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14.ラウルとの再会
しおりを挟む外へ出ると、そこには多くの領民がいた。
「貴方達一体……」
「フレミア様が出て行くと聞いて、見送りに参りました」
「皆…ありがとうございます」
「本当はどこまでもお供したいのですが…今は耐える時です。しばしのお別れです」
彼らは農民のため、自由に領地間の移動は難しいので仕方の無い事だ。
しかし……
今は耐える時…?
しばしの別れ…?
「ちょ、ちょっと何なのよこれ!」
外が賑やかな事が気になったのか、義母、父、妹も外へ出てきた。
「何で領民達がここに…?暇ならもっと働いて税を納めなさいよっ!税をもっとかけてやるんだから!!と言うよりこの馬車の数は何よ!?」
妹が節操なくキーキーと叫ぶ。
そう。もう一つ驚くべき事があったのだ。
それは、たくさんの馬車の数だ。
使用人達が出て行く事を想定されていたかのような用意周到さだ。
(今日は何だか困惑してばかりだわ…)
そう私が困惑していると、颯爽と1人の甲冑姿の騎士がこちらへ向かって歩いてくる。
「フレミア様…このような格好で申し訳ない。どうしても外せない仕事があり、仕事が終わってすぐこちらに向かったもので」
そう言って甲冑のバイザー部分をスッとあげる。
「ラウル様…!」
「えっ!?醜草の…っと…いえ、ラウル様?」
まさかのラウル様が直々にお迎えに来てくださった。
お仕事姿もとても凛々しくて素敵だ。
「そして、ジュリー様もお久しぶりです。お身体の調子が優れないと聞きましたが、どうですか?」
ラウル様がジュリーへそう話しかけると、ジュリーがハッとした様子で咳込み塩らしくなる。
「こほこほ、あ、少しは良くなりましたが…こほこほ…えへへ……」
(先程までキーキー叫んでいたのに…)
そして心無しか、ジュリーがラウル様を見てポーッとしている。
きっと、あれだけ顔の傷の事を言っていたが今は甲冑で傷が殆ど見えていないからだろう。
眼帯も外されていて、両眼とも綺麗な瞳だ。
「あ、あのラウル様…。その婚約者が私から姉に変わって申し訳ございません…残念でしたよね?」
そう言ってラウル様を下から上目遣いで見つめるジュリー。
しかし…。
「?いいえ?フレミア様と婚約できて私はとても幸せです。なので、ジュリー様はお気になさらず」
ラウル様は全く動じず、笑顔で返す。
「なっっなっっ!!」
「わざわざお忙しい中来てくださり、ありがとうございます。その、私もラウル様と婚約できて幸せです」
妹の奇想天外な行動に呆気に取られてしまっていたが、私も急いで礼を言う。
「いえ、私が早くフレミア様にお会いしたかったのです」
「ちょっ、ちょっと2人の世界に入らないでよって…わ、私と婚約解消したのに幸せってどう言う事っ!?真面目だけが取り柄のお姉様と婚約して幸せって……!?」
妹が淑女の言葉遣いも忘れて何か言っているがそんな妹に対してラウル様が更なる笑顔でトドメを刺す。
「あ、ジュリー様。失礼ですが、体調が優れないのでしたら、汚い言葉遣いで叫び散らされるのはやめておいた方が良いと思いますよ!あぁ、体調が悪くなくてもですね!それではお大事に!」
呆気に取られ、口をパクパクさせて何も言えずにいるジュリーを尻目に、ラウル様が私に手を差し伸べる。
「さぁ、フレミア様お手をどうぞ」
そう言われ、ラウル様の手を取り馬車に乗り込むのだった。
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