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30.侯爵家のお茶会にて(ミレイユ視点)
しおりを挟む卒業式から約1ヶ月。
今日はクロード様にお誘い頂いた侯爵夫人主催のお茶会だ。
侯爵家の前で馬車が止まり外に出ようとすると、
「ミレイユ嬢、待っていたよ。さあ、お手をどうぞ。」
そう言って手を差し伸べるクロード様。
(わざわざ待っていてくださったのね。)
「ありがとうございます。」
その手をとり馬車から降りる。
クロード様のエスコートで屋敷の前まで来た所で突然クロード様が止まる。
「ミレイユ嬢。今日は来て頂きありがとう。しかし…。少し謝らなければいけない事があって…。」
気まずそうにするクロード様。
「何でしょうか。」
「その…今日は母が茶会を開くから、誘いたい方がいれば誘えば良いと言われてミレイユ嬢とエミール嬢をお誘いしたのだけれど…。」
「はい。」
何だか言い出しにくい様子だ。
「母に聞くと、今日招待されているのはミレイユ嬢とエミール嬢だけなんだ。」
(私たち2人だけ…?)
どういう事かいまいち理解できずにいると、屋敷の扉が開いた。
「クロード。お客様を外で待たすなんて!ようこそいらっしゃいました。ミレイユ伯爵令嬢。貴女の事を話に聞いて早く会いたいと思っていたのです。さあ、早く中にどうぞ。」
「母上っ!」
「ありがとうございます。侯爵夫人。」
(私の話を聞いていた?)
何の話だろうか?そう思いながらも侯爵夫人に促され屋敷の中に入り、席に着く。
「ミレイユ嬢。貴女に会えて嬉しいわ。それにしてもクロードのせいで迷惑をかけたようで…あの子に代わって謝りますわ。」
「いえ、とんでもございませんわ。侯爵夫人、謝らないでください。」
「ありがとう。貴女は優しいのね。」
そう言って微笑む侯爵夫人はさすがクロード様とリュカ様のお母様。とても上品で美しい。
「ところで…今日ご招待頂いたのは私とエミール様だけとお聞きしましたが…。」
侯爵夫人主催のお茶会だと聞いていたので、たくさんの方が来ているものだと思っていた。
「ふふ、ごめんなさいね。どうしてもクロードとリュカが切望している御令嬢とゆっくりお話してみたくって…。」
「母上っ!!」
「クロード様が切望…?」
リュカ様がエミール様にプロポーズした事は先日聞いた。
しかし、クロード様が切望…とは…?
「母上っ!ミレイユ嬢を困惑させないでください!エミール嬢とリュカが来るまで庭園を案内してきます!」
「ふふ、ごめんなさい。ぜひそうして差し上げて。」
クロード様に手を取られ、庭園を案内して頂く。
手入れが行き届いており、どこも素晴らしいものだった。
特に、薔薇園は美しかった。
思わず見惚れていると、クロード様が真剣な顔で話し始めた。
「ミレイユ嬢…。私の話を聞いて頂けませんか。」
「クロード様?勿論ですわ。何でしょうか?」
「私が二年生の時にあった1つ下の学年の入学式の時に、美しい令嬢が新入生代表挨拶をしていたんだ。その凛とした美しさに私は一目惚れをした。その後もその令嬢の姿をついつい目で追ってしまっていたんだ。今思えば、初恋だった。」
クロード様の1つ下の学年の入学式の新入生代表挨拶って確か……。
「その令嬢は婚約者ができたため、私の初恋は終わりを告げたんだ。けれど…。」
クロード様が近くにある赤い薔薇を一輪摘み取り、私の前に跪いた。
「一度諦めようとしたミレイユ嬢が今こうして私の目の前にいてくれている…。私はこのチャンスを逃したく無い。三年前から密かにずっと貴女の事を想い続けてきました。どうか、私と結婚してください。」
突然の告白に心臓が早鐘を打つ。
今思い返せばクロード様がハーブス伯爵家に来た時から、クロード様の瞳から目が離せなかった。
クロード様の笑顔が頭から離れなかった。
クロード様にまた会える事を楽しみにしている自分がいた。
そしてこの告白を心の底から喜んでいる。
自分の気持ちを確認できた私は、クロード様が差し出した薔薇を受け取り、笑顔で返事をした。
「はい、クロード様。私で良ければ喜んで。」
そう答えると、いつも余裕がありそうで冷静でそれでいて穏やかなクロード様が破顔した。
「ミレイユ嬢….!!私はなんて幸せ者なんだろうか!!ありがとう。必ず、必ず一生守り続けて、貴女を大切にしますから。」
その笑顔を見ると、心がキュッと締め付けられるのだった。
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