悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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夏休みの会議室の暗。

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「御存知ですか、攻城塔。」
セルビィは、三伯爵に聞いた。彼等は、勿論と頷く。
「砦や城を攻略する為に造る、塔の様な移動式建物だ。」
「その塔を足場に、砦や城の城壁を登る軍用兵器だな。」
「壁もあるから、矢除けにもなる。」
三伯爵が、次々と攻城塔の説明をしだす。
「俺の処にもあるぞ、邪魔だから砦内の端に置いて 屋根が有るから兵の宿舎代わりに成ってるな。」
ボルトも、今の状態を説明する。戦以外では、ただの大きな邪魔な箱で有った。
「攻城塔を改造して、可動式跳ね橋を造ります。」
セルビィは、微笑む。
「使わないときは、橋を上げて置けば 他国から入る事は出来ません。」

「そうか、だから此処か。」
「はい。」
ボルトが頷くと、セルビィは返事をする。他の者は、頭を捻った。
「亀裂の距離の問題です。攻城塔は高さ、十二メートル。此処の亀裂は、十メートル位か? 」
「正確には、もっと短いかと。八 七メートルです。」
ボルトとセルビィの話は、弾む。他の者は、頭を捻る。
「こう言う事です。」
セルビィは、紙に図面を描き出す。二つの攻城塔の間に、可動式跳ね橋を付け加えている図面を。簡易的跳ね橋の設計図を。
「今有る攻城塔に、跳ね橋を付けるだけか。」
「なる程、是なら直ぐ出来る。」
「こんな方法が、有ったなんて。」
三伯爵は、顔を見合わせて喜んだ。是なら数ヶ月で、橋が出来る。
「此処は、亀裂は短いですし。開けていて、見通しも良いです。監視にも、攻城塔は高さもあります。」
セルビィは、微笑む。
「簡易的砦に、成りませんか。」
ボルトは、頷く。
「成るな。中に、何人か常駐させれば。表を火に強い、鉄板を貼るか? 火矢に対抗できる。」
「良い案です、ボルト様。」
セルビィは、微笑む。
「まったく、お前は。」

「はははは。どうだ、我が天使は天才だろう。転生者かも。」
床に縛られ、転がされているセラムが笑いながら言った。
「父様。転生者は、物語の話です。現実をみて下さい。」
冷たい声で、見据える。
「はい。」
セラムは コロコロと、床を転がった。

『転生者かも。』のセラムの言葉に、其処にいた者は。
『そうかも。』と、頷きたく成ったのは 秘密だ。

「では、攻城塔の新築代の申請を財務省の方へ 提出して下さい。」
「あ、やっぱ。国から、取るのか。」
ナルトが ぼそっと、言った。皆が、ナルトを見る。
「必要経費です。」
セルビィが、微笑む。
三伯爵もボルトも、微笑む。
「うわっ、皆、毒されてる!! 」
「父様達の貢献の、当然の権利です。」
「うん、うん。」
皆、頷く。その目は、悟った目をしていた。
ナルトも、いつか悟る日が来るのだろうと 頷くしか無かった。
会議は、終わった。
書類が集められ、廃棄に成る。総てを、証拠隠滅の為に灰にするのだ。ナルトがその役目を負っていた。
書類の中に、何枚かの手紙が
「手紙? 」
「其れも、廃棄でお願いします。」
セルビィが、応えた。
「へぇ、いつの間に手紙を送ってくれる 友達が出来たんだ? いや、恋文か。」
茶化しながら、ナルトはセルビィを見る。
「恋文かも、です。阿呆様達からの。」
「阿呆様達!? 」
ナルトは、封筒を手に取った。封筒の表に書かれた、宛名は。
「セルビアへ。」
セルビィの姉の名前で、有った。その他の封筒の名前も、令嬢達の名前で有った。
「これ、令嬢達にだよな。」
「はい。」
セルビィは、首を傾げた。
「其れが、何か? 」
「いや、令嬢達にだよな。」
「其れが、何か? 」
ナルトは、周りを見回す。三伯爵は、目を反らし席を立って行った。
「いや、いや!! なんで、此処に有るんだ!? 」
セルビィは ますます首を、傾げた。
「楽しい夏休み、姉様達を患わせるのも可哀想です。」
「患わせるって? 」
「なので、僕が 阿呆様達に返事を書いて出しました。」
ナルトは、驚いた。
「もう送って来ない様に、遠回しに家族の事を書いて送りました。其れが、何か? 」
「令嬢達は、知っているのか? 」
「知りませんよ。」
何でも無い事の様に、セルビィは言う。
「え、何? あれ、これは俺が 間違っているのか? 」
困惑するナルトの肩を、ボルトが掴む。そして、悟った目で頭を振った。
「まさか、令嬢達に来る手紙を全部を視てるのか? 」
「まさか、男性から来る手紙だけですよ。伯爵様達の同意も、有ります。」

「変な虫が付かないように と、親心だな。」
ボルトがナルトに向かって、微笑む。
「そ、そうか。」
頷く。ナルトも、悟るしか無かった。
『絶対違うだろう!! 』とは、ナルトはいえなかった。
令嬢達の行き来の手紙ではなくて良かったと、ナルトは胸を撫で下ろす。もし、其れさえも視ていたら。

(今 此処に、叔父さんはいねぇよな。)

令嬢達の手紙には、きっと恋愛話が含まれるに違いない。そうすれば、セルビアのボルトへの恋心が セルビィにバレてしまう。そうなれば、

(今頃、千尋の谷底で 叔父さん。屍に成っているな。)

ナルトは、ボルトに向かって哀れみの目を向けた。
「ナルト? 」
「何でも無い。」
ナルトは、弱々しく笑った。

「大丈夫です。阿呆様達にも、断って 謝罪しています。
『(姉様達の)夏の楽しい日々を患わせたく無いので、カードで御返事を(僕が)お返しする事をお許し下さい。』と。」
親指を立てて、微笑む。
「いやいや、大事な処、抜けてるだろ!! 姉様達とか僕とか!! 」
「細かいことは、気にしない です。」
セルビィは、笑う。
「こう言う処、セラムそっくりだよな。」
ボルトが、囁いた。
「おお、流石 天使!! 姉思いだな!! 」
コロコロと、床をセラムは転がって近づいてくる。
セルビィは、父親の縄を外すために近づいた。
「父様、褒めすぎです。照れて、しまいます。」
「照れた天使も、可愛いな!! な、ボルト!! 」
床に座る様に起き上がったセラムは、目線を上げた。だが、其処にボルトとナルトは既にいなかった。
「どうしたんだ? 」
「どうしたんでしょう? 」
似てない親子だが、誰も居ない一室で同じ様に首を傾げて開いた扉を眺めていた。

親馬鹿 シスコンの自慢話など、聞きたくは無いので二人は退散したので有った。

厨房により、書類隠滅を図る。火の中に書類を投じ、灰に成るのを確かめて厨房を出る。二人して歩いてる処に、
「ボルト様。」
黒髪の美女が、髪を揺らして走ってくる。
「セルビア。」
ナルトは、その場を離れた。
「お話しは、終わったのですね。」
きらきら と、した瞳でボルトを見上げる。頰が、赤い。
「宜しかったら、一緒にお茶など。」
もじもじ と、問いかける。
「済まないが、これからまだする事が多くてな。」
ボルトは、セルビアの頭を撫でた。其れを、ナルトと令嬢達は微笑ましく眺めていた。
くしゃり と、セルビアの髪を乱す。
「もう、ボルト様の意地悪。」
顔を真っ赤にしながら、膨れてみせる。髪の乱れを直す。
「はははは、悪い。」
ボルトは、優しく笑った。
「子供、扱い しないで。」
俯きながら、セルビアは囁いた。
「姉様!! 」
二人の間を引き裂く者が、現れた。セルビィで有る。
「げっ、やべぇ!! 」
ナルトは、つい声を上げた。今の二人の状態を視れば、いくらお子様のセルビィでも姉の恋心が分かってしまう。そう思った、が
「姉様、顔が赤いです。熱、熱が、有るのかも。」
セルビィは おろおろ しだす。セルビアは、頬に手をあてた。
「風邪? 風邪ですか? 」
「大丈夫よ、セルビィ。」
セルビアは、微笑む。だが、セルビィは聞いていない。
「薬を。いえ、医師を。」
「セルビィ、落ち着いて。」
なだめに掛かる。
「夏風邪は、危ないです。医師を!! ボルト様!! 」
セルビィは、悲鳴の様な声を上げる。
「大丈夫よ、セルビィ。」
セルビアは、セルビィを抱き締めた。少し、落ち着く。
「母様の様に、死なないで。」
セルビィも震えながら、セルビアを抱き締める。ぽろぽろと、涙がこぼれる。

二人の母親は、夏風邪を拗らせてセルビィの前で亡くなった。その記憶が鮮明に、セルビィを縛る。セルビィ四歳の夏で有った。

「僕を置いて、行かないで。」
セルビィは、セルビアの胸に顔を埋めた。
「置いて行かないから、大丈夫、大丈夫よ。」
背中を ぽんぽんと、叩いてあやす。セルビィの震えが、無くなってくる。

「そうよ、セルビィ君。セルビアが、赤いのは 」
「てぃ!! 」
リリアナの言葉を、ナルトが頭をチョップして遮った。
「いたぁい、何するの。」
「お前こそ、叔父さんを殺す気か。」
「何の事!? 」
「良いから、話はこれで終わらせとけ。恋愛話は、無しだ。」
「分かったわよ。」
納得のいかない、リリアナで有った。
抱き合う二人を、微笑ましく周りの者は視ていた。
暑い夏が、やって来ていた。
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