あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第012部 空の旅は安心安全にみんなで会いにいこう

Stage.6-8 牙達

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《ブリキノ国》の謁見の間に迄すんなりと通された懐記達、街の状況は《ガーデン王国》より幾分マシだが兵士達が闊歩し住民達を威圧していた。
若い男がやけに少ない印象、兵士として駆り出されているのか…住民たちの表情は憔悴、疲労、悲しみ、悲嘆に暮れている…そんな印象だった。
「余がこの国の王である、ガッドンバーダ・ドルゥー・ブリキノだ。《ガーデン王国》からの使者と聞く」
「そういう感じ、話し長いの好きじゃないから手短に行くわ、戦争止めてくんない?それか《ガーデン王国》を避けて欲しいんだけど」
「無礼な!捕らえよ!王の御前である」
懐記の無礼な物言いに兵士や控えていた配下達が批難するが懐記は涼しげな顔をしている、王は玉座で崇幸達を見下ろしている。
「あの貧しく乏しく小さい国等通り道程度だ、前を阻む雑草を一々避けて歩く愚か者はいない、踏み潰され余の糧となれ」
「へぇ、王様ってこんな横暴なんだ」
「それが王である、許される者である」
「なら、《ガーデン王国》を通ると」
ジラが懐記の前に立つ、外神は後ろで周囲を探り、トゥナー達も《砂城の牙》達を警戒していた。
「通る」
「ま、そうなるよねぇ。こっちもそれ相応の物用意して来たよー外神ー」
「はい、この国の100年分の動力賄える魔力が入った魔石とカルナラー石。宝石類、《ブリキノ国》の全国民の10年分の塩、戦争を買い取る為の600億ログ、薬草ダンジョンで入手した薬…万能薬もあります」
外神が収納空間から塩以外の物を並べて出す、兵士達や配下達がその財宝の山々にごくりと唾を吞み込んだ。
「これで《ガーデン王国》から手を引き戦争を止めろと?」
「はい…」
「話にならん、余は《イグン》に勝利し小国を落とし皇帝となる」
「随分まあ、でかい夢見てんな」
「そうですか。分かりました…皆さん帰ります。結界を張り護りに徹します」
「交渉決裂って事だな」
「欲深い王ですね…」
「用意している物を考えればいけそうー」
皇帝という言葉にジラが苦笑いを浮かべる、フォンが肩を竦めトゥナーが嘆息しフェシェスタが笑う、外神は出した物を回収し急ぎ《ガーデン王国》へ戻り護りをと伝える、魔人達の気配はするが出て来る様子はない、《イグン王国》へ行くつもりならそちらの状況も確認しなければ…此処で戦うのも見越して用意した戦力だが…。
「丁度良い…お前たちの首を持って開戦といこうか」
「来た…」
野望を抱く王ガッドンバーダが片手を上げれば、音も気配もなく王の玉座の後ろに出現した…。

《イグン王国》…《ガーデン王国》からの使者だと伝え城に案内される、《ガーデン王国》と比べれば実り良い大地、市場に並ぶ作物も大きく、人々も活気があり…だが城に近づけば兵士が多く、獣人の兵士や首輪を付けた目が虚ろな奴隷の兵士、纏まりのない傭兵達がテントや馬車を城の近くに置きその周辺には物乞いや屋台が並んでいた。
「賑やかだな…」
「はい、とても戦争が起きる前とは思えませんね」
「いや、こんなもんよ。戦場って殺すだけじゃ成り立たないから」
「そうだ、補給も必要。しかし…」
「金でかき集めたと言った風だ」
崇幸と綴が周囲の雰囲気を眺め感想を言えば、ギーギスとシュリがこんな物だと周囲に異変が無いか確認し、ホスィソが自国の兵よりも奴隷や傭兵達が多い事が気になる、豊かな国だ…昔から資源に恵まれていて目と鼻の先にある国だというのに…。
「こちらへ…」
兵士と城の侍従がメイドを多く引き連れ城内へと崇幸達を案内する、綺麗な城だ手入れが行き届き仕える者も多い。
「そなたらが《ガーデン王国》からの使者か」
「はい…」
通された謁見の間、玉座に座るのは仮面を付けた声からして恐らく男だろう、早速崇幸は戦争を回避して貰うよう話を持ち込んだ…。

《ブリキノ国》謁見の間、並ぶ6名の魔人と対峙する外神達、中央にいるのは顔色の悪い瘦せ細りイライラと爪を噛む青年が此方を観察すように伺っている。
「ま、そうなるわな」
「では、どれにする?」
「あーだり」
「俺とやるひとー」
「出来れば話し合いで済ませたいんですが…」
ジラ、マユラ、フォン、フェシェスタ、トゥナーが臨戦態勢を取る、魔人達は薄く笑っているが、懐記はイライラしている魔人を見ていつも不機嫌そうなカジノでバイトしている魔人を思い出した。
「そこの薄いの、俺を見て何を思い出す?」
「別に、イライラしてるし目の下隈すごいし、気になっただけ」
「嘘だな、その薄いのは生け捕りにしろ、それ以外は…その暗いのは俺がやる」
懐記に向かってイライラした男が尋ねる、懐記はしれっと目を逸らすが男は外神にも目を向け、この中で最も危険を孕んだ人物と認定する。
「早く済ませるが良い、余は……」
「煩い…」
「…すみません。懐記さん外へ」
イライラした男がガッドンバーダが何か喋ろうとしたのを阻み腕を振るい、外神が指を鳴らして懐記を城の外へと転移させた。
「あーリーダー雇い主まーた殺しちゃった」
「リーダーそれはダメだと何度も言ってますよ?」
「ぐちゃぐちゃにしても良い?」
「……契約不成立」
「でも、やるでしょ」
「あー煩い声だったから、つい」
ガッドンバーダの首が静かに胴から離れ転がっていく、兵士と宰相達は大混乱で逃げていく…国の支配者が傭兵に殺され…誰も王を顧みない、王もまた民を顧みなかった結果だろう。
「外神狙ったな、だから懐記を出したな。止めようと思えば止められた俺達も同罪だが、懐記は傷つかないし怒らないぞ」
「……はい、それでも見て気持ちの良い物ではないと思います。後で謝罪します」
「へえ、俺達とやって此処から無事に出られるとでも?」
「それはやってみりゃいいだろう、さっさとこんなとこ出て帰るぞ」
ジラが転がる王の首を視界の端に入れ外神に伝え外神も頷く、魔人の1名がからかう様に笑いフォンが剣を構えた。
「俺は《砂城の牙》シリカです、そこの言葉の悪い狼さん俺とやる?」
「俺は《砂城の牙》スラグだよーよろしくーどれにしようかな」
「ぐちゃぐちゃ…その紫の混ざっているの、首から下はぐちゃぐちゃにして上は綺麗だから持ってかえろ《砂城の牙》エスパールだよ」
「エスパールそれの価値は高い…この大陸の傭兵王…私は《仮面卿》を一戦、《砂城の牙》クロマイト…」
「《砂城の牙》コーテッド、鬼人族の美人さんと遊ぼうかな」
「……眠い、イライラする…そのやばいのやるぞ。俺は《砂城の牙》リーダーゴートだ」
それぞれが名乗りを上げ剣を構える、リーダーのゴートだけは爪を噛み外神を睨んでいた。
「誰でも良い《盗賊狩り》フォンだ」
「じゃ、お兄さんとやろっか?《牙剣》フェシェスタ」
「何、こっちも名乗るのか?あんまり好きじゃないけどな、後首から下にも興味持てよー《傭兵王》ジラ」
「では、クロマイトさんよろしくお願いします。一応《仮面卿》トゥナー参ります」
「せっかくのご指名お受けしよう、《剣鬼・鴎迦》マユラ参る」
「外神です…」
名乗りを上げ雇い主も消したが戦いの火蓋は消せず開いてしまい、各自の獲物を見定め始まった…。

「外神っち、俺は傷つかなし怒らないけど?優しさって事?」
外神によって外に出された懐記城に向かってそう呟く、あの魔人はカイムに良く似ている、グローリー達の様に兄弟なのかもしれない、彼が王を殺す所を懐記に見せたくなくて転移させたのだろう、ならば懐記のやる事は…。
「じゃ、戦争止めるわ」
そう言って街に向かう、外神に会ったら何か言うか、きっと外神は謝るだろう。
「間違った事はしてないけど、友達から始めてみるわ」
懐記は怒らない、産まれてから一度も怒りを感じた事はない、感情の起伏が薄い、大河のように人がむごい死に方をしている場面を見れば何かを感じるのだろうか…。
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