王様のナミダ

白雨あめ

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思い込みほど恐ろしいものはない

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授業中の体育館裏。


互いの顔を見合わせ、今にも殴り合いのケンカを始めそうな生徒が3人。

構図は、2対1と予想の範囲であって、やはりというかなんというか。窓の向こうから見えた黒髪の1年生は転校生に間違いなさそうだ。

「あんたっ、調子にのってんじゃないよ! あんたなんてあの人たちと釣り合うわけないじゃん!」

「は? そんなんしんねぇし!! 俺たちは友達だ!!」

風紀委員としての責任と、少しの興味で来てしまったけど、このまま帰っていいだろうか。

残念なことに、俺は肉体派ではない。
あー、もうどうしよう。

思わず天を仰ぐ。
全然気づかなかったけど、今日は快晴だったらしい。太陽の光がじりじりと熱い。


「友達だって!? ふざけんな! 他の役員の方々はしらないけどっ、会長様は迷惑してらっしゃる!」

聞こえてきた会長、という単語に転校生以外の生徒が会長の親衛隊の子たちだとわかる。

取り合えず冬至に連絡しよう、とポケットに入れた携帯をとりだす。すぐに来るのは無理でも、連絡しておくに越したことはないだろう。

メールより電話の方が早い。

冬至の電話番号を至急探して、タップする。コール音が聞こえる前に視線を上げた先で、


「迷惑なわけないだろ!! 俺たちは友達だ! お前らみたいに遠巻きで見てるやつらばっかだからアイツらに友達ができないんだろ!!」

「なっ」

「お前らのせいだぞ!!」 


親衛隊の子が怯んだ隙に、胸ぐらを掴みあげる転校生。


......ヤバイかも。


そう思ったのと同時、携帯を投げ捨てて走り出す。

転校生が右腕を振り上げたのが見えた。

あっ。まっ、


走って二人の間に割り込む。

それからはもう、反射で。




ーーーー~っ!



一瞬、目の前が揺れた。


「いたっぃ。」

頬がじんじんと痺れたようにいたい。口のなかは明らかな血の味で。

想像していたよりもすごい衝撃に、頬をおさえる。離れていった転校生の手を見て、そうきたか、と素直に納得した。

まさか、グーとは。

勝手に平手打ちと思っていた俺も悪いけど、まさかグーとは。

これは、痛いはずだ。

よろける身体に足を踏ん張って、固まって動かなくなった三人を見る。

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