辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ

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14話

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 ガイウスとの婚約が成立し、ミサキは公的に「騎士団長の婚約者」という揺るぎない地位を手に入れた。王都の貴族が次にどんな手を使ってくるかは不明だが、今はガイウスの絶対的な庇護の下で、甘い日常を満喫していた。

 ログハウスでの二人の生活は、婚約前よりもさらに甘く、そして料理を中心としたものになっていた。ガイウスの独占欲は依然として強いが、それはもはや愛の表現となっていた。

「ミサキ、今日の朝食の焼きたてのパンは、バターを塗らずに私の分だ。バターの香りが、君の作った森のジャムの純粋な甘さを邪魔する」

「はいはい、わかっていますよ、美食団長」

 ミサキは苦笑しながらも、彼の美食へのこだわりが、自分への深い愛に基づいていることを知っているため、その要求さえも心地よかった。

 ガイウスは、公務で外に出る際も、ミサキに過剰なまでの連絡を取るようになった。

「ミサキ、今、駐屯地に着いた。食事はまだ食べるな。私が帰るまで待て。私のために最高の味覚を取っておいてくれ」

 その通信には、騎士団長としての威厳はなく、ただ愛する妻の料理を待ちわびる夫の切実さが滲んでいた。

 ミサキは、そんな彼のために、愛情と現代の調理技術を込めた、新しいメニューを開発することに熱中した。それは、彼に最高の幸福を与えることが、自分のスローライフを続けるための最大の喜びになっているからだった。

 婚約の事実は、騎士団にも大きな喜びをもたらしていた。彼らにとって、ミサキは単なる団長の妻候補ではなく、「騎士団の命と士気を救った恩人」だった。

 ある日の夕方、騎士たちがミサキのログハウスに集まり、結婚祝いの品を届けた。それは、辺境で採れた貴重な宝石や、特産の木材で作られた家具だった。

「ミサキ様、心からお祝い申し上げます!団長は口下手ですが、ミサキ様がいなければ、我々騎士団は今頃、疲労で崩壊していたでしょう」

「これで、ミサキ様は永遠に我々の『辺境の守り神』となってくださいますね!」

 彼らの純粋な祝福と感謝の言葉に、ミサキは感動した。彼女は、王都の華やかな社交界とは無縁の、この辺境の温かい絆の中に、自分の真の居場所を見つけたのだ。

 ミサキは、彼らのために、チート能力で再現した異世界初のケーキを作り、振る舞った。その甘く華やかな味に、屈強な騎士たちは皆、子供のような笑顔を見せた。

 夜、ガイウスは、騎士たちとミサキの楽しげな様子を思い出し、ミサキを抱きしめた。

「ミサキ。君は、私の孤独な世界に光をもたらしただけでなく、この冷たい辺境に、家族という温もりをもたらした。君は、私の想像を遥かに超える至宝だ」

 ガイウスは、ミサキの全てを愛していた。料理の才能、穏やかな心、そして、彼が守りたかったスローライフへの純粋な願いさえも。

「君の望む静かなスローライフは、今、最強の愛という名の檻の中で、永遠に安全だ」

 ミサキは、その独占欲に満ちた言葉を、最高の愛の言葉として受け止めた。彼女は、美食と愛、そして辺境の家族に囲まれ、これ以上の幸せはないと確信していた。
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