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描いてたらあのチョコ菓子が食べたくなった(作者談)
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生徒会の仕事と練習を終え、各々帰り支度を始める。
一緒に仕事をする様になってからというもの、必然的に帰るタイミングが一緒になる瑞穂と帰る事が増えた。
でも毎日と言う訳でもなくて、家で婆さんと家事を分担しているらしい瑞穂は自分が晩飯作りの当番の日は生徒会の仕事が終わると慌ただしく帰ってしまう。
そして今日はその日らしい。
一人でゆっくり帰るかと下駄箱に向かっていると。
「うぉ!?」
唐突に背後から腕に誰かがしがみついてきた。
一瞬志麻とかまりちゃんかとか思ったが志麻が無言でしがみついて来る訳ないし、まりちゃんもそうだろう、
となると……。
「どうしたんだ?美江。」
名前を呼ばれた美江は1度ビクリと体を揺らす。
「そ、その、たまたま帰ろうとしとったら……あ、アホ面が見えたけぇ……。」
おぉぅ……相変わらず辛辣……。
「そ、そうか、また明日な……。」
そう言ってそのまま帰ろうとするも、美江は離さない!
早く帰ってひーちゃんに癒されたいのにっ!
よしえのからみつくこうげき!
ゆうたのすばやさがさがった!
ゆうたはにげだした!しかしにげられない!
「くっ……!素早さを1段階下げられたからかっ!」
「なんの話……?」
怪訝な表情を浮かべながらもガッチリ俺の腕をホールドする美江。
どうやら逃がすつもりはないらしい……。
「えーっと、離してもらって良いか……?」
「やだ、離さんもん。」
えぇ……何この可愛い生物。
「よし分かった。
ここは一つ取り引きといこうじゃないか。」
「取り引き……?」
「ここにブラッ〇サ〇ダーがある。」
そして俺はポケットから某有名チョコ菓子を取り出す。
ココア風味のクランチをチョコレートで固めた若い女性に大ヒットで美味しさはイナズマ級と謳うあのチョコ菓子である。
リーズナブルながら味は間違いない。
美江とて好物に違いない代物である。
「これをやろう、だから離し「い、嫌!」えぇ……。」
ブラッ〇サ〇ダー通用しなくて草。
と言うか今一瞬迷ってなかった?
俺の目はごまかせないよ?
「そ、そのチョコ菓子は好「ブラッ〇サ〇ダーだ!」えぇ……。」
ただのチョコ菓子じゃない、ブラッ〇サ〇ダーなのである。
ここ、テストに出るからな。
一時期このテストに出るって下りなんか色んな所で聞いたなぁ……。
「分かった。
離さなくて良いから要件を話してほしいんだが。」
いやややこしいな……話さなくていいのか離してほしいのか……。
「ほ、ホンマに逃げん……?」
「逃げない逃げない……ほら、チョコもやるから……。」
「もう普通にチョコって言うとるし……。
まぁ……ありがとう。」
そう言ってチョコを受け取り、早速ハムハムとチョコを食べ始める美江。
あぁ……相変わらず庇護欲がそそられるっ!
「……それで?」
「そ、その、ついて来てほしいところがある……。」
「ついて来てほしいところ?」
「うん……その、図書館に……。」
「図書館?なんでまた?」
「だって……任されたからには……その……赤ずきんをちゃんとやらんとじゃし……。」
「あぁ、なるほど。
それで図書館で赤ずきんを借りて読んどこうって感じか。」
「うん……で、でも一人で図書館に行くのは、その不安じゃし……。」
「なるほど、じゃあ行くか。」
「あ、ありがとう。」
ここから市の図書館まではそう遠くない。
歩いて数分の場所にある図書館に並んで歩いていく。
「と言うかなんでわざわざ図書館に?
うちの学校の図書室にも赤ずきんぐらいあるだろ?」
「そ、それは……その……。
と、図書館でしか見れん物がある、けぇ……。」
「図書館でしか?」
その意味がよく分からないまま、図書館に到着。
二人して中に入る。
学校の中にある図書館とは比べ物にならない程の広さの図書館に足を踏み入れる。
「ここから赤ずきんを探すってなると結構大変そうだな。
っと……これは?」
「それは赤毛のアン……。」
赤しかあってなくて草。
「それよりもうすぐ時間……。」
「時間?」
閉館にはまだ早い筈だが……。
怪訝に思いながらも美江について行くと、奥の方で30代くらいの女性が紙芝居の準備をしていた。
その付近の座席には親子連れの客が数人座って開始を待っているようだった。
「これを見に来たのか?」
「しっ、始まるみたい。」
口元に指を立てる仕草で静かにするよう促してくる。
「はーい!良い子の皆さん!こんにちは!
これから紙芝居を始めたいと思います!
今日のお話は何かな?」
明るい語り手の掛け声に、子供達が口々に自分が見たいのであろう昔話のタイトルをあげていく。
「皆沢山お話を知ってるね!
それじゃあ今日は、じゃん!赤ずきんのお話をするよ!」
どうやら間違いなさそうだな……。
さて、赤ずきんの紙芝居が始まる。
改めて知らない人の為に赤ずきんがどんな話かを解説しよう。
一般的に童話として描かれる赤ずきんは、おばあさんの家にお使いに行った赤ずきんがおばあさんを食べてその姿に化けた狼に食べられてしまう話である。
ペロー版はここで終わり、なんとも後味の悪い幕引きとなるが、グリム童話版ではたまたま通りかかった猟師が2人を食べて気持ち良さそうに眠る狼の腹を割いて赤ずきんとおばあさんを助けた。
その後、代わりに腹に石を大量に詰め込んで腹を縫い合わせた。
目を覚ました狼がその変化に気付いて水を飲もうとして川に行き、石の重さで川に落ちて沈んでしまう。
みたいな話だったと思う。
語り手の女性は読み慣れているのか実にスラスラと、セリフの部分はちゃんとキャラを作って読んでいて、子供達は勿論高校生の俺達でさえ真剣に聞き入ってしまった。
そして、帰り道。
「紙芝居、凄かったね。」
赤ずきんの絵本を抱え、美江が感慨深下に呟く。
「あぁ、確かに。」
「私も、頑張らなきゃ……。」
「練習は順調なのか?」
「…………まぁ。」
あ、これダメなやつだ……。
「が、頑張ってる……!でも……やっぱりまだ緊張する……。」
「そりゃな……。」
「でも……私が失敗しても皆がフォローしてくれとるけぇ……その、頑張れとる……。」
「そっか……。」
元来人見知りで人付き合いが苦手そうな美江だ。
クラスが違うから分からないが、クラスメイトとはそれなりに上手くやれている様で少し安心する。
「楽しみにしてるよ。
絶対見に行くから。」
「ん……。」
無事上手くいったら今度はブラッ〇モン〇ランでも奢ってやろうと思います。
「それはチョコ菓子じゃなくてアイス……。
まぁ美味しいけど……。」
知ってたかぁ……。
と言うかなんで毎回毎回そんな考えてる事が具体的に分かるのかしらん……。
真面目にポーカーフェイスの勉強をしようと思いました。
一緒に仕事をする様になってからというもの、必然的に帰るタイミングが一緒になる瑞穂と帰る事が増えた。
でも毎日と言う訳でもなくて、家で婆さんと家事を分担しているらしい瑞穂は自分が晩飯作りの当番の日は生徒会の仕事が終わると慌ただしく帰ってしまう。
そして今日はその日らしい。
一人でゆっくり帰るかと下駄箱に向かっていると。
「うぉ!?」
唐突に背後から腕に誰かがしがみついてきた。
一瞬志麻とかまりちゃんかとか思ったが志麻が無言でしがみついて来る訳ないし、まりちゃんもそうだろう、
となると……。
「どうしたんだ?美江。」
名前を呼ばれた美江は1度ビクリと体を揺らす。
「そ、その、たまたま帰ろうとしとったら……あ、アホ面が見えたけぇ……。」
おぉぅ……相変わらず辛辣……。
「そ、そうか、また明日な……。」
そう言ってそのまま帰ろうとするも、美江は離さない!
早く帰ってひーちゃんに癒されたいのにっ!
よしえのからみつくこうげき!
ゆうたのすばやさがさがった!
ゆうたはにげだした!しかしにげられない!
「くっ……!素早さを1段階下げられたからかっ!」
「なんの話……?」
怪訝な表情を浮かべながらもガッチリ俺の腕をホールドする美江。
どうやら逃がすつもりはないらしい……。
「えーっと、離してもらって良いか……?」
「やだ、離さんもん。」
えぇ……何この可愛い生物。
「よし分かった。
ここは一つ取り引きといこうじゃないか。」
「取り引き……?」
「ここにブラッ〇サ〇ダーがある。」
そして俺はポケットから某有名チョコ菓子を取り出す。
ココア風味のクランチをチョコレートで固めた若い女性に大ヒットで美味しさはイナズマ級と謳うあのチョコ菓子である。
リーズナブルながら味は間違いない。
美江とて好物に違いない代物である。
「これをやろう、だから離し「い、嫌!」えぇ……。」
ブラッ〇サ〇ダー通用しなくて草。
と言うか今一瞬迷ってなかった?
俺の目はごまかせないよ?
「そ、そのチョコ菓子は好「ブラッ〇サ〇ダーだ!」えぇ……。」
ただのチョコ菓子じゃない、ブラッ〇サ〇ダーなのである。
ここ、テストに出るからな。
一時期このテストに出るって下りなんか色んな所で聞いたなぁ……。
「分かった。
離さなくて良いから要件を話してほしいんだが。」
いやややこしいな……話さなくていいのか離してほしいのか……。
「ほ、ホンマに逃げん……?」
「逃げない逃げない……ほら、チョコもやるから……。」
「もう普通にチョコって言うとるし……。
まぁ……ありがとう。」
そう言ってチョコを受け取り、早速ハムハムとチョコを食べ始める美江。
あぁ……相変わらず庇護欲がそそられるっ!
「……それで?」
「そ、その、ついて来てほしいところがある……。」
「ついて来てほしいところ?」
「うん……その、図書館に……。」
「図書館?なんでまた?」
「だって……任されたからには……その……赤ずきんをちゃんとやらんとじゃし……。」
「あぁ、なるほど。
それで図書館で赤ずきんを借りて読んどこうって感じか。」
「うん……で、でも一人で図書館に行くのは、その不安じゃし……。」
「なるほど、じゃあ行くか。」
「あ、ありがとう。」
ここから市の図書館まではそう遠くない。
歩いて数分の場所にある図書館に並んで歩いていく。
「と言うかなんでわざわざ図書館に?
うちの学校の図書室にも赤ずきんぐらいあるだろ?」
「そ、それは……その……。
と、図書館でしか見れん物がある、けぇ……。」
「図書館でしか?」
その意味がよく分からないまま、図書館に到着。
二人して中に入る。
学校の中にある図書館とは比べ物にならない程の広さの図書館に足を踏み入れる。
「ここから赤ずきんを探すってなると結構大変そうだな。
っと……これは?」
「それは赤毛のアン……。」
赤しかあってなくて草。
「それよりもうすぐ時間……。」
「時間?」
閉館にはまだ早い筈だが……。
怪訝に思いながらも美江について行くと、奥の方で30代くらいの女性が紙芝居の準備をしていた。
その付近の座席には親子連れの客が数人座って開始を待っているようだった。
「これを見に来たのか?」
「しっ、始まるみたい。」
口元に指を立てる仕草で静かにするよう促してくる。
「はーい!良い子の皆さん!こんにちは!
これから紙芝居を始めたいと思います!
今日のお話は何かな?」
明るい語り手の掛け声に、子供達が口々に自分が見たいのであろう昔話のタイトルをあげていく。
「皆沢山お話を知ってるね!
それじゃあ今日は、じゃん!赤ずきんのお話をするよ!」
どうやら間違いなさそうだな……。
さて、赤ずきんの紙芝居が始まる。
改めて知らない人の為に赤ずきんがどんな話かを解説しよう。
一般的に童話として描かれる赤ずきんは、おばあさんの家にお使いに行った赤ずきんがおばあさんを食べてその姿に化けた狼に食べられてしまう話である。
ペロー版はここで終わり、なんとも後味の悪い幕引きとなるが、グリム童話版ではたまたま通りかかった猟師が2人を食べて気持ち良さそうに眠る狼の腹を割いて赤ずきんとおばあさんを助けた。
その後、代わりに腹に石を大量に詰め込んで腹を縫い合わせた。
目を覚ました狼がその変化に気付いて水を飲もうとして川に行き、石の重さで川に落ちて沈んでしまう。
みたいな話だったと思う。
語り手の女性は読み慣れているのか実にスラスラと、セリフの部分はちゃんとキャラを作って読んでいて、子供達は勿論高校生の俺達でさえ真剣に聞き入ってしまった。
そして、帰り道。
「紙芝居、凄かったね。」
赤ずきんの絵本を抱え、美江が感慨深下に呟く。
「あぁ、確かに。」
「私も、頑張らなきゃ……。」
「練習は順調なのか?」
「…………まぁ。」
あ、これダメなやつだ……。
「が、頑張ってる……!でも……やっぱりまだ緊張する……。」
「そりゃな……。」
「でも……私が失敗しても皆がフォローしてくれとるけぇ……その、頑張れとる……。」
「そっか……。」
元来人見知りで人付き合いが苦手そうな美江だ。
クラスが違うから分からないが、クラスメイトとはそれなりに上手くやれている様で少し安心する。
「楽しみにしてるよ。
絶対見に行くから。」
「ん……。」
無事上手くいったら今度はブラッ〇モン〇ランでも奢ってやろうと思います。
「それはチョコ菓子じゃなくてアイス……。
まぁ美味しいけど……。」
知ってたかぁ……。
と言うかなんで毎回毎回そんな考えてる事が具体的に分かるのかしらん……。
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