追放ご令嬢は華麗に返り咲く

歌月碧威

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VS公爵令嬢(終)2

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 「取り巻きのご令嬢のお二人。顔はちゃんと覚えさせて頂きました。私、嫌な事に関しては記憶力が良いんです。ずっと覚えていますよ?」
 そう告げれば、彼女達はぴたりと足を止める。


「エスカ、ティアナ様に謝罪をするんだ」
「いやよ。私は公爵令嬢よ。しかも、前々王の姪なんだからね! たかが伯爵令嬢になんて負けない」
 プライドが高いから絶対に謝るということはしたくはないのだろう。
 逆切れして人を引っ叩こうとしたり、王女を一々思い出す人だ。

「ティアナ様、娘のしたことは親の責任です。大変申し訳ありませんでした。どうか、取引に関しては寛大な処置を。ご存じのとおり、事業にかなりの規模の資金を投入しています。商会との取引を打ち切られてしまえば、公爵家は終わってしまいます。何より従業員の生活が……」
 グロム様がエスカ様の代わりに深々と頭を下げるが、私が怒っているのは商会を侮辱された件だけではない。


 もう一つある。メディの件だ。


「グロム様の謝罪は結構ですわ。私が必要としているのは、エスカ様達の謝罪。しかも、商会やハーブの問題だけではなく他の問題についてもですわ」
「もう一つですか。他にエスカは何を……?」
「ねぇ、エスカ様。勿論、貴方はお分かりですわよね。そちらにいらっしゃるエスカ様のお友達の皆さんも」
 私が扇子で扇ぎながら目を細めてエスカ様と取り巻きのご令嬢を見れば、彼女達は首を左右に振ってお互い身を寄せ合って小さく震えあがる。

 どうやらエスカ様達はメディの事は、グロム様に知られたくないようだ。
 無理もない。国王の妹君であるメディへ意地悪なことをしてきたのだから。


「私への謝罪は結構。商会とメディへ謝罪を」
「メディ様にも何かしたのか!?」
 予想外だったようでグロム様は頭を抱えだす。
 グロム様はエスカ様の両肩を掴むと前後に揺さぶり追求すれば、彼女は渋々唇を開く。


「だって、目障りだったんだもの。いわくつきの王妃の娘が偉そうに」
「エスカ。君には失望したよ。屋敷には入れない。このまま、ジャージズ伯母上が管理している南ラオ修道院に行くんだ」
「絶対に嫌だわ。南ラオなんて規律が厳しい所で有名じゃないの」
「じゃあ、好きな所に行けば良い」
 グロム様の最後通告に対して、エスカ様が目を大きく見開く。


「お父様……?」
「君が反省をする機会を自ら失うのならば、縁を切らせて貰う」
 強い口調のグロム様の言葉に、エスカ様は唇を噛みしめ瞳から雫を伝わせた。


「君達もエスカと共に行くんだ。君達の両親には私から話をしよう」
 今度はグロム様が取り巻きのご令嬢達の方を見て厳しい声で告げれば、彼女達も泣き出してしまう。
 取り巻きのご令嬢の両親にも話をしようと思っていたのでちょうど良い。

「本当に申し訳ありません、ティアナ様。娘は私が責任もって更生させます。メディ様にもご迷惑をおかけしました。エスカを二度とメディ様の前には現れさせません。エスカ達を修道院に連れて行ってから、謝罪はまた改めて伺わせて頂きます」
「心を入れ替えて下さるのを期待しています」
 グロム様は深々と頭を下げると、窓を開けてエスカ様達を連れ出す。


 彼女達が纏っていた華やかなオーラはとっくに消え、三人背を曲げ、俯きながらおぼつかない足取りで進んでいく。
 四人の姿がパーティーの人混みに溶け込み完全に視えなくなると、メディが膝から崩れ落ちてしまう。


「メディ!」
 みんな一斉に屈み込んでメディを見れば、メディが両手で顔を覆い声を上げて泣きだしてしまった。
 きっと緊張の糸が切れたのだろう。


「メディ、今日はもう部屋で休むんだ。立てるか?」
 ライがメディの頭を撫でながら慰めると、メディが首を左右に振る。
 動けないメディをライが腕を伸ばして運ぼうとしたが、メディが縋ったのはレイガルド様。
 震える指先を伸ばし、レイガルド様の袖をぎゅっと握り締めた。

 ライは察したのか、レイガルド様の方を見て頭を下げた。


「申し訳ないが、メディを部屋までお願いしても構いませんか?」
「勿論です。俺が部屋まで送り届けますのでご安心を。エスカ様の件は大丈夫だと思いますが、一応護衛にコルタを付けます」
 レイガルド様は腕を伸ばすとメディを優しく抱きあげた。
















 パーティーも無事終了。
 メディの元へ顔を出そうと思ったが、今は一人になりたいのかもしれないとそっとしておくことに。

 明日の朝にメディの元へ行くことにし、私はドレスからシンプルなワンピースに着替えて庭園へ。
 眠るにはまだ早い時間なので、星を見ようと思って。


 夜の庭園はひっそりと静まり返っていたけど、所々蛍のような淡い光が浮かんでいる。
 近づけば球体が浮かんでいて、それが発光しているようだった。
 もしかしたら、魔術が施された道具なのかもしれない。


 私は水の音に誘われ庭園を突き進み、噴水の元へ向かう。
 時間が時間のためか、私以外は誰もおらず貸し切りだ。


「ファルマは庭園も広いなぁ」
 私がぽつりと零しながら噴水の縁へと腰を落として天を見上げれば、黒いヴェールに覆われた空が視界に飛び込む。
 天には力強く輝いている星々が散らばっていた。


 ファルマでも充分星が綺麗だなぁと思っていると、人の気配と共に足音が近づいて来てしまったため、私は条件反射で立ちあがり、音の発生源へ顔を向ける。
 すると、段々と人影が浮かび上がり、その人物は聞き慣れた声で私の名を呼んだ。


「――ティア?」





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