あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
192 / 1,104
第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

第2幕 第3話 呪いという名の愛 愛という名の呪い

しおりを挟む
「ラージュさん、来たよ!」
「はじめまして、お会い出来て光栄です陛下。僕は序列第二4位禍喰の魔王、穂高 千歳と申します」
「ああ…その衣装いいな…良く似合っている。私はラージュ·デイル·アストリガー·ロメンスギルだ。ラージュと呼んで欲しい…」
「どうかしましたか?元気ないようですね」
人払いした執務室を詠斗達が訪れる、綴がラージュの顔色を見て顔色が紙の様に白いのが気になった。
「ほら、飯食え食え。食いながら話ししよ」
懐記がスープとサンドイッチと果物を出して食べるよう言うとゆるゆるとラージュが食べ物を口に運んで1冊の本を大河に渡す、綴が顔をしかめ千歳が眉根を寄せる、その本には赤い砂…呪いが取り巻いている。
「大河君、その本をこちらに」
「…何かあるんですか?」
「この本…呪いが掛けられてるね、僕の破壊魔法で呪いを破壊してみても良いかな?」
「危険ですよ」
「そうだね、だけれどやってみる価値はある。僕を信じて欲しい大河君」
「分かりましたよ。だが、もし何か危険な事が起きた際は手段は選ばない、それでもというなら」
「怖いな、でもやるよ」
千歳が大河に笑みを向けそして本に手を伸ばす、赤い砂がまとわり絡み付くその本に千歳は破壊魔法を発動させた。
「うっ…これは…」
『千歳さん!』

赤い砂を掴んだ感触は確かにした、だが自分達はそれを勝手に砂だと勘違いしていた。
これは砂ではない、人1人分以上(・・・・・・)の血の文字を結晶化させた呪い…景色が変わっていく。

質素な最低限の古びた家具しかない部屋だが暖かみがあるそこで、少女とも言える年齢の少女がおそらく我が子だろうか、腕に大事そうに赤ん坊を抱え子守唄を歌っていた。
優しいがどこか物哀しい旋律に千歳は冷静な頭で思考する、恐らく呪い…が見せている過去、この呪いを産み出した内の1人魔神の母親と赤ん坊の魔神、この光景を観察し千歳は呪いの解呪の糸口を探そうとする。
呪いを解けば封印された魔神が弱体化する可能性も視野に入れているだけであり、呪いを解いて《ロメンスギル》の王族を救いたいという気持ちは無い。
呪いを受けるような事をしたのだ、呪いが解けないのは掛けた本人が赦していないからだと千歳は思う、そして景色は変わる。

少女のような母親が大人になり寝床で辛そうにしている、部屋は変わらず赤ん坊は少女が母親になった位に成長していた。
晴海位の背丈にその辺りの年齢、赤ん坊は少年へと成長し寝床に伏した母親にすがっている。
死なないで欲しい置いていかないでと泣いて母親の枯れ木の様な手を握る、母親は優しく少年の手を弱々しく握り微笑む、その背後には侍女らしき女性が涙を浮かべ成り行きを見守っている。
扉が開き純白の衣装に身を包んだ人間が数名勝手に部屋へ入り、少年を唆す私達に協力をすれば母親を助けると、母親は首を振る話しに乗ってはいけないと、だが少年は純白の衣装に身を包んだ人間の手を取り連れていかれる、力のない体を無理矢理起こして母親は行かないでと叫ぶ、侍女がその身体を支え閉まるドアを泣きながら見ていた…。

「《テンランド》の使者だね、ここから始まったのか…」
また景色が変わる、母親は身体を治し変わらぬ部屋で我が子を侍女と共に待っている。
騎士が部屋を訪れ1枚の紙を渡す、その紙を見た母親は大きく目を剥き泣き狂い叫ぶ。
侍女は母親を抑え抱き締める、よく見るとこの2人は似ている姉妹なのかもしれない。
「彼女が呪いを産み出す…あの先に続きがあるという事か」
そこで母親と侍女の時間が止まり赤黒い血色の扉が現れる、千歳はその扉のドアノブに触れようとした所で背後からそっと白い手が目隠しをする。
「ダメ…そこから先は行かないで下さい」
「千華さん…」
穏やかな柔らかい声音、夢で聞いた声は今は酷く哀しげだった。
「お願いです…行かないで千歳…貴方に見て欲しくない」
「なら教えて下さい、魔神を倒し貴方を救う方法を」
「…あの子は私の力を吸い上げ回復速度が速く心臓が魔石…いえ魔神石と呼べる物へと変化しています回復不可能まで心臓の魔神石を砕けば…」
「なるほど、出来れば倒したくはないのだけど」
「………」
「無理……か」
「皆が待っています…」
千華の魔王の気配が遠ざかる、千歳は皆の声がする方へ引き寄せられ血色の扉から遠ざかった。

「せさん…千歳さん!」
「どの位気を失っていたのかな?」
「3分程です」
綴の腕に抱えられ目が覚めれば、心配そうに皆が様子を伺っていた。
「これは呪いでもあり…母親達の愛だ。僕の破壊魔法では愛は破壊出来ない…けれど魔神を倒す一手は手に入れたよ」
「無茶しないで下さい!」
「うん、ごめんね」
詠斗が千歳の手を取る、千歳が詠斗の肩を叩いた。
「私も…魔神…いや、アシュア・デイル・ロメンスギルを討つ手助けをさせてくれ!私の時代でこの呪いを終わらせたい!どうか頼む!ライルに穏やかな未来を贈りたい!」
ラージュが頭を下げる、一国の王が頭を下げるなどあってはならないが彼もまた200年続く呪いの連鎖を断ち切りたかった。
「…始まりはこの国の王子と神聖王国…」
「終わらせるなら、この国の王に終わらせて貰おうか」
「それが良いと思います」
「なら、手を貸してくれラージュ」
「ああ!」
千眼と千歳、綴と大河が頷くラージュは覚悟を決め、『妖精化実験の果て』という本について話し合う事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~

ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」 義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。 父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。 けれど―― 公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。 王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。 さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。 そして下されたのは――家ごとの褫奪。 一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。 欲しがったのは肩書。 継いだのは責任。 正統は叫びません。 ただ、残るだけ。 これは、婚約を奪われた公爵令嬢が “本当に継がれるべきもの”を証明する物語。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?

mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。 乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか? 前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...