26 / 64
25.俺だって……
しおりを挟む
フィルベルト殿下はおもむろに立ち上がって、俺の隣りに腰を下ろした。
俺が座っているのは、二人掛けのソファーだから、並んで座っても、きついことはない。
けどさ。なんだかぐいぐい近づいてくるんだよ。
「フィ、フィルベルト殿下!! ちょ、ちょっと近くありませんか!?」
俺が慌ててお尻をずらすと、殿下はさらに寄ってくる。
またからかってるのかと思って、殿下の顔をみると、すごく悲しそうに眉を寄せていた。
な、なんだよ。
俺、何かした……?
「ねえ、エリゼオ。なんで殿下なんて呼ぶの?
君とはもう、家族になるんだよ?
そんな他人行儀な呼び方をしないで」
「だ、だって、殿下は殿下だし——」
「フィン。ねえ、私の名前はフィンだよ。それ以外の呼び方は禁止だ」
そんなこと言われても。
フィンがよくてもさ、扉の前のガルディア団長が「不敬だ!」怒るに決まってる……!
俺がちらりと団長を見ると、相変わらず置物のように立っていた。
「ねえ。なんでガルディアを見ているの?よそ見はしないで。
私は君の願いはなんでもかなえたいけど、一つだけ許せないものがあるんだ。
浮気だけはぜったいに許さないからね」
は?
はあぁぁぁぁ!?
う、浮気ってなに!?
俺は、フィンの言葉が理解できずに目を白黒させた。
「もう君は私のものだよ。そう言ったよね?
ほら、エリゼオ。
早くフィンって呼んで」
フィンのからかいに俺はついていけない。
けれど、このまま呼ばなかったら、キスされるんじゃないかっていうくらいフィンの顔が近づいてきて、俺は叫んだ。
「ふぃ、フィン!! もう、分ったから!! ねえ、これ以上はやめて!!」
「うん。よくできました」
フィンはにっこりと笑い、俺の頭をそっと抱きしめて、俺の髪にキスをした。
も、もう!! 団長もいるんだぞ!!
そう思って暴れようとした、そのとき。
「殿下」
ガルディア団長の低い声が響いた。
ほらぁ!!
俺、ガルディア団長に怒られちゃうじゃん!と思った刹那。
「何者かが複数近づいています。とりあえず窓から離れて、こちらへ」
団長はフィンと俺を自分の背中へと誘導した。
俺は不安になって、フィンの服をきゅっと握る。
「大丈夫。ガルディアは強いよ。それにね、いざとなれば抜け道もある」
俺を守るように抱きしめながら、フィンがそっと囁く。
なんでフィンが俺を守るように抱きしめるんだよ。
フィンはこの国にとって大切な人だ。
俺なんか守ってる場合じゃないだろ。
フィンは片手で俺を抱きしめ、もう片方の手で腰の剣を抜いた。
これは訓練じゃない。
本物の闘いだ。
俺は気合を入れるように、自分の両ほほをパンっと叩いた。
その音にフィンが微笑み、懐から短剣を取り出して差し出す。
「いざというときのために持っていて。
今はまだ抜かなくていい。刃物を持ってると分かると狙われやすくなるからね。
油断させるためにも、隠しておくんだ」
フィンの言葉にうなずき、素早く短剣を懐に忍ばせた瞬間。
剣を抜いた相手が複数部屋に飛び込んできた。
明らかに訓練された動き。統率も取れていた。
十人。……いや、それ以上かもしれない。
それでも、ガルディア団長はひるむことなく相手を睨む。
決して殿下から離れず、次々と敵を切り伏せていく。
金属音と悲鳴が入り交じり、空気が震えた。
俺は、怖くて目を閉じたくなる。
でも状況を見失えば、動きが遅くなり、足を引っぱってしまう。
だから、俺は目を開けたまま、必死に動きを追った。
敵の一人がフィンを狙って飛びかかる。
それをガルディア団長が剣で弾き、もう一人近付いてきたのを柄で打ち据えて倒す。
す、すごい。
さすが、近衛騎士団長。
強さが桁違いだ。
俺がほっと息を吐いた、その瞬間だった。
ゴロゴロ、と床を転がる金属音。
黒い塊が視界の端に映る。
見たこともない形状。
それは前世で見た鉄球のように見えた。
嫌な予感がした。
体が勝手に動いた。
頭では「止まれ」と叫んでるのに、心が「間に合え」と叫んでいた。
「フィン!!」
気づいたときには、もう体が飛び出していた。
俺はフィンを押し倒すように抱きかかえて、そのまま床に倒れ込む。
直後、後方からドンっと爆発するような音がして、背中に鋭い痛みが走った。
あつい。痛い。呼吸が――できない。
「エリゼオっ——!」
「くそっ、魔道具か!」
俺の名を呼ぶフィンの叫びが、耳の奥で響く。
俺の腕の中でフィンが無事なのを感じて、少しだけほっとした。
俺はフィンの上からどこうとしてそのまま横に寝返る。
すると、背中が床についた途端、激痛が走った。
「——ヴぁっっ!」
声にならない叫び。
誰かが俺の背中に触れないようにして抱き起す。
それが誰なのか、ぼやけと視界でも、すぐ分かった。
フィンだ。
彼の顔が、こんなにも苦しそうに歪むのを初めて見た。
「バカだ……! なんで、私をかばうんだ……っ!」
「……だって、俺……フィンが……傷つくのは、嫌だから……」
それだけ言うのが、俺は精一杯だった。
喉の奥から血の味がした。
——俺は、また空回りしてるのかもしれない。
でも、これでいい。
俺はやっと、フィンを守れた。
「エリゼオ——っ!」
フィンが叫ぶ声が聞こえた。
普段の穏やかな声ではなく、焦燥と恐怖のにじんだ、掠れた声だった。
彼はそのまま俺を抱きかかえて、ソファの影へ身を隠す。
ガルディアの剣が、残っていた刺客たちを一瞬で沈めていく音が聞こえる。
鋼のぶつかり合う音が止むと同時に、部屋の中は信じられないほど静かになった。
視界の端で、血が広がる。
それが誰のものなのかを理解した途端、俺の視界は暗くなっていく。
「エリゼオ、聞こえる? しっかりして……!」
背中から胸の奥に向かって熱が広がって、息をするたびに痛みが走る。
でも、近くでフィンの声がする。
その声がある限り、俺は大丈夫な気がした。
「大丈夫、だよ……。俺……フィンが、無事で……」
「喋るな!」
フィンの声が震えていた。
いつも冷静な彼が、こんなに取り乱すなんて。
震える指先が俺の頬をなぞり、俺の髪をかき上げていく。
「どうして……どうしてお前が。私が守るはずなのに……」
フィンの手が、俺の手を強く握りしめた。
その力が、痛いくらいに必死で。
俺は少し笑って、彼の頬に指を伸ばした。
「俺、フィンをを守りたかった……だって、あの騎士団の、訓練で、フィンは……俺を、守ってくれた、だろう?
俺だって……ただ、それだけ……」
それだけ言って、もう声が出なくなった。
重くなるまぶたを、フィンの手がそっと支えてくれる。
「エリゼオ、目を閉じるな。私を見て。
頼む、まだ行くな。……お願いだから……
私は、また君を守れないのか——っ!」
フィンの声が涙で濡れていた。
泣くなよ。フィン。
フィンは俺を守ってくれていたじゃないか。
今回、俺だって君を守れた。
それがどれだけ嬉しいか。
フィンには分かって欲しいな。
けれど、俺の思いは一つも声にならなかった。
フィンの悲痛な叫びを最後に、俺の意識は静かに闇に沈んでいった——。
俺が座っているのは、二人掛けのソファーだから、並んで座っても、きついことはない。
けどさ。なんだかぐいぐい近づいてくるんだよ。
「フィ、フィルベルト殿下!! ちょ、ちょっと近くありませんか!?」
俺が慌ててお尻をずらすと、殿下はさらに寄ってくる。
またからかってるのかと思って、殿下の顔をみると、すごく悲しそうに眉を寄せていた。
な、なんだよ。
俺、何かした……?
「ねえ、エリゼオ。なんで殿下なんて呼ぶの?
君とはもう、家族になるんだよ?
そんな他人行儀な呼び方をしないで」
「だ、だって、殿下は殿下だし——」
「フィン。ねえ、私の名前はフィンだよ。それ以外の呼び方は禁止だ」
そんなこと言われても。
フィンがよくてもさ、扉の前のガルディア団長が「不敬だ!」怒るに決まってる……!
俺がちらりと団長を見ると、相変わらず置物のように立っていた。
「ねえ。なんでガルディアを見ているの?よそ見はしないで。
私は君の願いはなんでもかなえたいけど、一つだけ許せないものがあるんだ。
浮気だけはぜったいに許さないからね」
は?
はあぁぁぁぁ!?
う、浮気ってなに!?
俺は、フィンの言葉が理解できずに目を白黒させた。
「もう君は私のものだよ。そう言ったよね?
ほら、エリゼオ。
早くフィンって呼んで」
フィンのからかいに俺はついていけない。
けれど、このまま呼ばなかったら、キスされるんじゃないかっていうくらいフィンの顔が近づいてきて、俺は叫んだ。
「ふぃ、フィン!! もう、分ったから!! ねえ、これ以上はやめて!!」
「うん。よくできました」
フィンはにっこりと笑い、俺の頭をそっと抱きしめて、俺の髪にキスをした。
も、もう!! 団長もいるんだぞ!!
そう思って暴れようとした、そのとき。
「殿下」
ガルディア団長の低い声が響いた。
ほらぁ!!
俺、ガルディア団長に怒られちゃうじゃん!と思った刹那。
「何者かが複数近づいています。とりあえず窓から離れて、こちらへ」
団長はフィンと俺を自分の背中へと誘導した。
俺は不安になって、フィンの服をきゅっと握る。
「大丈夫。ガルディアは強いよ。それにね、いざとなれば抜け道もある」
俺を守るように抱きしめながら、フィンがそっと囁く。
なんでフィンが俺を守るように抱きしめるんだよ。
フィンはこの国にとって大切な人だ。
俺なんか守ってる場合じゃないだろ。
フィンは片手で俺を抱きしめ、もう片方の手で腰の剣を抜いた。
これは訓練じゃない。
本物の闘いだ。
俺は気合を入れるように、自分の両ほほをパンっと叩いた。
その音にフィンが微笑み、懐から短剣を取り出して差し出す。
「いざというときのために持っていて。
今はまだ抜かなくていい。刃物を持ってると分かると狙われやすくなるからね。
油断させるためにも、隠しておくんだ」
フィンの言葉にうなずき、素早く短剣を懐に忍ばせた瞬間。
剣を抜いた相手が複数部屋に飛び込んできた。
明らかに訓練された動き。統率も取れていた。
十人。……いや、それ以上かもしれない。
それでも、ガルディア団長はひるむことなく相手を睨む。
決して殿下から離れず、次々と敵を切り伏せていく。
金属音と悲鳴が入り交じり、空気が震えた。
俺は、怖くて目を閉じたくなる。
でも状況を見失えば、動きが遅くなり、足を引っぱってしまう。
だから、俺は目を開けたまま、必死に動きを追った。
敵の一人がフィンを狙って飛びかかる。
それをガルディア団長が剣で弾き、もう一人近付いてきたのを柄で打ち据えて倒す。
す、すごい。
さすが、近衛騎士団長。
強さが桁違いだ。
俺がほっと息を吐いた、その瞬間だった。
ゴロゴロ、と床を転がる金属音。
黒い塊が視界の端に映る。
見たこともない形状。
それは前世で見た鉄球のように見えた。
嫌な予感がした。
体が勝手に動いた。
頭では「止まれ」と叫んでるのに、心が「間に合え」と叫んでいた。
「フィン!!」
気づいたときには、もう体が飛び出していた。
俺はフィンを押し倒すように抱きかかえて、そのまま床に倒れ込む。
直後、後方からドンっと爆発するような音がして、背中に鋭い痛みが走った。
あつい。痛い。呼吸が――できない。
「エリゼオっ——!」
「くそっ、魔道具か!」
俺の名を呼ぶフィンの叫びが、耳の奥で響く。
俺の腕の中でフィンが無事なのを感じて、少しだけほっとした。
俺はフィンの上からどこうとしてそのまま横に寝返る。
すると、背中が床についた途端、激痛が走った。
「——ヴぁっっ!」
声にならない叫び。
誰かが俺の背中に触れないようにして抱き起す。
それが誰なのか、ぼやけと視界でも、すぐ分かった。
フィンだ。
彼の顔が、こんなにも苦しそうに歪むのを初めて見た。
「バカだ……! なんで、私をかばうんだ……っ!」
「……だって、俺……フィンが……傷つくのは、嫌だから……」
それだけ言うのが、俺は精一杯だった。
喉の奥から血の味がした。
——俺は、また空回りしてるのかもしれない。
でも、これでいい。
俺はやっと、フィンを守れた。
「エリゼオ——っ!」
フィンが叫ぶ声が聞こえた。
普段の穏やかな声ではなく、焦燥と恐怖のにじんだ、掠れた声だった。
彼はそのまま俺を抱きかかえて、ソファの影へ身を隠す。
ガルディアの剣が、残っていた刺客たちを一瞬で沈めていく音が聞こえる。
鋼のぶつかり合う音が止むと同時に、部屋の中は信じられないほど静かになった。
視界の端で、血が広がる。
それが誰のものなのかを理解した途端、俺の視界は暗くなっていく。
「エリゼオ、聞こえる? しっかりして……!」
背中から胸の奥に向かって熱が広がって、息をするたびに痛みが走る。
でも、近くでフィンの声がする。
その声がある限り、俺は大丈夫な気がした。
「大丈夫、だよ……。俺……フィンが、無事で……」
「喋るな!」
フィンの声が震えていた。
いつも冷静な彼が、こんなに取り乱すなんて。
震える指先が俺の頬をなぞり、俺の髪をかき上げていく。
「どうして……どうしてお前が。私が守るはずなのに……」
フィンの手が、俺の手を強く握りしめた。
その力が、痛いくらいに必死で。
俺は少し笑って、彼の頬に指を伸ばした。
「俺、フィンをを守りたかった……だって、あの騎士団の、訓練で、フィンは……俺を、守ってくれた、だろう?
俺だって……ただ、それだけ……」
それだけ言って、もう声が出なくなった。
重くなるまぶたを、フィンの手がそっと支えてくれる。
「エリゼオ、目を閉じるな。私を見て。
頼む、まだ行くな。……お願いだから……
私は、また君を守れないのか——っ!」
フィンの声が涙で濡れていた。
泣くなよ。フィン。
フィンは俺を守ってくれていたじゃないか。
今回、俺だって君を守れた。
それがどれだけ嬉しいか。
フィンには分かって欲しいな。
けれど、俺の思いは一つも声にならなかった。
フィンの悲痛な叫びを最後に、俺の意識は静かに闇に沈んでいった——。
266
あなたにおすすめの小説
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
欠陥Ωは孤独なα令息に愛を捧ぐ あなたと過ごした五年間
華抹茶
BL
旧題:あなたと過ごした五年間~欠陥オメガと強すぎるアルファが出会ったら~
子供の時の流行り病の高熱でオメガ性を失ったエリオット。だがその時に前世の記憶が蘇り、自分が異性愛者だったことを思い出す。オメガ性を失ったことを喜び、ベータとして生きていくことに。
もうすぐ学園を卒業するという時に、とある公爵家の嫡男の家庭教師を探しているという話を耳にする。その仕事が出来たらいいと面接に行くと、とんでもなく美しいアルファの子供がいた。
だがそのアルファの子供は、質素な別館で一人でひっそりと生活する孤独なアルファだった。その理由がこの子供のアルファ性が強すぎて誰も近寄れないからというのだ。
だがエリオットだけはそのフェロモンの影響を受けなかった。家庭教師の仕事も決まり、アルファの子供と接するうちに心に抱えた傷を知る。
子供はエリオットに心を開き、懐き、甘えてくれるようになった。だが子供が成長するにつれ少しずつ二人の関係に変化が訪れる。
アルファ性が強すぎて愛情を与えられなかった孤独なアルファ×オメガ性を失いベータと偽っていた欠陥オメガ
●オメガバースの話になります。かなり独自の設定を盛り込んでいます。
●最終話まで執筆済み(全47話)。完結保障。毎日更新。
●Rシーンには※つけてます。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる