20 / 57
王道展開というやつ3
しおりを挟む冬至だ、と認識した瞬間、なぜか安心した。
「冬至。」
「あぁ、桜庭か。お前がいながらなんなんだこの状況は。」
若干息をきらして問いかけてくる冬至に、なんと答えるべきか迷う。
ついさっき見た、ありままの光景をそのまま伝えた方がいいのだろうか。
だけど、俺も詳しくは把握できていない。あの瞬間の一瞬の出来事しか、俺は見ていないのだから。
うまく説明できずうなだれる俺に冬至はため息をはきだした。
「まぁ、いい。お前の話はあとで聞く。......おい、お前ら。これ以上ここで迷惑行為を働くつもりなら一緒に風紀室へきてもらうぞ。生徒会役員もだ。」
「え、やだ。ありえない。俺帰る。悠も一緒に帰ろぉー。」
「.....あぁ。」
「なぜ私たちが追い出されなければいけないんですか! だいたい会長が!」
「あっ! しのだーっ!!」
副会長の声を遮った主。
それがこちらに駆けてくるのが見える。
あー、もう惜しかったのに。最後の最後で見つかってしまったようである。
全速力でかけてくる転校生の背後には、やはり凄い形相をした副会長がみえた。こわいんだよなー。
「おー、しの久しぶり!」
「うん、久しぶり。」
突進してきた転校生にむけて返事をした俺に、冬至の渋い顔が向けられる。
「こいつと知り合いか?」
「うーん、知り合いではあるね。」
冬至の質問に曖昧な返事をしたとき、転校生の厚メガネが冬至を捉えた。
「ん? 誰だお前? なんかかっこいいな!」
「あ?」
冬至に向けてのいきなりのタメ語に驚く。この子、勇気あるな。
それにカッコいいって。
「なにを言っているんですか、太陽。こんなのより私の方がいいにきまっています。」
「え、いや、三色も綺麗だぞ! でもカッコいいのとは違うんだ! カッコいいっていうのは理巧みたいな......。」
そう言って、唇を撫でる転校生の頬は赤いような気がしないでもない。長すぎる前髪のせいでほとんど表情がみえないのだ。
「おい、お前ら帰るぞ。めんどくせぇのはごめんだ。」
いつの間にこちらへ来ていたのか、そう溢し、転校生の脇を通りすぎようとした会長に冬至の眉間のしわがよる。
「あぁ、そうだ。そうだ。さっさと帰るんだな。そしてできれば貴様はもうでてくるな。」
「ああ?」
「あ?」
一触即発のむーど。
一体なんのためにここへきたのか忘れているような冬至に近づき肩に触れる。
「冬至、さきに生徒たちを教室に帰さないと。もう授業が始まっちゃうよ」
「......あぁ、分かってる。」
ふーっと息を吐き出し落ち着いたような冬至に一安心。
会長はどうだろうかと後ろを振り返ろうとして、頭をよぎるのはさっきの出来事。なぜこんなに動揺しているのか自分でもわからない。ただ、見たくなかった。
あんな光景。
「桜庭?......おい、どうした。」
「え、あ、......ごめん。」
顔をあげれば冬至の顔が目の前に。
いまだわーわー、とうるさい転校生と生徒会役員と共に食堂をでていく会長。無意識に目でおってしまう。
「おい、お前体調でもわるいのか? ぼーっとして。」
俺を心配しているような冬至に適当な返事を返して、動くようになった身体ですぐ傍の椅子に座った。
「はぁ......。」
「おい!?」
「あー、なんでもないから大丈夫。」
へらり、と笑ってみせ、気にせず自分の仕事をしろと視線を送る。
「お前もさっさとこいよ。」
「うん。」
颯爽と去っていく後ろ姿をみて、身体の力をぬく。
取り合えず、このいろいろとぐちゃぐちゃな頭と心を整理したい。
冬至には悪いけど、今日はもう部屋に戻ろう。
冬至にはまた今度怒られるとして、今はバレないようにそっーと。
そう考えて、立ち上がり、3秒後。
さっきとは違う、こちらに突進してくる人影を発見。あれは………、
「さくら、ふぁ......!?」
「先輩、しーしー! 静かにしてっ。」
まだたくさんいる観衆のなかから出てきた愛先輩の口を急いでふさぐ。
もう今のでばれてしまったかもしれないが、こんな時は逃げるが勝ちだ。
先輩が小柄で本当によかった。
「愛先輩、静かにしててくださいよ。」
「んー!」
文句ありげな表情をつくる先輩の唸り声を肯定と受け止めて、腕にだき食堂をでる。
先輩軽いなーと新発見に驚きながら、少し離れた廊下の陰に先輩をおろした。
23
あなたにおすすめの小説
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
小石の恋
キザキ ケイ
BL
やや無口で平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。
助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。
なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。
果たして律紀は逃げ切ることができるのか。
笑って下さい、シンデレラ
椿
BL
付き合った人と決まって12日で別れるという噂がある高嶺の花系ツンデレ攻め×昔から攻めの事が大好きでやっと付き合えたものの、それ故に空回って攻めの地雷を踏みぬきまくり結果的にクズな行動をする受け。
面倒くさい攻めと面倒くさい受けが噛み合わずに面倒くさいことになってる話。
ツンデレは振り回されるべき。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる