子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~

九頭七尾

文字の大きさ
7 / 30

第7話 アラサー女子、サバイバル始めました!

しおりを挟む
 アラサー女とかわいい双子、そして子供のドラゴンという奇妙な組み合わせで始まった、森でのサバイバル。
 拠点としたのは最初に降り立った場所だ。
 ちょうど開けているところで、危険かと思いきや、子竜が接近してきた魔物をすぐに見つけられるのでむしろ防衛面では利点の方が多い。

 それに歩いていける距離に川が流れているのもありがたい。
 そこそこ流れが速く、水も澄んでいるので、普通に飲むこともできそうだった。
 ただ上流に動物の死骸などがあったりすると危険性なので、飲み水はレオナちゃんの魔法で確保し、川の水は身体や服を洗ったりするために使うことに。

 川の中には魚がいた。
 子竜が水の中に入り、前脚を使って器用に魚を獲ってくれる。ちょうと熊が鮭を獲るような感じで。
 これならタンパク質の確保には困らなさそうだ。

「レオナも魚とるー」
「レオルも!」

 子竜を追って、濡れるのも厭わず二人が川へと入っていった。元気だなぁ。でも危ないから深いところには入らないでよ?

「えいっ」
「このっ」

 小さな手で懸命に魚を捕まえようとしているけど、なかなか苦戦している。
 さすがに素手じゃ無理だよ。

「「うー」」
「うんうん、二人とも頑張ったね」

 結局一匹も捕まえることができず、悔しそうな顔をする二人の頭を撫でて慰めてあげる。

「せめて釣り竿があればねー」
「「つりざお?」」
「お魚を釣る道具」

 二人に釣竿について教えてあげた。

「べんり!」
「おねーちゃん、かしこい!」

 水の中に入らなくても魚を捕まえられる方法があると知って、目を輝かせる二人。
 私が考えたわけじゃないよ?

「ぼく作ってみる!」
「え? 作るの?」
「うん!」

 竿も糸も針もないけど……本当に作れるの?

 半信半疑な私を後目に、レオルくんは話で訊いただけの釣竿を作り始めた。
 どこからかよくしなる枝を拾ってきて、糸の代わりに蔓草を取りつける。
 さらにオークの骨を使って針を作ってしまった。

「おねーちゃん、こんな感じ?」
「すごい! ちゃんと釣竿だよ!」

 地面を掘って魚の餌になりそうな蚯蚓を捕まえると、レオルくんは意気揚々と川に釣り糸(蔓だけど)を垂らした。

「きた!」
「つれた!」

 そして本当に魚を釣ってしまったから驚きだ。

 レオルくんは手先が器用なのか、こうした道具の製作が得意らしい。
 釣竿の他にもナイフや槍を作ってしまった。

 どちらも刃の部分を子竜の牙を使っている。
 どうやらドラゴンは牙が定期的に抜け、そして何度でも生えてくるらしい。サメと一緒だ。
 それを刃に転用したのだ。
 強度も切れ味も抜群なので、木を切ったり、獲物を捌いたりと、サバイバルにおいて非常に役に立つ道具になった。

 タンパク質と言えば、あるとき子竜がどこかからウサギを捕まえてきた。
 正確にはホーンラビットという魔物らしく、名前の通り頭に一本の鋭い角が生えている。
 身体も大きくて六十センチから七十センチほどあった。

 あのオーク……豚肉には劣るものの、味も決して悪くない。
 比較的よく見かけるので、これも貴重なタンパク源に……と思いきや、捕獲は簡単じゃなかった。
 なにせ猛スピードで逃げていくのだ。子竜でもなかなか追いつけない。どうやら最初に捕えたのは、たまたま寝ているところだったかららしい。

 じゃあ寝ているところを狙えばと思ったが、普通は穴の中に隠れて寝るのだとか。
 捕まったのは随分と間抜けなウサギだったのだろう。

「わなをしかけてみる!」

 そうレオルくんが言い出し、これまた自分で作ってしまった。
 輪っかにした蔓草をウサギの首に引っかけて捕え、しかも吊り上げてしまうという優れものだった。
 残念ながら上手くいかなかったのは、角で蔓草を切ってあっさり逃げてしまったからだ。
 ただのウサギじゃなくて魔物だしね……。

 悔しがったレオルくんは、別の方法を編み出した。
 それは子竜がウサギを追い立て、待ち構えているレオルくんのところへと誘い込むという戦法だった。そして自作の槍で仕留めるという。

「いやいや、危険だって!」
「だいじょうぶ!」

 勇ましく槍を構えたレオルくんは自信満々だ。

「クルルル!」

 私がはらはらしながらレオナちゃんと一緒に見守る中、子竜がホーンラビットを発見して誘導してくる。

「きたっ!」

 草木の向こうから巨大ウサギが飛び出してきた。
 やっぱりでかい。遭遇したら大人の私でも怖くて逃げ出すだろう。子供のレオルくんからすればもっと大きく見えるはずだ。
 それに凄い速さで突っ込んでくるのだ。

 そんな相手に立ち向かうレオルくん、勇敢にも程があるでしょ。
 だけどタイミングはばっちりだった。

「えいっ!」

 レオルくんが突き出した槍が、ホーンラビットを捉える――

「ッ!」

 咄嗟に角でそれを弾いてしまったその反射能力は、こちらの予想を大きく超えていた。
 槍の一撃を回避したホーンラビットが、レオルくんの横を抜けて逃げていく。

「った……」

 直後、レオルくんが足を抑えて蹲る。

「レオルくん、大丈夫!? って、血が出てるじゃない!」
「うん、角がちょっとかすめちゃった」

 どどど、どうすれば!?
 そうだ、救急車! 救急車を呼ばないと!
 って、ここ異世界だし! 119番回しても出ないよ! いやそもそも電話がない!

 一人あたふたとパニクる私を後目に、レオナちゃんが「軽いきりきずだねー」と呟きながら傷口に手を翳す。
 するとあら不思議、あっという間に傷が塞がってしまった。
 レオナちゃんったら、回復魔法も使えるの!?

「レオナありがとー。おねーちゃん、もうだいじょうぶだよ?」
「う、うん……」

 なぜか逆に心配されてる私。
 って、ここは大人としてしっかり言っておかないと!

「いくら回復魔法があるからって、無茶しちゃだめ。いい?」
「うん。むちゃしない」

 真剣な気持ちが伝わったのか、レオルくんは素直に頷いてくれた。

「だから次はちゃんとたおせるように、ヤリのれん習するよ!」

 いやそういう問題じゃ……。

「がんばる!」
「そ、そうだね……」

 意気込むレオルくんに、頑張らないでとは言えなかった。ほんと無茶はやめてよ……?

 そんなレオルくんは持ち前の器用さを活かし、あるものを作り始めた。

 真っ直ぐ生えた細身の針葉樹を子竜が切り倒し、そこから枝葉を取って丸太に。
 二本の細い丸太を交差するように組み合わせ、蔓草で固定。
 さらにこれらと直角になるよう別の丸太(先の二本より長め)を取りつけると、三脚で地面の上に立つようになる。

 この骨組みを基準に、長さを調整した他の丸太を重ねて屋根を作っていく。もちろん三角錐の一面だけは出入りできるように開けている。
 最後は隙間を木の葉や枯れ枝などで埋めれば、あっという間に風雨を凌げるテントのできあがり。大きさはちょうど三人で横になれるくらい。
 たぶん二時間くらいでできた気がする。しかも使ったのは森で手に入る材料だけだ。

「作ったことあるの?」
「ないよ? やってみたらできた」

 凄いよ、レオルくん……。

「でももっと大きなのをつくりたいな~。リューも入れるくらいなやつ!」
「クルルル!」

 まだ全然満足してないみたい。確かに子竜だけ外というのも可哀想だけど。
 あ、そうそう。
 子竜に名前を付けてあげたんだった。

「どらりんがいい!」
「とかげっちにしようよ!」

 二人もアイデアを出してくれたけど、ネーミングセンスがアレだったこともあり、私の案が採用された。
 リューだ。

「かっこいい!」
「さすがサオリおねーちゃん!」
「クルルル!」

 すごく安直だけど、二人も子竜も気に入ってくれたので良しとしようじゃないか。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

処理中です...