辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ

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13話

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 王都の使者を追い返した後、ガイウスの怒りは、すぐさまミサキへの甘い愛情へと変わった。

 彼は剣を鞘に戻すと、ミサキを強く抱きしめた。

「怖かっただろう、ミサキ。すまない。私の庇護が、君に不安を与えてしまった」

「いいえ、団長……」

 ミサキは、彼の鎧越しに伝わる強烈な鼓動を感じながら言った。

「団長の冷酷さが、私のスローライフを守ってくれました。団長の愛が、どれほど強大か、よくわかりました」

 しかし、ガイウスはまだ納得していなかった。

「だが、これで終わりではない。王都の貴族は貪欲だ。彼らは、一度狙いを定めたら、手段を選ばずに君を奪いに来る。私の私的な庇護だけでは、限界がある」

 ガイウスは、ミサキを抱きしめたまま、真剣な眼差しで彼女を見つめた。

「ミサキ。私は、君の安全を、公的なものにする必要がある」

「公的なもの、ですか?」

 ミサキは尋ねた。

「ああ。君は私の専属料理人ではない。今日から君は、私の婚約者となる」

 ガイウスの言葉に、ミサキは驚いて目を見開いた。

「婚約者!?」

「そうだ。王都の貴族が最も手を出しにくい存在、それは最強の騎士団長の婚約者だ。私の妻となる女性は、王国の全ての法律と私の命によって守られる。彼らは、もはや君を『辺境の料理人』として扱うことはできない」

 ガイウスは、ミサキの手を取り、そこに騎士団長の紋章が刻まれた、重厚な銀の指輪をはめた。

「これは、辺境の騎士団長の権威の証だ。これを持つ者は、私の命と同等の価値を持つ。この指輪をはめている限り、君は絶対的な庇護の下にある」

 ガイウスの求婚は、愛の告白であると同時に、ミサキの安全を確保するための、冷徹な戦略でもあった。

 ミサキは、その指輪を見つめた。スローライフを求めていたはずの自分が、まさか最強の騎士団長と婚約することになるとは、想像もしていなかった。

 だが、彼の言葉は、ミサキの心を強く打った。彼は、自分の独占欲を満たすだけでなく、ミサキの平和な生活を守るために、自分の権威と地位を惜しみなく使おうとしている。

 ミサキは、ガイウスを見つめ返した。

「ガイウス団長。ありがとうございます。あなたといる生活は、私が思い描いたスローライフとは全く違います」

 ミサキは微笑んだ。

「でも、あなたの傍には、最高の美食と、偽りのない愛があります。わたくし、あなたの妻として、この辺境の平和を守るため、あなたの隣にいます」

 ミサキの前向きな返答に、ガイウスの顔が喜びで輝いた。彼はミサキを抱き上げ、強く抱きしめた。

「ミサキ。私は、君を誰にも渡さない。君の料理も、君の笑顔も、君の全ては、永遠に私だけのものだ。愛している」

 こうして、ミサキとガイウスは、辺境の平和と、料理の独占という目的のもと、公的な婚約を結んだのだった。
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