悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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反抗期?

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「一度屋敷に戻らないのか? 」
馬車の窓から雪を眺めているセルビィにナルトは、声を掛ける。
「屋敷までは、遠いですから。このまま、学園に行きます。」
「セルビア達が、待っているぞ。」
「姉様達には、学園で 会えますから。」
セルビィは、嬉しそうに微笑んだ。
「行き違いになったら、哀しいです。」
「そうだな。」
ナルトは、考えた。今帰っても きっと令嬢達は、ぼろぼろだろうと。
(寝ずの番位、あのセルビア達はやっていそうだ。)
嬉しそうなセルビィとは違い、ナルトは頭を抱えるのであった。

何時もの時間、ビウェルは生徒会室横の部屋の扉を開いた。目の前に。
「お帰りなさい。お茶にします? 其れともお菓子? 」
セルビィが、両手を出してビウェルを迎えた。
ビウェルは、溜息を突きながら鞄をセルビィに差し出した。セルビィは、其れを嬉しそうに受け取ると。
「ナルト様、お茶を淹れて下さい お願いします。」
セルビィは、鞄を開けながらソファに着いた。

「大丈夫か? 」
ナルトは心配そうに、ビウェルに声を掛けた。身なりはきちんとしていたが、彼の目の下には隈が張っている。
「お前こそ。ボロボロだぞ。」
ナルトは見るからに、ボロボロだった。髪は桂なので良いが、服はヨレヨレ 顔は同じく目の下に隈が張っている。
学園の制服のまま、馬車で三日間寝泊まりをしたから当たり前であった。
「風呂でも入って来たらどうだ? すっきりするぞ。」
「そうだな、しかし。」
ソファに座るセルビィを、見る。既に、美味しそうにお菓子を食べている。
「暫くは大人しいだろ。今の内に。」
「ああ、頼む。」
ナルトは、ヨロヨロと部屋を出て行った。勿論 外にいる護衛達に、声を掛けて。
二人切りになったビウェルは、セルビィ問い掛けた。
「お泊まりは、どうだった。」
「最高の日々でした。」
セルビィは、満面の笑みで応えた。
「そうか。」
それ以上 ビウェルは、聞くことが出来なかった。

ナルトが、すっきりして戻って来た時セルビィはソファで眠っていた。
その表情はあどけなさの残る、天使であった。
「大人の階段登ったのか、セルビィ。まだ、成人前なのに。」
※貴族の成人は、十八歳。
 平民の成人は、十六歳。
しみじみと言うナルトに、ビウェルは聞いた。
「お前の時は? 」
「俺か、俺は十四かな。」
つい、応えた。
「俺は、いいんだよ。此奴は、御貴族様だしよ。」
「男に、貴族も平民もない。」
「そうたな。」
二人は目を会わせ、溜息を吐いた。

「姉様。」
セルビィは ぱちりと、目を覚ました。健康優良児のセルビィは、目覚めも良かった。
「そろそろ、姉様の来る時間帯です。」
すくっと、立ち上がり部屋を出て行く。その後をナルトは、追った。一人残されたビウェルは、何度目かの深い溜息を付いた。

「姉様。姉様。姉様。」
セルビィは、嬉しそうに馬車降り場へと向かう。
三日ぶりの再会。セルビィは、セルビア達をエスコートしようと足が競っていた。
だが、セルビィの前に王太子の乗った馬車が止まった。
「あっ、尻軽さんです。」
セルビィは、馬車に阿呆様達と乗る尻軽さんに感動をした。
「流石、尻軽さんです。僕の想像を遙かに上にいく、素晴らしさです。」
「何がだ? 」
ナルトには、阿呆様達に愛想を振りまくビッチに 何が素晴らしいか分からなかった。
(あれか、後腐れ無くやれるとかか? )
セルビィには、ビッチに恋愛感情は無いのかとナルトは
(屑に成り下がるのか、セルビィ。俺は、そんな風に育てた覚えは無い。)
と、哀しんだ。

「し、フローネ様。」
エスコートしょうと、手を差し出しているアラン。
「セルビィ。」
その前に立ちはだかりセルビィは、フローネに手を差し出した。
「フローネ様、お手を。」
「セルビィ様。」
フローネは差し出された手に手を置いて、馬車を降りる。
アランも、フローネはセルビィの思い人だと言う事で 我慢をした。その時。

「気安く触れるのは、お辞めになって。」
目も覚める美しい令嬢達が、現れた。鬼気迫る美しさに、息が詰まる。
「私達の大切な者に触れないで、下さらない。」
セルビアは凛と背筋を伸ばし、フローネを上から見据える。その後の三人の令嬢達も、美しく厳しい目をフローネに向けていた。
「姉様。」
「ああ~、セルビィ様。怖いです~ぅ。」
フローネは、セルビィの後に隠れしがみ付く。必要以上にセルビィの背中に胸を押し付ける。
令嬢達は イラッと、した。

「何をしている、セルビア。」
今 初めてセルビア達は、アラン達に気が付いた。
「アラン殿下。私は、このめ 令嬢に淑女のなんたるかをお教え致しているのですわ。」
「そうですわ、エリック様。淑女の嗜みを。」
「シモン様、殿方に対する礼儀を。」
「ベタベタし過ぎ何です。レイモンド様。」
令嬢達は、強く捲し立てた。
「怖いです~ぅ。助けて、殿下。」
今度は、アランの腕に抱き付いた。甘えるような、猫なで声と態度。
令嬢達は イラッと、した。

アラン達は、フローネを護るように囲った。鋭い目で、セルビア達を睨む。

「姉様!! 」
セルビィが、声を上げた。
「姉様の様に、凛々しく美しく。綺麗で可愛らしい姉様達には、お猿さんの気持ちは解らないのです。」
セルビィはフローネを護るアラン達の前に立って、セルビアに対して声を上げる。
「お猿さんの様に、愛想を振り撒かないといけない者の気持ちなんて。完璧な美しさと賢さを持つ、姉様達には解らないのです。」
セルビィが、声を荒げて自分を責めている事にセルビア達は蒼然とする。
「さあ、行きましょう。フローネ様。」
セルビィは、フローネの手を取って歩き出した。
「ええ。」
フローネは、促される様に歩き出す。
(お猿さんて、何? )

呆然と立ち尽くすセルビアと、三人の令嬢。
「セルビア、頭を冷やすがいい。」
「アイリーン、貴方がそんな方だなんてがっかりですね。」
「テレジア、弱者に対する愛が足りませんよ。」
「リリアナ、残念だ。」
それぞれ、言葉を残してアラン達はセルビア達を置いて セルビィの後を追った。
周りで見ていた貴族子息達は、クスクスとセルビア達を笑っていた。
呆然と立ち尽くすセルビア達には、誰の声も聞こえなかった。ただ、去って行くセルビィの背を見送るだけだった。
「反抗期、よね。」
セルビアは、ぼそりと呟いて 一滴の涙を流した。
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