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心の行方4
しおりを挟む「俺は。冬至に、兄さんの代わりになってもらいたいわけじゃない。」
「ぁ、」
「俺にはちゃんと兄さんがいるし、もう仲直りもした。もう兄さんはいらない。」
冬至の瞳が揺れる。
「だから。だから、冬至の本当を教えてほしい。」
「......さくら、ば」
口元がもごもごと動く。何か言葉を探しているのか、だけれどそれはなかなかでてこない。
「お、......おれは、」
「ごめん。もう行く。また後で聞くから。」
「は............?」
「早く会長を追いかけないと。」
「は、あ、ちょっ」
後ろから聞こえてくる声を無視して、ドアに走る。
ぶつかる勢いでそれを押しやって、冬至が走ってくる前に、ドアを思いっきり閉めた。
「おいっ! 桜庭っ! お前ほんとにっ。」
「そうだよ! 俺は会長が好きなんだ!」
あれこれ考えるのはもうやめる。
会長が泣いていた。
会長が泣いていたんだ。
あの日みた夢みたいに。
嫌われたって、避けられたって。俺はそんな会長を放ってはおけない。
「じゃあちゃんと考えといてよ!」
ドア越しにそう叫んで、右、左。
左右の廊下を確認する。
だが、やはり。もう会長の姿は見えない。
いったいどこへいったのか。
無難なところと言えば生徒会室だけど、あの会長があんな顔で生徒会室に行くだろうか。ここからは渡り廊下を使わないといけないし、誰かに見られる可能性もある。
となると、生徒会室より遠い寮はないだろうし。
それならば、一体どこに。
と。
「ぁっ。」
視界の端で、何かが揺れた。
さっき風紀室へ来るときに見た大きな木。
あれはなんの木だっただろうか。
もう花は散っていて。
「会長......。」
足を動かす。走りだす。
ここで考えていても仕方ない。
早く、早く見つけ出さなければ。
この手が届くならすぐに。
彼は、泣いていたのだから。
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