性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!

モト

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勇者が求婚してきた!

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『魔王様、ご覚悟を。攻めさせて頂きます』


ニコニコニコニコ……


「……」
なんだ? こいつ?
……俺を見ててニコニコしすぎなんじゃぁないか?
キモチワル。
だけど、笑っていられるのも今の内だ! 俺のピュッピュッピュルルンパンチで腰砕けになれ!
「待っていろ! 今すぐそこに向かうからな!」
「はいっ!」

ニコニコニコニコ………
「………?」

ちょっと待て。敵に対して笑顔すぎる。
まさか、勇者にはチート能力が授けられているのではないだろうか?
能力無効化の能力持ちでは対抗できない。

俺のスキルを覗く能力は、他人の能力を覗く事も可能だ。それで幾度となく勝利を勝ち取ってきたわけだ。

どれどれ? と勇者のレベルを覗く。

◇◇◇

【勇者 ウィル】
HP:  Lv.100
力:   Lv.99
攻撃力  Lv.999
守備力  Lv.50
回復力  Lv.999


……なるほど、これは強敵だ。自信満々で不敵な笑みを浮かべるはずだ。
だけど、レベルだけならば、前魔王と同等レベル。


「魔王様、どうしたのですか? 俺からそちらに向かいましょうか?」

勇者が俺に手を振っている。余裕か。

「いや! 今すぐそっちに向かうからな!」
はい。と返事をして、一見素直そうに見えるが、この男、高いステータスに大きな重そうな剣を軽々と持っている。何よりその不気味な笑顔。油断ならない。

警戒心が強いのは、HPの弱い魔物のあるあるだ。
俺が必殺技を食らわせる前に魔弾などを放たれたら、THE・ENDだ。
いや、大丈夫。俺の身体には前魔王が保護シールドを張ってくれている。多少の攻撃では死なない。
 

「おい! 勇者め! 来てやったぞ!」
「え……?」
ジリジリと勇者に詰め寄る。来てやったのに、勇者は俺をマジマジと見つめ驚いている。

「えぇ……、魔王様?」

眉を下げ、何やら悩んでいる……。

「小さい」
「ほっとけっ!!」

人が気にしている事を!! 俺は、現在29歳だが、身体の成長は、ちょっと身長が気持ち的に伸びたかくらいである。魔王城の俺の部屋は3階にあり、遠目に見て俺の正確なサイズが分かっていなかったのだろう。
だけど、ショタボディは相手を油断させるのに、丁度いいのだ!

「嘘……。こんなに小さいと、……の挿いるかな……」

勇者がショックを受けている。魔王のイメージとかあったのかもしれない。

隙だらけだ!

これはチャンスだと、とことことことことこ……と近づいて指を立てて、チョンっとしようと……
ん? なんだ? ブルブル身体が震えている。

「——————っ」
「へ?」
上を見上げると、目を見開いて息を止めて酸欠具合になっている勇者……。
その顔は赤らんでいるのか青ざめているのか分からない。
へ? 何こいつ……。病気持ちなのか?

「お、お前? 大丈夫か?」
チョンと突く予定だったのに、心配してしまった。勇者の顔を覗きこむ。病気ならば、魔王城で休むかと声をかける。
すると、勇者が胸を押える。

胸の病気!? 心臓が弱くて酸欠になっているのか!?

とりあえず、部下に担架を持ってくるように声かけようと勇者から視線を外した瞬間、ガシィっと両腕を掴まれた。

「え!? しまっ!?」

力が強い! 体調悪そうにみえたのは、俺を油断させるためか!?

「くっそっ、可愛い!! 可愛すぎる! なんですか、小さい身体は! 可愛さで息止まるかと思いました! このオマケみたいな羽をパタパタさせるのはなんですか!? 何の意味があるんですか!?」
「ひゃんっ!」

羽を指で持ち上げられたので、声が出た。
見知らぬ悪魔の羽を持ち上げるなんて酷い。

「『ひゃん?』……ひゃんってなんですか」

嘘だろう……、可愛いが過ぎる……と、ガクリと勇者が地面に跪いた。


「…………なんだ? お前……」
なんかよく分からないが、戦意喪失している。
今まで、どんな魔物にも触れずに勝った事はない……。


「流石、魔王様♡です! 秒殺!! いえ、瞬殺!」
「へ? い、いや? 戦ってないけど……」

後で控えていた部下が目をキラキラさせて、わーっと駆け寄ってきた。何にもしていない俺の事をべた褒めしている。

「そして、この勇者、どうしますか?」
「あ——……」
俺は、周りを見た。よく見ると、部下がやられているし、そこの地面で伸びているのは前魔王ではないか。
何より、俺のベランダを粉砕した罪は重い。

「———だけど、まぁ、いいか。人間界へ帰してやろうよ」
「なんと! 懐の深さ!」
「うん。そだねー(面倒くさいだけ)」

そうして、魔王城へ戻ろうとすると、顔が狼の人狼が俺の肩にスリスリ顔を擦りつけた。

「我々の魔王様♡は、最強最高で—————」

俺の肩の重みが一瞬でなくなったので、何事かと横を見ると人狼の姿が見えない。
きょろきょろと周りを見ると、

———ドンッ。と上から人狼が降ってきた。

「ひぇぇええええっ!?」

なんだ!? 何事だ!? と辺りを見渡すと人狼を睨みつける勇者が……。
動いていないように見えたが、今の一瞬で攻撃したのだろうか。

「テメェ、俺の魔王様に何してんだ!? あぁ!?」
勇者は立ち上がって、ぶっ倒れている人狼にこれでもかと足蹴りする。

「お前の魔王様じゃねぇよ」
あまりの事にポカンをしてツッコむと勇者は人狼を蹴るのをやめて、ニコリと先ほどと同じ笑みを向け「心の声が漏れましたね!」と。

不気味だ。
ジリジリと後退すると、その分詰め寄ってくる。いや、こちらも反撃するべきだ。パンチを打とうと手を前に構えた時、勇者の一歩の方がデカくてあっという間に両手を掴まれた。

「!!」

コイツ、さっきから俺の手ばっかり封じる動きしやがって……っ!
まだ、必殺技を見せていないから本能的にこれを回避しているとしか思えない!

「離」「離しません」
言うのがはえぇんだよぉ!
グイグイと顔を寄せられる。うひぃ、なんだよぉ、コイツ。
顔が引っ付いてしまいそうで、俺も背中を反らす。エビぞりになっちゃってるじゃん。
な、なんか、コイツ、何気にキスしようとしてねぇかぁ!?!?!
ぎゃぁ! と悲鳴が上がりそうな時、勇者が一際強く両手を握った。

「魔王様、愛しています! 攻めにきました!」

「…………ひぃ そっちかよぉ!」

告白される事は珍しくない。俺には愛され力と魅了の力が天性に備わっているからな。ただ、この状況からどうやって断って逃げたらいいんだ。
腕を封じられたまま、逆上させては人狼のような目に合うかもしれない。


ピロン♪
その時、勇者の隠れたスキル表が見えた。

性技:  Lv:99
努力:  Lv:10000
執着:  Lv:10000
愛情:  Lv:Max
(愛情深く、好きな相手にとことん尽くし執着します。狙われると回避が極めて難しいでしょう)


な、なんじゃこりゃぁ。
か、回避難易度……SSS……え……リアル理不尽無理ゲー展開!?

「敵対する勇者でも心配してしまう貴方が好きです。縛ってでも持ち帰ってやろうと思っていた事を深く反省しています」

怖い事を言いながら、片手で俺の両手を持ち、もう片手が俺の腰に回され、グッと寄せられる。

「おいっ!! なんのつもりだよ!?」
「俺の事、どうですか? て言っても無駄なようなので、セールスポイントをお試しください」
「いらない! 拒否!!」
「そう言わず、物は試しに」
「お前は、怪しいセールスマンかっ!!」

すげぇ、馬鹿力ぁ!!
グイグイと顔が近付いてくるので、またエビ反りになって顔を反らすが抵抗虚しく、勇者の口が俺の口にブチューっと引っ付いた。

「うえっ!? ぇっ! ……っ!……ふ、ぐ…………!?!?!?」

剥がそうとしても剥がれない男の腕と唇……。
なに、これぇ……!?

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