上 下
193 / 564
第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

第2幕 第4話 妖精化実験

しおりを挟む
「人を妖精にするもしくは妖精に近い生物を産み出す実験…《テンランド》が力を入れている狂気実験です」
「口にするのもおぞましい事をしている…」
「建国当初から行われ、使われた命は数千、数万とも言われている。妖精は不死であり魔力も底無し、初代神聖王国《テンランド》の聖王の母親が妖精とドラゴンのハーフだった事から《テンランド》は妖精に心酔している」
「その母親が歌姫アルカナという名を持つ存在です、《テンランド》は他の国で差別されがちなハーフも積極的に受け入れています。あの国で純血種を探す方が難しいです」
ラジカ、ラージュ、ジラが語る内容、『妖精化実験の果て』というタイトルの本の中は血で赤黒く染まり文字が読めなかった。
千歳はこの本の文字が呪いの媒介となっていると仮定している、作者も不明な為この本は一旦大河が預かる事にした。
「妖精って羽が生えた小さい人みたいなの?」
「形は様々ですね、そして大抵は刹那的快楽主義者です。彼らもまた不死故に好奇心を満たす為に自分の身を厭わない存在です」
「あいつらは何とでも交わり子を成す、《テンランド》には妖精の血を持つ奴らも多い。あの国が人を集めているのも実験に使う為だろう」
晴海が指で羽を宙に描く、ラジカ答えジラが捕捉した。
「…妖精と何かの子は妖精にはならない…」
「人工的に人を妖精に何故したいのかは不明です、私が知る成功体は」
「この国の王子だった、アシュア・デイル・ロメンスギルだけだな。俺もある件で妖精の血を飲まされこんな髪や目になったけど妖精ではないな…ある意味妖精化実験の成功体なのかもな俺も…」
「以前倒した合成獣の魔石にも妖精の血が使われていた…」
「悪趣味な実験だな、だが妖精の血を飲まなければ俺達に会えなかっただろう?飲んで良かったなとまでは思わないが、少なくとも俺はジラが飲んでくれて良かった…そう思う」
どこか遠い目をするジラに大河がそう伝える、同情や憐れみもない、妖精の血を飲まされなければ普通の人であった筈のジラは疾うに亡くなっていただろう、だからこれで良いと大河達は思う。
「そっか…確かに妖精の血を飲まなきゃお前達に会えなかったか…」
「そうですよジラさん!こうやって過ごせているなら、俺はその妖精に感謝しますよー。あ、神様達から依頼が来た」
詠斗の眼前に文字が表示され、他の面子の前にも現れた。

神々からの依頼:遅くなってすみません、千華の魔王救出
※依頼内容変更する場合あり…変更する場合は再度確認します

期限:無し 受理にて善行500pt 達成にて1,000pt  受理しますか? 受理しませんか? 

「勿論受けるよ、魔神の件はノータッチかな」
「変更ありですか…」
「受ける、が含みがあるな」
「ここは受けるで、変更ねぇー」
「助けるよ!千華さんを…アシュアさんも…」
「受けます、晴海君の言う通りアシュアさんも…多くを望むのは難しいですが…」
「受けるよ!最善は尽くす!後悔しないように」
千歳、綴、大河、懐記、晴海、率、詠斗は躊躇う事無く受理する、依頼は関係ない千華を助け魔神…アシュアも救いたいと思っている。
「僕達は明日から《ベストレア山脈》に向かい動きます」
「山脈に着いた時にラージュさんと合流しましょう」
「ああ、私も引き続き調べておく」
「ちゃんと食えよな。ほら時間停止付きの袋に飯あるから、無くなったらラインしろよー」
「これは嬉しい」
「ライルくんの顔も見に来てあげて下さい」
「そうだな、行かせて貰う」
そうして城を後にし畑へと戻る、明日からの準備をする事にした。

「ただいまー」
「おかえりなさい」
「おっかえりなさいー」
「あれ、この匂い」
「もしかして…」
『クレープ?』
「作ってみました!道具もどうですか?大河さんの本見て再現しました!」
「生クリームはないですし、結構破れたりしたんですが…」
「へえ、綺麗じゃん。食べて良いの?」
「はい!生クリームはないですけどジャムはたっぷり使ってまっす」
「難しい話しの後の甘いもんは嬉しいわ」
「食べよう…早く」
「茶を入れよう…」
畑に広がるどこか懐かしい甘い匂い、ナイルとラウラスがせっせとクレープ作りに励んでいた、テーブルに所狭しと皿が並び薄い生地の上には丁寧に盛り付けられた具材、早速各々卓に着き千眼が各々の好みの飲み物を用意してくれる。
「おかずのクレープもありますね!チーズとソーセージの物がありますよ!」
「せっかくだし写真とろ」
「俺も!」
「ようやくコツを掴んだんでもっと焼きますよ!」
「ラウラスとナイルは食べないのか?」
「味見しすぎて…」
「きゅう達と沢山食べました、生地の甘味やおかず合う生地の塩加減に拘ってしまって…カタンやベルン君たちやテトラ達にもお裾分けしてきました」
「しかしまあその焼く設備は分かるがトンボも良く作ったな」
「鉱物を伸ばして形作ればこんなもんでっす」
大河がラウラス達の探求心に舌を唸らせる、甘味や風味は日本で食べた物の方が格段に上だがそれを文字や写真で再現しているのだ努力の賜物に素直に感心した。
「タネはまだまだありますから!焼きますよ!」
「俺、紙を出すから巻いて神様達にもあげよっと」
「手伝うよー、チョコとアイス入れよう!」
「僕もやります!」
「俺の家にある食材も使うわ」
わいわいと賑やかなおやつ時がそのまま晩飯に突入し、大量のクレープが出来上がった…。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】はにかみ赤ずきんは意地悪狼にトロトロにとかされる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:160

兄と一緒に異世界に来ましたが、僕はゆっくり絵を描きたい。

BL / 連載中 24h.ポイント:526pt お気に入り:8

冒険者になれなかったので花屋始めました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:261

残業シンデレラに、王子様の溺愛を

恋愛 / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:330

繋がれた日々

SF / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

勘違いしちゃってお付き合いはじめることになりました

BL / 完結 24h.ポイント:2,543pt お気に入り:548

【R18】素直になれない白雪姫には、特別甘い毒りんごを。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:63

処理中です...