異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

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第2章……迷宮都市編

28話……迷宮の子供たち

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 いつもの様に朝の身支度を整えてみんなで朝食を食べて迷宮に向かう。
 迷宮は街を出て東に1時間ほど歩いた場所にあるらしい。

 迷宮は魔物が増えすぎるとオーバーフロー(魔物の溢れ出し)が発生することがあるらしいのであまり迷宮の近くに街は作れないのだと教えてもらった。

「ちょっと遠いわね……ウルトに乗って行ったらダメかしら?」
「リンさん……そういうのはせめてプラチナになってからと言ったじゃないですか」

 プラチナランクになれば全冒険者の上位10パーセントに入るらしいのでそれまではお預けとのことだ。
 ゴールドになったしいいんじゃない?  と俺も思っていたのはここだけの秘密だ。

 迷宮付近にたどり着くと、迷宮の入口から柵が伸びており柵の外から中に攻撃できるような作りになっているのが見えた。

「これはオーバーフローした時に迷宮出口から魔物が一気に拡散しないように通路を作ってその通路の途中に魔物を減らせるように考えて作られているのよ」
「へぇ、色々考えられてるんだなぁ」

 どこの世界も人間は考える動物だ、被害を最小限に抑えるための工夫なのだろう。

 その柵の中を通って迷宮入口に向かうと、そこは広場のようになっていていくつかのテントが立っていた。
 一番大きなテント見てみると【冒険者ギルド出張所】と書かれており簡単な業務を行っているようだ。

 魔石や素材の買い取り、どの素材が品薄かなど表示されていて冒険者はこれを見て何を狙うのか決めるのだろう。

 ほかのテントでは串焼き等を販売している店が多く探索帰りなのか購入している冒険者の姿もちらほら見える。

 もう少し迷宮入口の方へ目をやると、20人くらいの子供が立っていた。
 髪はボサボサで全体的に薄汚れている子供ばかりだ。

「なぁリン、あの子たちは?」

 気になったのでリンに聞いてみる。
 物乞いだろうか?  だとしてもなんでこんなにところに?

「あれはポーターね。冒険者の荷物運びをしてお小遣いを貰っているのよ」
「孤児……でしょうね。迷宮都市はどうしても孤児がおおくなってしまいますので」

 リンとサーシャはそう言って視線を逸らした。

「孤児院とかは?」
「教会も色々と手を回してはいますが届かない範囲も多いのです。領主様からの援助が無いと何もできませんし……」

 世知辛いな……
 子供が泣いたり辛そうな顔してるの見るのは苦手なんだよなぁ……
 大の男が泣いてたり辛そうな顔してても興味の欠片も湧かないけど子供はダメだ。ちなみに女性は理由による。

「俺にはどうにも出来ないのかな?」
「そう……ですね……難しいかと思います」

 だよなぁ……こういうのは国や地域が本気で取り組まないとどうにもならない問題、個人でどうこうしようなんて無理な話だ。
 でもだからと言って何もしないのはまた違うと思うんだ。
 俺は一歩前に進み出た。

「クリード様?  どうされました?」
「ちょっと偽善者になってくる」

 周囲を見渡してあまり客のいない串焼き屋を発見した。

「いらっしゃい、何本だい?」
「100本欲しいんだけど、何本までイける?」
「100!?  まぁ金さえ払って貰えるなら用意するが……」

 店主はいきなりの大量注文に驚いたがどうやら用意してくれるようだ。

「いくら?」
「うちは1本石貨3枚だからな。銀貨で3枚だ」

 払えるのか?  と言うような目で見てきたので大銀貨1枚を手渡す。

「釣りはいらない。これは聞かなくてもいいけど良かったら明日もあの子たちに1本でも食べさせてあげて欲しい」
「兄さん……わかったよ、明日もアイツらに2本ずつ食わしてやる。けど明日だけだからな!」
「ありがとう」

 これで今日明日は食べるものがある、偽善だろうけどしないよりは万倍いい。

 それから店主が焼き上げるまでしばらく待って受け取り子供たちの下へ串焼きを持っていく。
 子供たちの中で体の大きい子を数人手招きして呼び出した。

「これあげるからみんなで食べて。独り占めしたりせず分けて食べろよ?」

 子供たちは俺の差し出した串焼きと俺の顔を交互に見ている。
 かなり困惑してるっぽいな。

「いらないのか?」

 すっと串焼きを動かすと子供たちの視線は吸い寄せられるかのように串焼きを追いかける。

「あの……いいんですか?」

 12歳くらいだろうか?  他の子より少し体の大きな女の子が聞きづらそうにしながらも聞いてきた。

「いいよ。みんなお腹減ってないのか?」

 何人かは自分のお腹を押さえる、かなり空腹なようだ。

「ちゃんとみんなで分けて食べろよ?  しっかり食べないと荷物運ぶのにも力入らないぞ」

 そう言って押し付けるように串焼きを手渡すと子供たちは目を輝かせて串焼きを頬張り始めた。

 薄汚い男が近寄って来ようとしていたのを視線で咎めながら見守っていると視線の端で何かが光ったような気がした。
 そちらに目をやるとそこにはサーシャが居て、1人ずつ浄化の魔法を掛けていた。

「お姉さんありがとうございます」

 先程俺に質問してきた少女がサーシャにお礼を言っている。

「はい、どういたしまして。冒険者さんの中には荷物が汚れのを嫌がる方も居ますからね、こうして綺麗にしていればお仕事も増えるかもしれませんよ」

 子供たちに視線を合わせて微笑むサーシャの姿はこれぞ聖女、と思わせるとても美しい姿だった。

 子供たちが食べ追えるのを見届けてから迷宮に入る。
 後ろでは子供たちが大きな声でお礼を言っている姿があり、多くの人がそれを見ていた。

「クリードさん優しいんスね」

 アンナがからかうように言ってくるが優しいとは少し違う気がする。

「んー……俺は子供が辛そうなの見るの嫌いなんだよね。だから行動しただけだし優しいとは少し違うんじゃない?」
「だとしても、です。クリード殿の行動は少なくとも彼らの今日を生きる糧となりました。尊敬に値する行動です」

 そんなもんなのかな?

「さ、クリードの美談はここまでにして迷宮入るんだから気を引き締めていくわよー」

 おー、と右拳を突き上げながら言うが一番気の抜けた声を出しているのは間違いなくリンである。



 ~リバーク迷宮第1階層~

 迷宮の入口から階段を下ること少し、そこには大きな部屋が広がっていた。
 そこには何組かの冒険者パーティが居て話し合ったり休憩したり思い思いに過ごしているようだった。

「兄さん方始めてみる顔やけど初めてでっか?」

 迷宮の中を見渡していると、小綺麗な格好をした小男に声をかけられた。
 すっごい怪しい関西弁だ。

「初めてだけどなにか?」
「やっぱり!  見たことの無い顔、物珍しそうに迷宮内を観察する姿、ワイの目に狂いは無かった!」

 なんだコイツ?
 俺が変な目で小男を見ていると、小男は慌てたように続ける。

「おっと失礼、それで声をかけた理由なんですけどもね?」

 小男は溜めるように間を開ける。
 いいから早く言えよ……

「兄さん地図はいりませんかい?  今ならなんと1階層の地図が銀貨1枚のところ大銅貨1枚と銅貨2枚!  ほかの階層の地図もお求めでしたらさらにお安くしまっせ!」

 ほぅ、地図か……
 あれば便利ではあるけど、信ぴょう性はどうなんだろ?

「地図ねぇ……ちなみに何階層まであるのかしら?」
「4階層まででんな!」
「ふぅん、それで……その地図の信ぴょう性は?」

 俺が考え込んでいる間にいつの間にか交渉役がリンに変わっていた。
 小男は特に態度も変えず続ける。

「もちろんバッチリですわ、色んな冒険者さんから情報買うて実際ワイも歩きましたさかい」

 なるほどねぇ……自分で作ったってことは元冒険者?
 そうは見えないけどねぇ。

「ふぅん、4階層までね……銀貨1枚大銅貨1枚でなら買ってあげる」

 おぉ、めっちゃ値切ったな……

「そんな殺生な!  せめて銀2大銅1!」
「銀1大銅1銅2」

 へぇ……そうやって言うんだ。

「いやいや、銀2銅3!」
「銀2銅1」
「売った!」
「買った!」

 リンはサーシャから銀貨2枚と銅貨1枚を受け取り小男に渡す。
 小男は銀貨を受け取ってから4枚の地図を取り出してリンに手渡した。

「姉さんお上手ですわ……勉強させてもらいましたわ」
「あら?  褒めても何も出ないわよ?」

 それからリンは少しだけこの小男から情報を聞き出して対価を支払っていた。
 なんの情報買ったんだろう?
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