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24.そういうことだったのか……
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昨日の舞踏会で一人通されたあの部屋に、俺はまた呼ばれて座っていた。
テーブルの上には、昨日と同じようにおいしそうな紅茶とお菓子が並んでる。
昨日と違うのは、フィルベルト殿下がにこやかに目の前に座っていること。
そして、昨日は扉の前にいたガルディア団長が、今はフィンの斜め後ろに控えていた。
相変わらず無表情だし、置物みたいに気配がないんだけどさ。
俺、どうなるんだろ?
ここでひっそり断罪される、なんてことないよね?
とりあえず、サーラのお母さんの形見の靴を返してもらわないと。
俺はそのために来たんだしな。
それに、昨夜の舞踏会でサーラの代わりに俺が来てしまったことも謝らないとだ。
「あ、あの……!」
俺が勇気を出して口を開いた瞬間、俺はフィルベルト殿下が見覚えのあるハンカチを手にしているのに気付いた。
え、あれって、俺が刺繍したやつだ。
しかも、デザイン失敗して、捨てたやつじゃん!
なんでそんなの持ってるんだよ?
俺の視線に気付いたフィルベルト殿下は、にっこりと笑って、そのハンカチを口元に持っていき、キスをしてみせてくる。
何でだよ!
何でそんな大切そうに扱うの!?
「君の刺繍したものは、全て私が持っているからね。
捨てたりなんか、させないよ。たとえ君であってもね」
こんなん、恋人をくどく台詞じゃんか。
なんでサーラじゃなくて俺に言ってんの!?
おれ、そんなこと言われ慣れてないから、どう反応して良いか分からないよ!
「な、なんでそんな捨てようとしたハンカチまで持ってるんですか!?」
「ふふ、君の義妹さんから聞いてないかな?
君が作ったものは全て私が買い取るから、持ってきてと伝えてあったんだ」
え?
そんなの初耳だよ。
「だ、だって、これは騎士団のために作ってくれってサーラに言われて……」
「ふーん。エリゼオが私に叱られたって落ち込んでるってサーラ嬢は言っていたから。
私の名前を出すと、君がまた落ち込むとでも思ったのかもしれないな。
これは、私がサーラ嬢を通して依頼していたんだ。
全て私が買い取ってあるよ。
そばにいないのが寂しいのは、君だけじゃ無い。私もだからね。君の刺繍だけでもそばに置きたかった。
君の温もりが残っているような気さえするこのハンカチには、ずいぶん助けられたよ」
な、何言ってんだよ!
俺なんかいなくたって、フィルベルト殿下にはサーラがいるじゃないか。
もしかして。
サーラから買い取ることを理由にして、サーラと会話していたのかな。
サーラは名前を口に出せないほど、推しのこととなると奥手だもんな。
理由があれば、サーラも話しやすいのかも。
でもさ。
二人は両想いなんだし、これから結婚するつもりなんだろう?
それなら、こんなことしなくてもいくらでも話すことなんかあるじゃ無いか。
「なんでこんな、めんどくさいことするんだよ……」
思わず口をついて出てしまった。
その言葉にフィルベルト殿下は笑顔を消して、ちらっとガルディア団長を見る。
団長は扉の方へ向かい、扉を開けて廊下を確認する。
それから扉を静かに閉じ、扉の前を守るようにして立った。
そのあとは、また置物に戻る。
なんでこんな気配無いんだろ。
忍びなのか?って思うくらいだよ。
フィルベルト殿下は、それを見届けたあと、俺をまっすぐとらえた。
緊張感のあるその雰囲気に、俺も慌てて背筋を伸ばした。
「何も知らせずに、今回エリゼオを巻き込んでしまって悪かった。
けれど、君に伝えて、断られたらと思うと話せなかった」
フィルベルト殿下の膝の上で、手が強く握りしめられるのが見えた。
あ、フィルベルト殿下は俺が言った「めんどくさいこと」というのがハンカチのことじゃなくて、舞踏会のことだと思ったのか。
フィルベルト殿下の勘違いに気付いたけど、舞踏会のことも説明してほしいと思っていたから、俺はそのまま殿下の話を聞くことにした。
「私の婚約者が、皆解消されているという話は聞いたことはあるか?」
俺がうなずくと、フィルベルト殿下は目を伏せて、少しだけ声を落とした。
「これだけは誤解してほしくないんだけどね。
私の性格に問題があるとか、そういうことじゃないんだ。
婚約が決まるたびに、婚約者が事故や病に見せかけた襲撃に遭うんだ。
だから皆、怯えてしまってね。
それで、私とは婚約を解消して他国との政略結婚という形で、この国を逃げ出しているんだよ」
なにそれ。
そんなことがこの国で起きてたなんて。
ずっと平和な国だと思ってたのに。
フィン、ずっとそんな中にいたのか。
すごくつらかっただろうな。
俺はフィンの境遇を考えると、胸のあたりがぎゅっと痛くなる。
それでも、フィルベルト殿下は笑っていた。
「でも、そのおかげで今は、自由に婚約者を選ばせてもらえることになったんだ。この国は二十五歳までに結婚をしないと、王にはなれないからね。私はもう二十三歳だから、結構ギリギリなんだよ」
あ、そういうことか。
普通なら男爵家の娘が第一王子の婚約者になれるわけないもんな。
けど、今なら結婚できるってことか。
なるほどね。
よかったなあ、サーラ。
今度こそ、俺は「いもうと」の幸せを俺は見届けられるんだ。
……やったじゃん。
もっと喜べよ俺。
俺がもやもやとしていると、フィルベルト殿下は、さらに言葉を続けた。
「本当は婚約者になる前に、この黒幕を見つけたかった。
もともと、私が騎士団に出入りしていたのも、この調査のためだったんだ。
けれど、なかなか難しくてね。
だから今回の計画を立てた。
君に女装をしてもらって、“誰が婚約者か分からないように”した」
……つまり俺、囮ってことだな。
俺が表に出て、サーラを安全に隠す。
事件が片付いたら、フィルベルト殿下はサーラと結婚。
なるほど、完璧な作戦だ。
さすがだな。
「エリゼオには、今後は男性の姿で王宮にいてもらう。
敵は女性の婚約者を探してるはずだからね。
でも、そんな人物はどこにもいない。
舞踏会で出会った女性と婚約した。
神話の『チェネレントの靴』を再現することで、この国の発展を図る。そのために、神話と同じように結婚するまでは女性の身元は謎のままとしておく。
そう皆に伝えるだけで、君や君の家族の安全は守られるはずだ」
……すごい。サーラを守るためにここまで考えてたなんて。
俺もフィンの期待に応えたい!
俺も頑張らないと。
俺を頼ってくれるなんて、嬉しいじゃないか。
ふいに殿下が少し身を乗り出して、俺の手を包み込む。
温かい手だった。けれど、胸が痛いほどドキリとした。
「失うのは……もう、嫌なんだ」
え……?
あ、今までずっと婚約者を手放してきたんだもんな。
そう思っても仕方ないよ。
でもさ。
やめてよ、そんな顔で言うの。
勘違い、しそうになるじゃんか。
俺を失いたくないって思ってるんじゃないかって。
目の奥が熱くなる。
でも、俺、決めたんだ。
「やるよ。俺、殿下のためなら、なんだって頑張るから!!」
思い切りそう言ったら、フィルベルト殿下はふっと微笑んだ。
「ありがとう、エリゼオ。……君がいてくれたことで、私は本当に救われたんだ」
その声がやけに優しくて。
俺は胸を押さえながら、視線を落とした。
勘違いだって、分かってるのにな。
テーブルの上には、昨日と同じようにおいしそうな紅茶とお菓子が並んでる。
昨日と違うのは、フィルベルト殿下がにこやかに目の前に座っていること。
そして、昨日は扉の前にいたガルディア団長が、今はフィンの斜め後ろに控えていた。
相変わらず無表情だし、置物みたいに気配がないんだけどさ。
俺、どうなるんだろ?
ここでひっそり断罪される、なんてことないよね?
とりあえず、サーラのお母さんの形見の靴を返してもらわないと。
俺はそのために来たんだしな。
それに、昨夜の舞踏会でサーラの代わりに俺が来てしまったことも謝らないとだ。
「あ、あの……!」
俺が勇気を出して口を開いた瞬間、俺はフィルベルト殿下が見覚えのあるハンカチを手にしているのに気付いた。
え、あれって、俺が刺繍したやつだ。
しかも、デザイン失敗して、捨てたやつじゃん!
なんでそんなの持ってるんだよ?
俺の視線に気付いたフィルベルト殿下は、にっこりと笑って、そのハンカチを口元に持っていき、キスをしてみせてくる。
何でだよ!
何でそんな大切そうに扱うの!?
「君の刺繍したものは、全て私が持っているからね。
捨てたりなんか、させないよ。たとえ君であってもね」
こんなん、恋人をくどく台詞じゃんか。
なんでサーラじゃなくて俺に言ってんの!?
おれ、そんなこと言われ慣れてないから、どう反応して良いか分からないよ!
「な、なんでそんな捨てようとしたハンカチまで持ってるんですか!?」
「ふふ、君の義妹さんから聞いてないかな?
君が作ったものは全て私が買い取るから、持ってきてと伝えてあったんだ」
え?
そんなの初耳だよ。
「だ、だって、これは騎士団のために作ってくれってサーラに言われて……」
「ふーん。エリゼオが私に叱られたって落ち込んでるってサーラ嬢は言っていたから。
私の名前を出すと、君がまた落ち込むとでも思ったのかもしれないな。
これは、私がサーラ嬢を通して依頼していたんだ。
全て私が買い取ってあるよ。
そばにいないのが寂しいのは、君だけじゃ無い。私もだからね。君の刺繍だけでもそばに置きたかった。
君の温もりが残っているような気さえするこのハンカチには、ずいぶん助けられたよ」
な、何言ってんだよ!
俺なんかいなくたって、フィルベルト殿下にはサーラがいるじゃないか。
もしかして。
サーラから買い取ることを理由にして、サーラと会話していたのかな。
サーラは名前を口に出せないほど、推しのこととなると奥手だもんな。
理由があれば、サーラも話しやすいのかも。
でもさ。
二人は両想いなんだし、これから結婚するつもりなんだろう?
それなら、こんなことしなくてもいくらでも話すことなんかあるじゃ無いか。
「なんでこんな、めんどくさいことするんだよ……」
思わず口をついて出てしまった。
その言葉にフィルベルト殿下は笑顔を消して、ちらっとガルディア団長を見る。
団長は扉の方へ向かい、扉を開けて廊下を確認する。
それから扉を静かに閉じ、扉の前を守るようにして立った。
そのあとは、また置物に戻る。
なんでこんな気配無いんだろ。
忍びなのか?って思うくらいだよ。
フィルベルト殿下は、それを見届けたあと、俺をまっすぐとらえた。
緊張感のあるその雰囲気に、俺も慌てて背筋を伸ばした。
「何も知らせずに、今回エリゼオを巻き込んでしまって悪かった。
けれど、君に伝えて、断られたらと思うと話せなかった」
フィルベルト殿下の膝の上で、手が強く握りしめられるのが見えた。
あ、フィルベルト殿下は俺が言った「めんどくさいこと」というのがハンカチのことじゃなくて、舞踏会のことだと思ったのか。
フィルベルト殿下の勘違いに気付いたけど、舞踏会のことも説明してほしいと思っていたから、俺はそのまま殿下の話を聞くことにした。
「私の婚約者が、皆解消されているという話は聞いたことはあるか?」
俺がうなずくと、フィルベルト殿下は目を伏せて、少しだけ声を落とした。
「これだけは誤解してほしくないんだけどね。
私の性格に問題があるとか、そういうことじゃないんだ。
婚約が決まるたびに、婚約者が事故や病に見せかけた襲撃に遭うんだ。
だから皆、怯えてしまってね。
それで、私とは婚約を解消して他国との政略結婚という形で、この国を逃げ出しているんだよ」
なにそれ。
そんなことがこの国で起きてたなんて。
ずっと平和な国だと思ってたのに。
フィン、ずっとそんな中にいたのか。
すごくつらかっただろうな。
俺はフィンの境遇を考えると、胸のあたりがぎゅっと痛くなる。
それでも、フィルベルト殿下は笑っていた。
「でも、そのおかげで今は、自由に婚約者を選ばせてもらえることになったんだ。この国は二十五歳までに結婚をしないと、王にはなれないからね。私はもう二十三歳だから、結構ギリギリなんだよ」
あ、そういうことか。
普通なら男爵家の娘が第一王子の婚約者になれるわけないもんな。
けど、今なら結婚できるってことか。
なるほどね。
よかったなあ、サーラ。
今度こそ、俺は「いもうと」の幸せを俺は見届けられるんだ。
……やったじゃん。
もっと喜べよ俺。
俺がもやもやとしていると、フィルベルト殿下は、さらに言葉を続けた。
「本当は婚約者になる前に、この黒幕を見つけたかった。
もともと、私が騎士団に出入りしていたのも、この調査のためだったんだ。
けれど、なかなか難しくてね。
だから今回の計画を立てた。
君に女装をしてもらって、“誰が婚約者か分からないように”した」
……つまり俺、囮ってことだな。
俺が表に出て、サーラを安全に隠す。
事件が片付いたら、フィルベルト殿下はサーラと結婚。
なるほど、完璧な作戦だ。
さすがだな。
「エリゼオには、今後は男性の姿で王宮にいてもらう。
敵は女性の婚約者を探してるはずだからね。
でも、そんな人物はどこにもいない。
舞踏会で出会った女性と婚約した。
神話の『チェネレントの靴』を再現することで、この国の発展を図る。そのために、神話と同じように結婚するまでは女性の身元は謎のままとしておく。
そう皆に伝えるだけで、君や君の家族の安全は守られるはずだ」
……すごい。サーラを守るためにここまで考えてたなんて。
俺もフィンの期待に応えたい!
俺も頑張らないと。
俺を頼ってくれるなんて、嬉しいじゃないか。
ふいに殿下が少し身を乗り出して、俺の手を包み込む。
温かい手だった。けれど、胸が痛いほどドキリとした。
「失うのは……もう、嫌なんだ」
え……?
あ、今までずっと婚約者を手放してきたんだもんな。
そう思っても仕方ないよ。
でもさ。
やめてよ、そんな顔で言うの。
勘違い、しそうになるじゃんか。
俺を失いたくないって思ってるんじゃないかって。
目の奥が熱くなる。
でも、俺、決めたんだ。
「やるよ。俺、殿下のためなら、なんだって頑張るから!!」
思い切りそう言ったら、フィルベルト殿下はふっと微笑んだ。
「ありがとう、エリゼオ。……君がいてくれたことで、私は本当に救われたんだ」
その声がやけに優しくて。
俺は胸を押さえながら、視線を落とした。
勘違いだって、分かってるのにな。
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