悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

文字の大きさ
60 / 128

フローネ・リジナル、登場。

しおりを挟む
セルビィはソファに座っている。それに対峙する様に、ナルトとビウェルが座った。
ビウェルが、吹き出したお茶を片付け。濡れてしまった書類は、机の上に乾かす様に 広げられていた。
同じく、ナルトが 吹き出したテーブルの上は奇麗に拭き取られていた。
その作業の間、二人は無言であった。総てを終えて、二人は静かに セルビィと対峙する。
「女性を、紹介して欲しいと? 」
「はい。」
「四人も? 」
「はい。」
セルビィは、素直すぎる程真っ直ぐに返事をする。
「一人では、駄目なのか? 」
「一人では、足りません。」
「一人じゃ、満足しないと。」
「はい。一人では、足りません。」
セルビィは、微笑む。
「もう、我慢の限界です。ビウェル様、女性を紹介して下さい。四人ほど。」

((我慢の限界だと!? ))

二人は内心 驚愕しながら、表は冷静さを取り繕った。

「地位は、そうですね。男爵か子爵で。その方が、燃え上がります。」
(地位の低い者だと。)
(燃え上がるの、か?)
「庇護よくをそそられる、弱そうな女性が 良いです。」
セルビィは、微笑む。
((か弱い女性だと。))
「顔は、悪いより よい方が 良いです。」
((顔は、どうでもいいと? ))
「体は、丈夫な方が 良いです。」
((体、目当てか。))
「欲望に忠実で、ギラギラした女性が良いです。」
((体、目当てだ!! ))


「そんな、知り合いなんか いない!! 」
ビウェルは、つい声を荒げた。セルビィは、不思議そうに首を傾げた。
「侯爵の地位に群がる、女性はいないんですか? 」
「そんな、女性は願い下げだ!! 」
声を荒げるビウェルに、セルビィは頰を膨らませた。
「ビウェル様、使えない。」
「セルビィ!! 俺は、お前をそんな風に 育てた覚えは無い!! 」
ナルトが、声を上げた。
「育てられた覚えは、ありません。」
事実を言った。
「そうじゃ無い!! セルビアが、泣くぞ。」
「何故、姉様が泣くのです? 」
セルビィは、首を傾げる。
セルビィは、本当に分かって無い様である。
((まさか、こんな『ゲス』に なるとは。))
二人は、哀しい思いでいっぱいだった。
((此なら『こうことり』を信じてる、ピュアの方がよかった。))
二人は、何か言いたそうで震えていた。

「話に、なりません。」
セルビィは、立ち上がった。冷たく、言い放つ。
「自分で、探します。」
扉の方へ歩き出す。
「何処かに、いないかな。丁度良い 女性。」
セルビィは、楽しそうに出て行った。

ナルトとビウェルは、ソファに体を埋めた。
「まさか、肉欲に溺れるとは。」
「もっと早く、ちゃんと性教育をしていれば。」
二人は、天を仰いだ。
「行かなくて、良いのか? 」
「ああ、そうだな。」
ナルトは、重い体を動かした。セルビィの後を追う。
残されたビウェルは、溜息を付いた。
「あの聡明なセルビィ様が、肉欲に溺れるか。」
後数か月と言うのに、これで大丈夫なのかと ビウェルは深く思う。
このまま、セルビィに付いていっていいのかと。
ビウェルは、深く頭を抱えるのだった。




「ちょっと、貴方 聞いてるの!? 」
校舎の裏で、女性の声がする。セルビィは、一階の廊下で声の人物を見ていた。
「セルビィ? 」
「しっ。」
後から付いてきたナルトに、人差し指を唇にあてて 黙る様に 促す。
ナルトは、静かにセルビィの傍に寄った。

「え~っ よく、わかんない。」
赤みがかった金髪の女性が、甘ったるい声を出す。手を組み合わせ、首を傾げている。
一人の生徒に、四人の女生徒が囲っていた。
「ですから、貴方は殿方に近寄りすぎです。」
「そうよ、ケイン様は私の婚約者なのよ。」
「べたべたして、いやらしい。」
「私の婚約者にも、声を掛けて。」
責め立てられている女生徒が、可愛らしく応えた。
「みんな、お友達ですわ。」
「貴方は!! 」
話し方とか態度が、神経に触る。


「あ、ビッチ。」
ナルトは、つい声が出た。
「ビッチ? 」
セルビィは、ナルトを見る。
「知り合いですか? 」
「知り合い、て 程でもねぇな。声は掛けられたが。騎士箔だ、と言ったら。ハイ、サヨナラだな。」
ナルトは、両肩を上げた。
「爵位、伯爵以下は眼中にないらしい。」
ナルトは、首を振った。
「男なら、取り敢えず声を掛けてるな。」
「僕は、声を掛けられません よ。」
「それは、」
ナルトは、金髪の頭を掻いた。セルビィは、頷く。
「成るほど、豪の者も眼中にないと。」
セルビィは、女性を食い入るように見た。

「ビッチさん、ですか。」
セルビィは、ナルトが言った女性の名前を言った。
「名前じゃないからな、それは。」
「名前じゃ、ない? 」
可愛らしく、首を傾げる。
「んー。俗語だ。」
「そうですか。」
ナルトの言葉を、聞いていない。女性を見て、セルビィは微笑む。
「素晴らしい。」
「えっ!? 」
セルビィは、褒め称えた。
「僕の、理想の女性です。」
「えっ!?」
ナルトは、目を見開いた。



責められていた女性は、ナルトを見咎めると。
「きゃあぁ!! 」
声を上げて、倒れた。
「ちょっと、貴方 何を? 」



「大丈夫ですか? 」
優しい声に、女性は上目遣いで声の主を見る。
少女と見間違うほどの美しい、少年がいた。だが、
(黒髪だわ。)
「あ、ありがとうございます~。」
震えながら、言う。
(なんで、金髪の方が来ないの。)
「君達、一人に四人で責め立てるのは 酷いですよ。」
セルビィは、令嬢達を非難した。
「私達は、ただ。注意を、しようと。」
「注意? 」
セルビィは、芝生の上に倒れる女性を見る。
「何故、彼女は倒れているのです? 」
「勝手に、倒れたのよ。」
「そうよ、いきなり。」
令嬢達は、言った。
「そんな、ひどいです~。あなた達が、突き飛ばしたのに~。」
女性は、泣き崩れた。
「なんて、酷い。四人で責め立てた上に 暴力まで。」
セルビィは、信じられないと 顔を歪めた。
「ち、違います。」
「もういい。今後、この様な事をすれば ただでは済みませんよ。」
令嬢達は、悔しそうに頷いた。
「済みませんでした。」
「失礼します。」
令嬢達は、非礼を詫びて 戻って行った。
(何、この子。けっこう地位があるの、豪の者なのに? )

「立てますか? 」
セルビィは、優しく手を差し伸べた。
「はい。ありがとうございます~。」
女性は、手を取って立ち上がった。セルビィは、微笑む。
「怪我は、ありませんか? 」
「はい。大丈夫です~。」
女性は、はにかみながら微笑む。セルビィは、頰を染めた。
(ふふっ、可愛い。これ位で、頰を染めて。)
「助けて下さり、ありがとうございます~。私は、フローネ。フローネ・リジナル・男爵令嬢です~。」
可愛らしく、挨拶をする。
「僕は、セルビィ。セルビィ・ランドール。」
セルビィは、にっこりと笑う。
「公爵令息、です。」
フローネの目の色が、変わった。



しおりを挟む
感想 55

あなたにおすすめの小説

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜

桐生桜月姫
恋愛
 シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。  だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎  本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎ 〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜 夕方6時に毎日予約更新です。 1話あたり超短いです。 毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

処理中です...