辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ

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15話

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 ミサキとガイウスの婚約が正式に発表されたことで、辺境の平和は一時的に守られた。しかし、王都の貴族たちは、ミサキの「奇跡の料理技術」を諦めていなかった。彼らは、正面から奪えないと悟ると、別の手段でミサキを排除しにかかった。

 ある日、騎士団の駐屯地に、王都の「監査官」を名乗る使者が送り込まれてきた。彼らの目的は、騎士団長の権威失墜、そしてミサキの辺境からの追放だった。

「ガイウス団長。辺境の食材で王都にない風味を生み出す料理人の存在は承知している。だが、その技術は魔術的な禁忌に触れているのではないか、という疑念が王都で持ち上がっている」

 監査官は、ミサキの現代の調理技術を「怪しい魔術」としてねじ曲げ、ガイウスを牽制しようとした。

「その料理人—ミサキ嬢を王都に連行し、魔術師団の調査を受けさせる。これが国王陛下からの指示だ」

 ガイウスの顔は、かつてないほどの冷酷さで凍りついた。

「国王陛下だと?ふざけるな」

 ガイウスは、監査官の前に立ち、その剣に手をかけた。

「君たちが『魔術』と呼ぶものは、ミサキの才能だ。彼女は、騎士団の士気と、この辺境の命運を支えている。彼女を連行するなど、辺境への宣戦布告に等しい」

 監査官たちは、ガイウスの殺気に恐れをなしたが、国王の権威を盾に強気な態度を崩さなかった。

「団長、これは命令です!抵抗すれば、反逆罪となりますよ!」

「反逆だと?」

 ガイウスは嘲笑した。

「私にとっての反逆は、私の愛する者に手を出すことだ」

 ガイウスは、ミサキのログハウスへ戻ると、彼女をきつく抱きしめた。

「ミサキ。彼らは君を魔女として扱い、君の才能を潰そうとしている。だが、心配するな」

 ミサキは、ガイウスの胸の中で静かに言った。

「団長、分かっています。わたくしの料理は、王都の貴族の嫉妬と欲望の対象にしかならないのでしょう」

「ああ。だからこそ、私は彼らを完全に黙らせる必要がある」

 ガイウスは、自らの冷酷な戦略をミサキに打ち明けた。彼は監査官たちに屈服するふりをして、ミサキを王都へ送る「偽装工作」を行う。

「王都へ向かう道中で、騎士団が『偶然、魔物に襲われた』という形にする。そして、君は『行方不明』となる。騎士団長である私は、悲劇の英雄を演じる。誰も君の居場所を知ることはできない」

 それは、ミサキの存在を公的に抹消するという、冷酷で非情な、究極の隠蔽工作だった。

「そして、君は永遠に、私の知らない領地の奥深くにある、安全な隠れ家で暮らす。私の妻として、誰の目にも触れない、私だけのスローライフを満喫するのだ」

 ミサキは、その非情な計画の裏に、ガイウスの自分への絶対的な愛と、守りたいという強い意志があることを理解した。彼の愛は、世界からミサキを切り離すほどの独占欲に昇華していた。

「わかりました、団長。わたくし、団長の計画に従います。わたくし、あなただけの妻になります」

 こうして、ミサキは、永遠の安寧を手に入れるため、「公的な追放」という、最後の大きな壁に立ち向かうことを決意したのだった。
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