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ディデス侯爵邸に着くと、目眩がしそうな程に悪趣味な金ピカの装飾品が至る所に飾られていた。
そして、私達を大慌てで出迎えたのは、ディデス侯爵と侯爵夫人であった。
「婚約破棄すると言ったのは、愚息の戯言だ。どうか考え直してくれないか!?」
そう言ったディデス侯爵の横には、私に婚約破棄を宣言した時とは打って変わって、ゲッソリとやつれたアーモスが座っていた。
おそらく、婚約破棄の事を家族に伝えて、こってり絞られたのだろう。
「頼むから、考え直してくれ!ダーシャ嬢も婚約破棄された傷物にはなりたくないだろう?」
とディデス侯爵に言われるが、ダーシャは侯爵がたくさん身に着けているギラギラとした装飾品が気になって聞いていなかった。
あんな、悪趣味な指輪や腕輪、何処で見つけてくるのかしら?
と神妙な顔付きで考えていたものだから、それを婚約破棄すると言われた事がショックなのだと受け取ったお父様は鬼の形相になってしまった。
「いいや、そちらの息子が先に婚約破棄をすると言ってきたんだ!それで、ダーシャは傷心の中、自分で書類まで用意したんですよ!今更、撤回など虫が良すぎる!!」
侯爵家と伯爵家の間にあるテーブルに置かれた書類には、ダーシャが用意した婚約破棄の書類と秘密保持の書類が並んでいた。
「だから!こうして、息子共々、謝っているじゃないか!それに、あの事を広めても良いのか!?」
ディデス侯爵は、金ピカの装飾にとても良く似合うな悪巧みしている顔をした。
「そ、それは……」
その言葉にパレデス伯爵が言い淀む。
すると、今まで静かに聞いていたダーシャが口を開いた。
「ディデス侯爵様は勿論、聖女の伝説については、ご存知ですよね?」
「当たり前だ。その為に聖女の末裔であるダーシャ嬢を婚約者にしたのだからな」
「そうでしたわね。でしたら、かつて聖女がある荒れ果てた町をその加護の力で再建させ、再建された町は聖女が去った後も民の努力により発展していった……というのはご存知ですか?私が見た所、ディデス侯爵家ももう私の力など必要がないように見受けられますわ」
そう言うと、ダーシャは豪華な装飾品が飾られた部屋の中をぐるりと見渡した。それに合わせて、ディデス侯爵も部屋の中を見てニンマリとすると言った。
「それもそうだな!だったら、下手にでる必要などないじゃないか。婚約破棄で構わんぞ」
「そうですか。では、こちらの婚約破棄の書類に署名を。それから、私が聖女の末裔である事を口外しないという秘密保持の契約にも署名をお願いしますね」
そして、ディデス侯爵と侯爵夫人、そしてアーモスの署名が書かれた書類を纏めると、ダーシャはパレデス伯爵と共にディデス侯爵邸を後にした。
帰りの馬車でパレデス伯爵は心配そうにダーシャを覗き見た。
「ダーシャ、良かったのか?ディデス侯爵家はダーシャの加護を受けるだけ受けて、婚約破棄をしたんだぞ」
「もういいのよ。私が聖女の末裔だって事を口外しないと約束してくれたから、それで十分よ」
とダーシャは晴れ晴れとした笑顔を浮かべた。
元々、この婚約は何故か、私が聖女の末裔である事を知っていたディデス侯爵が、その事を広められたくなかったら息子と婚約しろと半ば脅しのように結ばれたもの。
元々、数百年前に存在したという聖女には加護の力があり、貧しい町に加護を授けて栄える手助けをしたとされている。だから、ディデス侯爵も自分の息子と聖女の末裔である私が結婚すれば、傾いた侯爵家を立て直せると考えたようだ。
私と婚約する前のディデス侯爵家は、長年の悪質な統制により、領民からの信頼もなく、新しい事業に手を出せば、センスがなくて莫大な負債を抱え、その上お金もないのに散財しまくって、没落寸前だったものね。私と婚約した直後から、新規事業の話が舞い込み、それがすぐに軌道に乗って、同時に領地改革も成功して領民からの支持も鰻登りになり、侯爵家は持ち直した。
だから、私が居なくなっても真面目に事業に取り組み、領民を大切にしていたらいいだけなのよ?ディデス侯爵様。
それにしても、私がお母様の血筋で聖女の末裔だという事は、お父様と王家の一部の人間しか知らないはずなんだけど、どうして知られてしまったのかしら?
そして、私達を大慌てで出迎えたのは、ディデス侯爵と侯爵夫人であった。
「婚約破棄すると言ったのは、愚息の戯言だ。どうか考え直してくれないか!?」
そう言ったディデス侯爵の横には、私に婚約破棄を宣言した時とは打って変わって、ゲッソリとやつれたアーモスが座っていた。
おそらく、婚約破棄の事を家族に伝えて、こってり絞られたのだろう。
「頼むから、考え直してくれ!ダーシャ嬢も婚約破棄された傷物にはなりたくないだろう?」
とディデス侯爵に言われるが、ダーシャは侯爵がたくさん身に着けているギラギラとした装飾品が気になって聞いていなかった。
あんな、悪趣味な指輪や腕輪、何処で見つけてくるのかしら?
と神妙な顔付きで考えていたものだから、それを婚約破棄すると言われた事がショックなのだと受け取ったお父様は鬼の形相になってしまった。
「いいや、そちらの息子が先に婚約破棄をすると言ってきたんだ!それで、ダーシャは傷心の中、自分で書類まで用意したんですよ!今更、撤回など虫が良すぎる!!」
侯爵家と伯爵家の間にあるテーブルに置かれた書類には、ダーシャが用意した婚約破棄の書類と秘密保持の書類が並んでいた。
「だから!こうして、息子共々、謝っているじゃないか!それに、あの事を広めても良いのか!?」
ディデス侯爵は、金ピカの装飾にとても良く似合うな悪巧みしている顔をした。
「そ、それは……」
その言葉にパレデス伯爵が言い淀む。
すると、今まで静かに聞いていたダーシャが口を開いた。
「ディデス侯爵様は勿論、聖女の伝説については、ご存知ですよね?」
「当たり前だ。その為に聖女の末裔であるダーシャ嬢を婚約者にしたのだからな」
「そうでしたわね。でしたら、かつて聖女がある荒れ果てた町をその加護の力で再建させ、再建された町は聖女が去った後も民の努力により発展していった……というのはご存知ですか?私が見た所、ディデス侯爵家ももう私の力など必要がないように見受けられますわ」
そう言うと、ダーシャは豪華な装飾品が飾られた部屋の中をぐるりと見渡した。それに合わせて、ディデス侯爵も部屋の中を見てニンマリとすると言った。
「それもそうだな!だったら、下手にでる必要などないじゃないか。婚約破棄で構わんぞ」
「そうですか。では、こちらの婚約破棄の書類に署名を。それから、私が聖女の末裔である事を口外しないという秘密保持の契約にも署名をお願いしますね」
そして、ディデス侯爵と侯爵夫人、そしてアーモスの署名が書かれた書類を纏めると、ダーシャはパレデス伯爵と共にディデス侯爵邸を後にした。
帰りの馬車でパレデス伯爵は心配そうにダーシャを覗き見た。
「ダーシャ、良かったのか?ディデス侯爵家はダーシャの加護を受けるだけ受けて、婚約破棄をしたんだぞ」
「もういいのよ。私が聖女の末裔だって事を口外しないと約束してくれたから、それで十分よ」
とダーシャは晴れ晴れとした笑顔を浮かべた。
元々、この婚約は何故か、私が聖女の末裔である事を知っていたディデス侯爵が、その事を広められたくなかったら息子と婚約しろと半ば脅しのように結ばれたもの。
元々、数百年前に存在したという聖女には加護の力があり、貧しい町に加護を授けて栄える手助けをしたとされている。だから、ディデス侯爵も自分の息子と聖女の末裔である私が結婚すれば、傾いた侯爵家を立て直せると考えたようだ。
私と婚約する前のディデス侯爵家は、長年の悪質な統制により、領民からの信頼もなく、新しい事業に手を出せば、センスがなくて莫大な負債を抱え、その上お金もないのに散財しまくって、没落寸前だったものね。私と婚約した直後から、新規事業の話が舞い込み、それがすぐに軌道に乗って、同時に領地改革も成功して領民からの支持も鰻登りになり、侯爵家は持ち直した。
だから、私が居なくなっても真面目に事業に取り組み、領民を大切にしていたらいいだけなのよ?ディデス侯爵様。
それにしても、私がお母様の血筋で聖女の末裔だという事は、お父様と王家の一部の人間しか知らないはずなんだけど、どうして知られてしまったのかしら?
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