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第一章:黄金の瞳の令嬢
(後半)
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スパイから無事に機密文書を回収し、公爵家の騎士団にスパイを引き渡し
エレーナたちはいつものように町の人々と談笑しながら帰路についていた。
「エレーナ、今日はもう仕事終わり? 明日の朝、市場でとびきりのイチゴをのけておくよ!」
「ありがとう、おばさん! 楽しみにしてるわ」
そんなやり取りをしていると、背後から馬の蹄の音が近づき、凛とした声が響いた。
「――やはり君か、エレーナ!」
振り返ると、そこには白銀の甲冑を身に纏った騎士団の青年がいた。帝国が誇る五人の王子のうちの一人だ。彼は馬を降りると、爽やかな笑みを浮かべて歩み寄ってくる。
「……王子。こんな場所でどうされたのですか?」
「パトロール中だよ。だが、君の姿が見えたからついね。先程の騒ぎ、君が子供を助けたと聞いた。怪我はないかい?」
心配そうに顔を覗き込む王子に、エレーナは「いつものことですから」と控えめに微笑む。しかし、後ろで控えていたカインとリアム(カイルたち)は、面白くなさそうに顔を見合わせた。
「エレーナ、世間話もいいけど、閣下がお待ちだよ」
「そうですよ、早く帰らないとお兄様たちが玄関で仁王立ちして待ってますから」
二人に促され、エレーナが「では、失礼します」と王子に別れを告げようとしたその時。
「――その通りだ。他家の男と長話をして、エレーナの体を冷やさせるわけにはいかないな」
通りの先から、威圧感のある、けれど聞き慣れた低い声が響いた。
人混みが割れ、現れたのはエレーナの兄の一人、アルベルトだった。彼は鋭い視線で王子を一瞥すると、迷いなくエレーナの隣に立ち、自分の上着を彼女の肩にかける。
「あ、アル兄様! 迎えに来てくれたの?」
「遅い。……ジュリアンが心配のあまり、騎士団に総動員をかけると言って聞きかなくてね。私が連れ戻しに来た」
アルベルトは王子の挨拶を適当に受け流すと、エレーナの肩を抱き寄せた。
「さぁ、帰るぞ。温かい紅茶と、お前の好きな菓子を用意させてある」
王子は苦笑いしながらも見送るしかなく、エレーナは兄やカインたちに囲まれながら、帝都で最も安全で、最も深い愛に満ちた「家」――ヴィンセント公爵邸へと帰還するのだった。
エレーナたちはいつものように町の人々と談笑しながら帰路についていた。
「エレーナ、今日はもう仕事終わり? 明日の朝、市場でとびきりのイチゴをのけておくよ!」
「ありがとう、おばさん! 楽しみにしてるわ」
そんなやり取りをしていると、背後から馬の蹄の音が近づき、凛とした声が響いた。
「――やはり君か、エレーナ!」
振り返ると、そこには白銀の甲冑を身に纏った騎士団の青年がいた。帝国が誇る五人の王子のうちの一人だ。彼は馬を降りると、爽やかな笑みを浮かべて歩み寄ってくる。
「……王子。こんな場所でどうされたのですか?」
「パトロール中だよ。だが、君の姿が見えたからついね。先程の騒ぎ、君が子供を助けたと聞いた。怪我はないかい?」
心配そうに顔を覗き込む王子に、エレーナは「いつものことですから」と控えめに微笑む。しかし、後ろで控えていたカインとリアム(カイルたち)は、面白くなさそうに顔を見合わせた。
「エレーナ、世間話もいいけど、閣下がお待ちだよ」
「そうですよ、早く帰らないとお兄様たちが玄関で仁王立ちして待ってますから」
二人に促され、エレーナが「では、失礼します」と王子に別れを告げようとしたその時。
「――その通りだ。他家の男と長話をして、エレーナの体を冷やさせるわけにはいかないな」
通りの先から、威圧感のある、けれど聞き慣れた低い声が響いた。
人混みが割れ、現れたのはエレーナの兄の一人、アルベルトだった。彼は鋭い視線で王子を一瞥すると、迷いなくエレーナの隣に立ち、自分の上着を彼女の肩にかける。
「あ、アル兄様! 迎えに来てくれたの?」
「遅い。……ジュリアンが心配のあまり、騎士団に総動員をかけると言って聞きかなくてね。私が連れ戻しに来た」
アルベルトは王子の挨拶を適当に受け流すと、エレーナの肩を抱き寄せた。
「さぁ、帰るぞ。温かい紅茶と、お前の好きな菓子を用意させてある」
王子は苦笑いしながらも見送るしかなく、エレーナは兄やカインたちに囲まれながら、帝都で最も安全で、最も深い愛に満ちた「家」――ヴィンセント公爵邸へと帰還するのだった。
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