悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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秋学期。

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楽しい夏休みの三カ月は、あっという間に過ぎていく。阿呆様達からの手紙等も、セルビィが令嬢達の代筆して返していた。
今まで、手紙等も来たことが無いので令嬢達は気付く事は まったく無かった。

そして、夏休みが終わり。
始業式の朝早く、阿呆様達が忙しい時を狙って セルビィは令嬢達を秋学期の挨拶の為 聖堂にやって来ていた。
「アラン殿下、ご機嫌宜しく。」
人が行き交う、聖堂の裏側でセルビアはアランに挨拶をする。少し膝を曲げ、頭を下げる。
「セルビア、大事ないか?」
アランは嬉しそうに、応える。他の令嬢達も、各々の婚約者に挨拶を掛けていた。
「姉様達、王太子殿下達は お忙しいのです。」
「そうね。直ぐ、お暇しましょう。」 
令嬢達は、セルビィに微笑む。
「いや、待て セルビア。」
セルビィに促されその場を去ろうとする令嬢達を、アランは声に出して止めた。だが、
「阿 アラン王太子殿下、殿下達からのお手紙。セルビィ、とても嬉しく御座いました。」
「まあ、セルビィ。殿下達から、手紙を頂いたの。」
「はい、姉様。姉様達以外からの始めての手紙、とても嬉しかったです。」
「そう、其れは良かったわね。」
「はい、姉様。」
セルビィは令嬢達に微笑んだ。そして、アラン達に頭を下げて微笑んだ。
「とても、嬉しかったです 皆様方。」
アラン達は、混乱していた。
「其れでは、姉様。これ以上は、殿下達のご迷惑になります。」
「そうね。」
令嬢達は、頷いた。
「では、失礼します。」
セルビィが殿下達に挨拶をすると、令嬢達は頭を下げる。セルビィに促されて、その場を後にする。
「御機嫌よう。」


「私は、セルビィに手紙を出した覚えは無いのだが。」
アランが、首を捻る。
「殿下も、ですか。」
エリックが、眼鏡を外して考える。
「だが、セルビィが あれ程喜んでいたのだ。きっと、出したのであろう。」
レイモンドが、笑いながら言った。
「きっと、令嬢に手紙を出す時。ついでに、出していたのでしょう。」
シモンが、頷いた。
アラン達は、
「きっと、セルビアに手紙出すのに浮かれていて 忘れていたのであろう。」
そう 結論づけた。結論づけている間に、令嬢達はその場を去っていた。




令嬢達は、何時もの場所を陣取って 午後の茶会ぽい事をやっていた。陣取ると言っても、人気の無い端の場所だ。だいたい豪の者は、良い場所が空いていても人気の無い場所に通される。其れが、学園の中であっても 例え高位の貴族であっても だ。

尊き神は、明るい色を好まれる。日の光りあたる場所には、明るきモノを。黒きモノは、暗き場所へ。
これが、聖書に書かれてあった。

カフェテリアとは言え、令嬢達は店の外に出た事は無かった。まあ、一様気を遣って 窓から見える景色は良い場所であったが。
「びっくりしたわ。まさか、アラン殿下がセルビィに手紙を出していたなんて。」
セルビアがお茶を手に、話し始めた。
「本当に、驚きましたわ。」
「手紙なんて、かけたのね。」
アイリーンが頷くと、リリアナがお菓子を頬張りながら応える。其れを視ながら、テレジアは、
「私達には、送ってくれた事は ありませんね。」
令嬢達は、落ち込んだ。
手紙等を、細かい事をするのが苦手だと 思っていたかった事が 否定された事に成る。
「私達、嫌われているのね。」
「分かっていた事ですが、哀しいです。」
セルビアと、アイリーンは溜息を付いた。
「落ち込ん出ても、仕方がないわ。」
「そうね、ふふっ。」
リリアナが叱咤をかけると、テレジアが笑った。
「例え、飾りでも。少しでも豪の者の扱いの改善を、かんばりましょう。」
セルビアの言葉に、令嬢達三人は心新たに頷いた。
まだ、未来を知らない 令嬢達は健気で有った。


第一生徒会室、其れは高位の貴族が使う場所。と、言っても王族 公爵の応接用の場所の様な処だ。彼等の仕事は、好きな事を言って、サインをするだけで有った。第二生徒会室の者が、実質的に事を決め行動に移している。簡単言えば、第一生徒会室は飾りで有った。実権は第二生徒会室が、その中の高位の侯爵が握っていた。
ビウェル・フレックスである。彼は、生徒会長ではなく。その上位の者として君臨していた。 
「何時まで、いる気だ。」
簡素な部屋で、机に齧り付いて書類に目を通していたビウェルは 応接用に用意したソファに寛ぐセルビィに目をやった。
「このお菓子、美味しいですね ナルト様。」
「ああ、美味いな。」
ビウェルが、家から持ち込んでいたお菓子を探し出し セルビィは食べていた。お茶は、ナルトが其処にある物で入れていた。
「このお茶も、美味いな。これ、高いだろ。」
「ビウェル様も、お茶 飲みますか。僕が、入れましょう。」
「やめろ!! 茶葉が、勿体ねぇ。」
「酷い言い方です。心を込めたお茶です。」
「どう心を込めたら、あんな不味いお茶が入れられるんた。」
「普通に、入れました。」
「普通に入れたら、ああなるか!! 」
「貴様等、静かにしろ。」
楽しそうに言い合っている二人に、頭を抱えてビウェルが声を掛けた。
「五月蝿くするなら、帰れ。私は、忙しい。」
「何か、あったんですか? 秋学期は、収穫祭の催しか無かったはずですが。」
「その催しに、他国の王族が来る。」
苛ついた様に、指を机を叩いて音を出す。
「アメリゴ帝国とチャイニ国ですね。」
「その情報、何処から手に入れた。」
「其れは、秘密です。」
セルビィは、首を傾げた。
「なら、私の忙しいのは分かるな。帰れ。」
「忙しいのは、騎士では? 」
「王子が、学園に秋学期の間留学生として来る。」
「其処までは、知りませんでした。」
「今から、頭が痛い。」
「王族は、我が儘が 多いいですからね。」
「お前に、言われたらお終いだな。」
ナルトが、参戦する。
「ナルト様。」
セルビィは、ナルトに微笑んで見せる。ナルトは、目を反らした。
「何しに来るのでしょう。」
「牽制だろうな。」
「牽制ですか。」
「知っているだろう。他国で色々と物資がここ数年、爆買いしている国が有ることを。」
「ええ、父様が言ってました。戦争の為で無ければ、いいと。」
「やっぱ、この菓子美味いな。」
ナルトは、お菓子を食べる。
「御陰で、砦の修繕にてんてこ舞いで 父様達は大変です。」
「お茶も、美味い 美味い。」
ナルトは、お茶を飲む。
「何も無ければ、良いのですが。」
「そうだ、頭が痛い。」
ビウェルは、頭を抱え込む。
「もし、この国に 今 干渉するなら。只では、すませません。」
セルビィは、囁いた。ナルトの耳には、その声は届いた。背筋に、嫌な汗が流れる。其れを紛らわせる様に、ナルトはお菓子を食べ続けていた。


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