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31.侯爵家のお茶会にて2(ミレイユ視点)
しおりを挟む「さあ、そろそろエミール嬢達も屋敷に着いた頃かもしれない。一度戻ろうか。」
そう言って差し出された手を取る。
先程までとは違って、気持ちが通じ合った今は何だかとても特別な事のように思えた。
客間に戻ると、
エミール様、リュカ様、そしてクロード様のお父様であるタバリア侯爵もいた。
「ミレイユ様、卒業式以来ですわね。」
「エミール様。リュカ様。正式に婚約が決まったと父にお聞きしましたわ。おめでとうございます。」
久しぶりに会うエミール様は更に愛らしい風貌になっていた。
「ありがとうございます、ミレイユ嬢。」
リュカ様がエミール様の背中に背を添え礼を言い、クロード様に目配せをした。
クロード様は頷き、私の背中に手を添えた。
添えられた箇所が何だか熱い。
「父上そして、皆様。私は先程ミレイユ嬢に婚約を願い出ました。そして良き答えを頂いたので、ハーブス伯爵家に婚約の申し込みを近日中にしようと思います。」
「まあ!クロード!良かったわね!」
「まぁミレイユ様!おめでとうございます!という事は私のお義姉様になるという事ですわね!とってもとっても嬉しいですわ!」
「兄様!良かったですね!」
次々に皆がお祝いの言葉を述べてくれる中、侯爵だけは押し黙っている。
よく考えてみれば…。
求婚されて、嬉しくて舞い上がり自分の感情の赴くまま承諾したが、クロード様は時期侯爵家の後継である。
貴族のほとんどが政略結婚だ。
本人同士の意思など関係無い。
ましてやクロード様次期侯爵。
自由に婚約を結ぶ事なんて難しいに決まっている。
(タバリア侯爵はこの婚約を認めてくださるのでしょうか…。)
不安が過ぎる。
「ねぇあなた。何を黙っているのでしょうか?クロードとミレイユ伯爵令嬢にお祝いの言葉を述べる所ではありませんでしょうか…?あなたに反対する資格など無い事は分かっていますわよねぇ?」
侯爵夫人が侯爵に笑顔で話しかけると、侯爵は小さく飛び跳ねたように見えた…。
「は、反対などしとらん!その…。」
「あぁ、どんな顔をしてここに居たら良いのか分からないのですわね。なんせ、侯爵という立場であるのにも関わらずリリアンとかいう女狐にまんまと騙されて!大切な跡取りである息子を罪人の婚約者に誰にも相談せず勝手に決めて!!途中で騙された事に気付いたけれども息子に大口叩いた手前引くに引けなくなり!!!息子が全て解決して自分の愚かさが露呈したのですものねぇアナタ。私なら消えたくなりますわ。」
侯爵に見えないナイフがいくつも刺さる音がしたような気がする…。
侯爵は図星なのか何も言い換えす事ができない。
「それでもここに来たのは褒めて差し上げますわ。しなければならない事があるからですわよね?」
侯爵がバツが悪そうに私とクロード様の前に出る。
そして頭を下げた。
侯爵が簡単に下位の者に頭を下げてはいけない!
そう、思い咄嗟に侯爵を止めようとしたが、その行動を侯爵夫人に制止される。
「ここには私達以外いないわ。ミレイユ嬢…。いえミレイユ。そしてエミールも。貴女達はもう私達の家族同然だわ。あの人には自分の過ちを悔い改めて貰って、謝罪をして貰わないといけないのよ。」
「クロード…。そして皆。本当にすまなかった。今回の事件は全て私のせいだ。全て私の慢心が引き起こした…。謝って済む問題では無い事は分かっている。すまなかった…!!」
「父上…。確かに今回の事は侯爵としてあるまじき事であったと思います。しかし、謀られた事に気づき、襲った犯人を探し出したのは父上ですよね…?私の調査を陰で手伝ってくださっていた事は知っています。私も父上に対し意地になっていました。私は父上の事を理解できない事も多々ありましたが、尊敬できる所もまたたくさんあります。」
「クロード….。」
「そして、災い転じて福となすと言いますか…。今回の事件のおかげでリュカも私も素晴らしい伴侶と結ばれる事ができたのも事実です。なので…。今回は私も父上を許したいと…。」
「まぁ、クロードや皆が許しても私は簡単に許しませんわ?」
そうニコリと微笑む侯爵夫人を横目に侯爵はサーーっと顔色が青ざめていくのだった。
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