくに色んな人と話すけれど、出会った頃は周りに人を寄せ付けないような寡黙なタイプだったの。きっと人嫌いだったのね、傷つかないように、そして傷つけないようにしていたんだと思う。だから何を考えているのか分かりにくくて。逆に私はこんなでしょう?正反対だから分かり合うのに苦労したわ」
あのユーズ様が若い頃はそんな風だったなんて意外だ。
「どうやって分かり合うようになったんですか?」
正反対の二人が分かり合うなんてできるんだろうか。でも、実際こうしてユーズ様とベル様は今はラブラブだ。
「とにかく話し合ったの。だって相手のことは何もわからないんだもの。特に心を開いてない状態なら尚更よね。でも無理矢理こじ開けようとすれば余計閉じられてしまう。根気がいるわ。それでも、ここで生きていくって決めたんだもの、パートナーとなる相手とは良好な関係を築きたいじゃない。それを白龍であるユインも望んでいたわけだし」
ほんの些細なことでも一緒に喜び、怒り、楽しみ、分かち合う。相手のことで不審に思ったこと、不安に思ったことは素直に言うし疑問に思うことは聞く。言う時も聞く時も、相手が受け取りやすいように考えながら。そして相手にも自分をわかってもらえるように努力する。
「最初は自分のためだったのよ、きっとそれはお互い様。でも、そうしてお互いに歩み寄っていくうちに、次第に自分のためだけじゃなく、相手のためにもそうしようと思えるようになったの。そして相手のことがわかってくるうちに、どんどん愛おしくなっていったわ。大切な大切なたった一人のパートナーを」
ユーズ様のことを考えているのだろう、ベル様の表情はとても優しく、そしてうっとりとしている。それは愛するものを思う人の表情だ。
「すごいんですね……そんなの、恋愛結婚した人たちでもなかなかできないことかもしれないのに」
お二人の馴れ初めを聞いていて思わずため息が出る。そんなの、途方もない作業としか思えない。
「そうね。好き合っていればいるからこそ、その大切な工程を省きがちになってしまうのかもしれない。わかって当然だろうって傲慢になってしまうのね。私達だってそうよ。だからこそ、そうなってしまう時はどちらかが気づいて修正していくの。その作業がめんどくさいとか思うようになったらきっとそれは愛が見えなくなった証拠だわ」
風にベル様の髪の美しい毛が靡く。花びらも舞ってキラキラ輝いている。
「愛は消えてしまうわけでも無くなってしまうわけでもないのよ。愛はいつだってそこにあるの。それが見えなくなってしまうだけ。きっと見えない心になってしまっただけなのよ、自分自身への愛も、相手への愛も。それがわかれば相手を見た時の状況も心境も全然変わってくる」
私は、こんな風にランス様と愛を育んでいくことができるのだろうか。そもそも、ランス様に愛してもらえるんだろうか。
「セシルはランスのことをどう思っているの?」
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