(完結)妹の婚約者である醜草騎士を押し付けられました。

ちゃむふー

文字の大きさ
14 / 36

14.ラウルとの再会



外へ出ると、そこには多くの領民がいた。


「貴方達一体……」


「フレミア様が出て行くと聞いて、見送りに参りました」


「皆…ありがとうございます」


「本当はどこまでもお供したいのですが…今は耐える時です。しばしのお別れです」


彼らは農民のため、自由に領地間の移動は難しいので仕方の無い事だ。
しかし……
今は耐える時…?
しばしの別れ…?


「ちょ、ちょっと何なのよこれ!」



外が賑やかな事が気になったのか、義母、父、妹も外へ出てきた。



「何で領民達がここに…?暇ならもっと働いて税を納めなさいよっ!税をもっとかけてやるんだから!!と言うよりこの馬車の数は何よ!?」

妹が節操なくキーキーと叫ぶ。


そう。もう一つ驚くべき事があったのだ。
それは、たくさんの馬車の数だ。
使用人達が出て行く事を想定されていたかのような用意周到さだ。




(今日は何だか困惑してばかりだわ…)


そう私が困惑していると、颯爽と1人の甲冑姿の騎士がこちらへ向かって歩いてくる。


「フレミア様…このような格好で申し訳ない。どうしても外せない仕事があり、仕事が終わってすぐこちらに向かったもので」

 
そう言って甲冑のバイザー部分をスッとあげる。


「ラウル様…!」
「えっ!?醜草の…っと…いえ、ラウル様?」


まさかのラウル様が直々にお迎えに来てくださった。
お仕事姿もとても凛々しくて素敵だ。


「そして、ジュリー様もお久しぶりです。お身体の調子が優れないと聞きましたが、どうですか?」


ラウル様がジュリーへそう話しかけると、ジュリーがハッとした様子で咳込み塩らしくなる。



「こほこほ、あ、少しは良くなりましたが…こほこほ…えへへ……」


(先程までキーキー叫んでいたのに…)

そして心無しか、ジュリーがラウル様を見てポーッとしている。


きっと、あれだけ顔の傷の事を言っていたが今は甲冑で傷が殆ど見えていないからだろう。
眼帯も外されていて、両眼とも綺麗な瞳だ。



「あ、あのラウル様…。その婚約者が私から姉に変わって申し訳ございません…残念でしたよね?」


そう言ってラウル様を下から上目遣いで見つめるジュリー。


しかし…。


「?いいえ?フレミア様と婚約できて私はとても幸せです。なので、ジュリー様はお気になさらず」

ラウル様は全く動じず、笑顔で返す。

「なっっなっっ!!」


「わざわざお忙しい中来てくださり、ありがとうございます。その、私もラウル様と婚約できて幸せです」


妹の奇想天外な行動に呆気に取られてしまっていたが、私も急いで礼を言う。


「いえ、私が早くフレミア様にお会いしたかったのです」


「ちょっ、ちょっと2人の世界に入らないでよって…わ、私と婚約解消したのに幸せってどう言う事っ!?真面目だけが取り柄のお姉様と婚約して幸せって……!?」

妹が淑女の言葉遣いも忘れて何か言っているがそんな妹に対してラウル様が更なる笑顔でトドメを刺す。


「あ、ジュリー様。失礼ですが、体調が優れないのでしたら、汚い言葉遣いで叫び散らされるのはやめておいた方が良いと思いますよ!あぁ、体調が悪くなくてもですね!それではお大事に!」


呆気に取られ、口をパクパクさせて何も言えずにいるジュリーを尻目に、ラウル様が私に手を差し伸べる。


「さぁ、フレミア様お手をどうぞ」


そう言われ、ラウル様の手を取り馬車に乗り込むのだった。



感想 195

あなたにおすすめの小説

【完結】美人な姉と間違って求婚されまして ~望まれない花嫁が愛されて幸せになるまで~

Rohdea
恋愛
───私は美しい姉と間違って求婚されて花嫁となりました。 美しく華やかな姉の影となり、誰からも愛されずに生きて来た伯爵令嬢のルチア。 そんなルチアの元に、社交界でも話題の次期公爵、ユリウスから求婚の手紙が届く。 それは、これまで用意された縁談が全て流れてしまっていた“ルチア”に届いた初めての求婚の手紙だった! 更に相手は超大物! この機会を逃してなるものかと父親は結婚を即快諾し、あれよあれよとルチアは彼の元に嫁ぐ事に。 しかし…… 「……君は誰だ?」 嫁ぎ先で初めて顔を合わせたユリウスに開口一番にそう言われてしまったルチア。 旦那様となったユリウスが結婚相手に望んでいたのは、 実はルチアではなく美しくも華やかな姉……リデルだった───

行き遅れ令嬢の婚約者は王子様!?案の定、妹が寄越せと言ってきました。はあ?(゚Д゚)

リオール
恋愛
父の代わりに公爵家の影となって支え続けてるアデラは、恋愛をしてる暇もなかった。その結果、18歳になっても未だ結婚の「け」の字もなく。婚約者さえも居ない日々を送っていた。 そんなある日。参加した夜会にて彼と出会ったのだ。 運命の出会い。初恋。 そんな彼が、実は王子様だと分かって──!? え、私と婚約!?行き遅れ同士仲良くしようって……えええ、本気ですか!? ──と驚いたけど、なんやかんやで溺愛されてます。 そうして幸せな日々を送ってたら、やって来ましたよ妹が。父親に甘やかされ、好き放題我が儘し放題で生きてきた妹は私に言うのだった。 婚約者を譲れ?可愛い自分の方がお似合いだ? ・・・はああああ!?(゚Д゚) =========== 全37話、執筆済み。 五万字越えてしまったのですが、1話1話は短いので短編としておきます。 最初はギャグ多め。だんだんシリアスです。 18歳で行き遅れ?と思われるかも知れませんが、そういう世界観なので。深く考えないでください(^_^;) 感想欄はオープンにしてますが、多忙につきお返事できません。ご容赦ください<(_ _)>

【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、 それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。 しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、 結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。 3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか? 聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか? そもそも、なぜ死に戻ることになったのか? そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか… 色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、 そんなエレナの逆転勝利物語。

【完結】出来損ないと罵られ続けた“無能な姫”は、姉の代わりに嫁ぐ事になりましたが幸せです ~あなた達の後悔なんて知りません~

Rohdea
恋愛
──隠されていた私の真実(ほんとう)の力はあなたに愛されて知りました。 小国の末姫、クローディアは、王族なら誰もが持つはずの特殊能力を授からなかったせいで、 誰からも愛されず“無能な姫”と罵られて来た。 そんなある日、大国の王から姉に縁談話が舞い込む。 王妃待遇だけど後妻、年齢も親子ほど離れている為、 泣いて嫌がった姉は自分の身代わりとしてクローディアを嫁がせればいいと言う。 反発するクローディア。 しかし、国としてクローディアは身代わりとして嫁ぐ事が決定してしまう。 罪悪感に苛まれたまま、大国に嫁いでいくクローディア。 しかし、何故かそんなクローディアを出迎えたのは…… (あれ? 私、後妻になるのでは??) それだけでなく、嫁ぎ先での生活は想像したものと大きく違っていた。 嫁いだ先でクローディアは愛される事を知り、 また、自分に隠された真実(ほんとう)の力を知る事になる。 一方、何も知らず“無能な姫”だと言ってクローディアを手放した祖国の者達は──……

処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!

秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。 民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。 「おまえたちは許さない」 二度目の人生。 エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。 彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。 1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。 「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」 憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。 二人の偽りの婚約の行く末は……

可愛い妹を母は溺愛して、私のことを嫌っていたはずなのに王太子と婚約が決まった途端、その溺愛が私に向くとは思いませんでした

珠宮さくら
恋愛
ステファニア・サンマルティーニは、伯爵家に生まれたが、実母が妹の方だけをひたすら可愛いと溺愛していた。 それが当たり前となった伯爵家で、ステファニアは必死になって妹と遊ぼうとしたが、母はそのたび、おかしなことを言うばかりだった。 そんなことがいつまで続くのかと思っていたのだが、王太子と婚約した途端、一変するとは思いもしなかった。

【完結】毒殺疑惑で断罪されるのはゴメンですが婚約破棄は即決でOKです

早奈恵
恋愛
 ざまぁも有ります。  クラウン王太子から突然婚約破棄を言い渡されたグレイシア侯爵令嬢。  理由は殿下の恋人ルーザリアに『チャボット毒殺事件』の濡れ衣を着せたという身に覚えの無いこと。  詳細を聞くうちに重大な勘違いを発見し、幼なじみの公爵令息ヴィクターを味方として召喚。  二人で冤罪を晴らし婚約破棄の取り消しを阻止して自由を手に入れようとするお話。

【完結】姉は全てを持っていくから、私は生贄を選びます

かずきりり
恋愛
もう、うんざりだ。 そこに私の意思なんてなくて。 発狂して叫ぶ姉に見向きもしないで、私は家を出る。 貴女に悪意がないのは十分理解しているが、受け取る私は不愉快で仕方なかった。 善意で施していると思っているから、いくら止めて欲しいと言っても聞き入れてもらえない。 聞き入れてもらえないなら、私の存在なんて無いも同然のようにしか思えなかった。 ————貴方たちに私の声は聞こえていますか? ------------------------------  ※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています