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15.伯爵家への道中
しおりを挟む「ふふ、少し意地悪をしてしまったかな?」
そう言ってラウル様が笑う。
「いえ。あの子も言って頂かないと分かりませんので…ありがとうございます」
今まで甘やかされて育ってきた妹にとったら、初めてあのように言われただろう。
(とは言え…あの子は言っても分からないかもしれないけれど…)
そして改めてラウル様と向き合う。
ラウル様は甲冑を外され一息つかれた。
「色々と困惑させてしまいましたね。まずは何から話せば良いでしょうか」
うーんと、ラウル様が考えている。
聞きたい事は山積みだ。
とりあえず…
「この馬車の数は一体…」
私1人の迎えならば1台…荷物が多かったとしても2台で充分なはずだ。
「あぁ、侯爵家の元使用人用に用意しておいたんだ。ぜひうちに来て欲しいと思ってね」
「????」
伯爵家にはすでに沢山の使用人がいるはずであるし、そもそもラウル様は次男で護衛騎士。爵位を継ぐ予定は無いはずだ。
なのにこれだけの人数をどこで雇うのだろうか…。
「使用人達の事ですが、彼等はどこへ向かいどこで働くのでしょうか…」
「彼等には伯爵家の別邸へ向かって貰いました。私達の仮住まいです」
爵位を継がないラウル様とその妻の私があんなに多くの使用人を雇えるのだろうか…。
別邸?仮住まいとは…。
「仮住まい…という事は、どこかへまた行く予定があるということですか?そして…失礼ながら、領地を持たずともあんなに多くの使用人を雇えるのでしょうか…」
「そうですよね。色々とご心配をおかけしました。しかし、大丈夫です。というのも、先日武功を挙げ4ヶ月先の建国祭で爵位を受け賜る事が決まったのです。本当はまだ秘密ですけどね」
「まぁ!!おめでとうございます」
ラウル様のこの若さで爵位を頂くなんてとても名誉な事で珍しい事だ。
それならば、使用人達の給金も安心だ。
しかし…侯爵領に残された領民達は…。
きっと義母と妹の事だ。重い税をかけて、自分たちの私利私欲を満たすだろう。
「ありがとうございます。……その顔は、領民達の事が心配なのですね」
「も、申し訳ございません」
せっかく久しぶりにこうしてお会いしたのに暗い顔をしていたら失礼だ。
「領民がしばしの別れだと言っていたでしょう?建国祭の日に分かります。まだ多くの事を語る事はできませんが、どうか私を信じてください。そして何も心配せず私と結婚してください」
「はい…」
ラウル様が大丈夫と言うのならば大丈夫なのだろう。
頼りになる旦那様の妻として、私もしっかりしなければと背筋をピンと張る。
「ラウル様。私は貴方の婚約者、そして妻になるのです。どうかフレミアと呼んでくださいませ」
「分かりました。フレミア様…いえ、フレミア」
自分から言ったものの、名前を呼ばれ頬が熱を帯びる。
その熱を下げるかのようにそっと自分の頬を触る。
と、その手の上にラウル様の手が重なる。
「これから、何度でも呼ばせてください。フレミア」
「はい、ラウル様…」
「はぁ…ずっとこうしていたいのに、伯爵家に着いてしまいました。別邸へ行く前にどうしても皆が会いたいと言うので…すみませんが会ってください」
残念そうに言うラウル様がとても愛おしく感じる。
アイロワニー伯爵家…。
アイロワニー伯爵夫妻とはお会いした事はあるが、ゆっくりとお話した事は無い。
非常識な婚約解消や再婚約で、ラウル様との結婚を反対されてなければ良いが……
いや、反対されていないわけが無い…
どんどん心配が大きくなり、胸の鼓動が速くなる。
そして、伯爵家の中へ案内され、扉が開かれた。
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