婚約破棄ですって?私がどうして婚約者になったのか知らないのかしら?

花見 有

文字の大きさ
3 / 5

3

しおりを挟む
「ダーシャ嬢!この度は本当に申し訳なかった!!」

 私は今、王宮で国王様に頭を下げられていた。

 いや、恐れ多すぎる。

 今回の婚約破棄の事で、お父様はやはり腹の虫が収まらなかったのか、国王に情報の漏洩があったのではないかと意見していたようだ。

「国王様、仕方がありませんわ。長年、秘密を抱えていれば、こういう事も起こりえます。国で代々の聖女の血筋を持つご先祖様達をずっと陰ながら保護対象として守って下さっている事、とても感謝しているんですよ」

「い、いや、だがしかし……そのせいでしたくもない婚約を迫られ、あまつさえ破棄をするなど……、やはりディデスの奴は極刑に!!」

 国王の顔が極悪人のようになったので、ダーシャは慌てて言った。

「そんな事をしなくても良いんです。それに、私の素性を出せないのにディデス侯爵が突然極刑になったら、それこそ国王の乱心だと思われ国が乱れてしまいますよ」

「だ、だが……」

「本当に、良いんです。私は婚約破棄された事も気にしてませんから」

 だって、今後ディデス侯爵家がどうなろうと、私はもう関わらなくて良いのだから。

 私がニッコリと笑うと国王もやっと肩の力を抜いて、極悪人の顔から戻ってくれた。そして、少し国王と雑談した後、私は謁見の間を出たのだった。

 今回、ディデス侯爵に私が聖女の末裔だとバレてしまったのは、以前私達を護衛してくれていた者が、ディデス侯爵家と懇意にしていた者だったらしい。その護衛が侯爵に漏らしてしまったようなのだ。残念ながらその護衛は他にも余罪があるようで、地下牢から一生出られないらしい。


 国王との謁見を終えて、王宮の廊下を歩いていると

「ダーシャ嬢!」

 とラデク王子に呼び止められた。ラデクは急いでダーシャの元へやって来た。

「ラデク王子、どうしたのですか?そんなに慌てて」

「君が、王宮に来ていると聞いて……。その……、婚約破棄されたと聞いたんだが……大丈夫か?」

 ラデク王子はこちらを気遣うように聞いてきた。

「ええ。大丈夫ですよ。元々、お互いに恋愛感情があったわけでもないですし。すっきりとお別れ出来て良かったですわ」

 ダーシャはあっけらかんとした様子で答えた。

「そ、そうか。それなら良かった。では、今度開催する私の誕生日の舞踏会にはぜひ参加してくれないだろうか?」

 ラデク王子は、照れた様子でそう言った。

 確か、先日招待状が届いていたけれど、アーモスにエスコートを頼まなければいけないから、気が進まなかったけれど、もう気にしなくていいものね。

「ええ、お伺いしまうわ」

「そうか!良かった!」

 ダーシャの答えに、ホッとしたような笑みを見せたラデク王子にダーシャも釣られるようにクスリと笑うと、丁寧にカーテシーをして王宮を出た――
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約破棄ですか? 無理ですよ?

星宮歌
恋愛
「ユミル・マーシャル! お前の悪行にはほとほと愛想が尽きた! ゆえに、お前との婚約を破棄するっ!!」 そう、告げた第二王子へと、ユミルは返す。 「はい? 婚約破棄ですか? 無理ですわね」 それはそれは、美しい笑顔で。 この作品は、『前編、中編、後編』にプラスして『裏前編、裏後編、ユミル・マーシャルというご令嬢』の六話で構成しております。 そして……多分、最終話『ユミル・マーシャルというご令嬢』まで読んだら、ガッツリざまぁ状態として認識できるはずっ(割と怖いですけど(笑))。 そして、続編を書きました! タイトルは何の捻りもなく『婚約破棄? 無理ですよ?2』です! もしよかったら読んでみてください。 それでは、どうぞ!

婚約破棄されたので、あなたの国に関税50%かけます~最終的には9割越えの悪魔~

常野夏子
恋愛
隣国カリオストの第一王子であり婚約者であったアルヴェルトに、突如国益を理由に婚約破棄されるリュシエンナ。 彼女は怒り狂い、国をも揺るがす復讐の一手を打った。 『本日より、カリオスト王国の全ての輸入品に対し、関税を現行の5倍とする』

婚約破棄ですか? 無理ですよ?2

星宮歌
恋愛
『リィナ・マーシャル! 今度こそ、婚約破棄だ!』 今日も懲りずに、第二王子殿下のその言葉が響き渡り、誰も、それに見向きすることはなかった……。 前作『婚約破棄ですか? 無理ですよ?』の続編です。 前作を読んでいなくとも楽しめるように書いています。 わりと人気なので、前作を長編にしたものを書くか、続編を書くかで悩みましたが、続編を書くことに。 息抜き投稿で、7話完結です。 さぁ、それでは、お楽しみください。

綿菓子令嬢は、この度婚約破棄された模様です

星宮歌
恋愛
とあるパーティー会場にて、綿菓子令嬢と呼ばれる私、フリア・フワーライトは、婚約者である第二王子殿下に婚約破棄されてしまいました。 「あらあら、そうですか。うふふ」 これは、普段からほわわんとした様子の令嬢が、とんでもない裏の顔をさらすお話(わりとホラー風味?) 全二話で、二日連続で、23時の更新です。

婚約破棄されたから政府閉鎖します

常野夏子
恋愛
王族も無視できない影響力を持つ名門貴族ラーヴェル侯爵に婚約破棄された王女リシェル。 彼女は王国の政務をすべて停止することにした。

殿下はご存じないのでしょうか?

7
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」 学園の卒業パーティーに、突如婚約破棄を言い渡されてしまった公爵令嬢、イディア・ディエンバラ。 婚約破棄の理由を聞くと、他に愛する女性ができたという。 その女性がどなたか尋ねると、第二殿下はある女性に愛の告白をする。 殿下はご存じないのでしょうか? その方は――。

[完結]婚約破棄ですか? 困りましたね。え、別の方と婚約? どなたですか?

h.h
恋愛
未来の妃となるべく必死で努力してきたアリーシャ。 そんなアリーシャに婚約破棄が言い渡される。アリーシャが思ったのは、手にした知識をこれからどう活かしていけばいいのかということだった。困ったアリーシャに、国王はある提案をする。

【短編】将来の王太子妃が婚約破棄をされました。宣言した相手は聖女と王太子。あれ何やら二人の様子がおかしい……

しろねこ。
恋愛
「婚約破棄させてもらうわね!」 そう言われたのは銀髪青眼のすらりとした美女だ。 魔法が使えないものの、王太子妃教育も受けている彼女だが、その言葉をうけて見に見えて顔色が悪くなった。 「アリス様、冗談は止してください」 震える声でそう言うも、アリスの呼びかけで場が一変する。 「冗談ではありません、エリック様ぁ」 甘えた声を出し呼んだのは、この国の王太子だ。 彼もまた同様に婚約破棄を謳い、皆の前で発表する。 「王太子と聖女が結婚するのは当然だろ?」 この国の伝承で、建国の際に王太子の手助けをした聖女は平民の出でありながら王太子と結婚をし、後の王妃となっている。 聖女は治癒と癒やしの魔法を持ち、他にも魔物を退けられる力があるという。 魔法を使えないレナンとは大違いだ。 それ故に聖女と認められたアリスは、王太子であるエリックの妻になる! というのだが…… 「これは何の余興でしょう? エリック様に似ている方まで用意して」 そう言うレナンの顔色はかなり悪い。 この状況をまともに受け止めたくないようだ。 そんな彼女を支えるようにして控えていた護衛騎士は寄り添った。 彼女の気持ちまでも守るかのように。 ハピエン、ご都合主義、両思いが大好きです。 同名キャラで様々な話を書いています。 話により立場や家名が変わりますが、基本の性格は変わりません。 お気に入りのキャラ達の、色々なシチュエーションの話がみたくてこのような形式で書いています。 中編くらいで前後の模様を書けたら書きたいです(^^) カクヨムさんでも掲載中。

処理中です...