悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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夏休みの会議室の怪。

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会議室で笑うセラムをボルトは、蹴った。近頃、ボルトはセラムの扱い方が乱暴に成った。事ある事に、天使の話しをするセラムに肝心袋の尾が切れたのだ。
昔はまだ マトモだったセラムだが、セルビィが優秀すぎて考えるのを放棄した様だった。天使の話しからコトがばれるかも知れないとボルトは ヒヤヒヤしていた。
「静かにしろ!! うるさい!! 邪魔だ!! 」
其処にいた者達は、ボルトのセラムの扱い方に口を開けて驚いている。一人を覗いて。
「父様を、制御出来るのは ボルト様しかいません。」
「丸投げ、するな。」
セラムを踏み付けながら、ボルトはセルビィに向き合う。セルビィは にっこり 笑って、無視をした。

「目下の目標は、人材確保と言う事です。」
円卓に座りながら、セルビィは話しを進める。
無視されたボルトは、鬱憤を晴らす様に何度かセラムを踏み付ける。
『グェ!! グェ!! 』と、変な声が聞こえて来る。セルビィ以外の者は、黙って下を向いていた。そして、ボルトが席に戻る気配がする。
「目下の目標は、人材確保です。」
セルビィは、同じ事を二度言った。ボルトとナルトは、頭を抱えた。
「あてが、あるのかい。」
おずおず と、三伯爵の一人がセルビィに聞いた。
「はい。」
セルビィは、今日一番の笑顔と弾んだ声を上げた。
「御存知ですか? フレックス侯爵様の事を。」

「フレックス侯爵。」
「確か、憲兵隊総括の。」
「彼は、豪の者分け隔て無く 法を遂行してくれる人物です。」
三人は、頷いた。
「あては、彼ですか。」
「はい。」
「フレックス侯爵ですか。」
「はい。」
「彼なら、信用出来る。」
「彼は、良い奴だ。天使だけで、セルビィと解った。はははは。」
復活して来たセラムが、笑う。ボルトは、静かに立ち上がった。
『ドコッ!! 』音がする。四人は、心の耳を塞いだ。
「フレックス侯爵様は、とても優秀で 素晴らしい方です。」
セルビィは夢見る乙女の様に うっとりと、言った。
「セルビィ君が、言うならそうなんだろうが。」
「彼は、この国を愛しているのだろう。」
「我らと共に、来てくれるのだろうか。」
三人は、複雑な顔をした。
「侯爵様が、この国を愛しても。この国が、侯爵様を愛するとは限りません。」
セルビィは、微笑む。その微笑みに三人は、再び背筋を凍らす。
「既に、三馬鹿様に 目を付けられているみたいです。」

「そ、そうか。」
「セルビィ君が、何かをしたかと思ってしまったよ。」
「いくら何でも。」
三人は、顔を見合わせた。
くすくす と、セルビィの笑い声が聞こえる。
其処にいた者の、血の気が引く。
「阿呆様達の御陰です。裏で遣っていた事が、表に出て来たのです。」
セルビィは、首を傾げて微笑む。その微笑みが、恐ろしすぎて皆黙った。

「きっと、フレックス侯爵様は 僕達の力に成ってくれる事でしょう。」
楽しそうに、微笑む。
三伯爵は黙り、ボルトとナルトは侯爵を思い涙した。

(哀れなる、侯爵よ。)

其処にいる者の、心の声だった。
「既に、貸しは作ってます。ねっ、ナルト様。」
「哀れな事に。」
「ボルト様。」
「ああ、可哀想に。」

(ああ、逃がす積もりは無いのだな。)

三伯爵は、自分達の事を思い出して 侯爵の事に涙ぐむ。
其れは、既に決定事項の様であった。

(ようこそ、侯爵。)

三伯爵は、彼に優しくしてあげようと心に誓うのであった。
「フレックス侯爵様経由で、優秀な人材が手に入ります。裏で働いて居た方を、ごっそり 頂きましょう。」
セルビィは、微笑む。

(この国、終わったな。)

其処にいる者は、確信した。一人を覗いては。
「物流も、ネルソン商家が手に入ります。」
「あの、ネルソン商か。」
「他国にも、支店の多いい。」
「いつの間に。」
三伯爵の問いに、
「是も、阿呆様達の御陰です。良い働きをして下さいます。」
セルビィは、笑う。
三伯爵は、座っているのでやっとだった。
「ビウェル先輩は、ネルソン商家に貸しがありますから。そのビウェル先輩に貸しが有る 僕のお願いを、きっと聞いて下さいます。」

(其れって、どうかと。)

言葉に出来ない、三伯爵であった。
「いつ、ビウェルに貸しを作ったんだ? 」
ナルトが思い付く辺り、無かった。セルビィは くすくすと、笑う。
「ナルト様。ケーキ、美味しかったです。」
「うっ!! 」
ナルトが、声を上げた。
他の者達は何が貸しだか解らなかったが、ナルトには心辺りが有りそうだと放置した。
(だが、ケーキ? )

「美味しかったです。」
「そうか、良かったな。」
ナルトは、引き攣った笑顔を向けた。

(此奴、泣かされた事を貸しにする気だな。)

普通、泣いた事を 黙ってて欲しいと言うはずが 逆である。セルビィは、自分を泣かした事を、貸しとする。ただでは起きない、セルビィで有った。

(あの親馬鹿に、言えば俺達は殺される。其れを、)

「また、買って下さい。」
「分かった。」
ナルトは、お手上げ状態で有った。

「次に、流通の為に橋を架けようと思います。」
「橋、だと。」
セルビィは、地図を取り出し ルナの大地と大陸に走る亀裂の西と東を指差した。
「此処と、此処に。橋を架けます。」
他国へと通ずる場所を、示す。是には、其処にいる者達は顔を歪める。
「セルビィ、橋を掛けるには何年かかるか。」
ボルトが、頭を振る。
「娘が、結婚してしまう。」
「もう、終わりだ。」
「パパを、許してくれ。」
三伯爵は、悲嘆に暮れる。
「結婚なんて、神が許しても 僕が許しません。」
セルビィは、当然の様に言った。
「だが、しかし。」
「橋なら、直ぐに作れます。」
「なっ!? 」
「どうやって!? 」
セルビィは、微笑んだ。
その笑顔は、背筋を凍らすが 安心の出来る微笑みで有った。
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