41 / 57
※
しおりを挟む
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
桜が散っていた。
少し遅い入学式に、本校舎の裏。
彼は俺に背を向け、同じ中等部の制服を着て。
......1年だろうか。
背丈は俺とほぼ変わらないように思える。
ここから叫んで聞こえるだろうか?
立ち入り禁止の校舎裏。少し悩んで、仕方なく近づく。
砂を擦り歩く音が、彼に俺を存在を気づかせた。
「そこは立ち入り禁止だぞ。」
さっさと出ろ。
驚いたように振り返った彼にそう付け加えて、手の甲でしっしと向こうへ行くよう指示する。
これが、犬を追い払うときにする仕草だと気づいたのはその瞬間で、もし怒りだしたら面倒だなと思いつつ、淡々彼の表情を伺う。
だけど予想外に。彼は、
「あ、ごめんなさい。俺、今日はじめて来て。......教えてくれてありがとうございます。」
そう言って、すこし恥ずかしそうに笑う彼に。
桜色の花吹雪のなか。
清々しいほど素直な笑顔に、俺は目を奪われて。
いつも探していた。
彼はどこにいるんだろうか。
いつも周りの人間に友好的で、だけどそこには薄い膜が一枚。
話しかけようと何度思っただろう。
拒絶されるのが怖くて踏み出せない。
彼のことになると、途端に弱くなる心が嫌で仕方ない。
「......ら、ば。」
名前を拾って、彼を探して。
声を聞いて、彼を探して。
足音を感じて、彼を探して。
期待した。声をかけてくれ彼に。
もしかしたら、もしかしたらと。
だけれど、それでも。
「っ、......ぁ、ふっ。」
これが現実で。
俺はいつも探すばかりで。
誰か。誰か。だれか、じゃない。
ーーーー彼がいい。
「さくら、ばっ。」
桜庭がいい。
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
桜が散っていた。
少し遅い入学式に、本校舎の裏。
彼は俺に背を向け、同じ中等部の制服を着て。
......1年だろうか。
背丈は俺とほぼ変わらないように思える。
ここから叫んで聞こえるだろうか?
立ち入り禁止の校舎裏。少し悩んで、仕方なく近づく。
砂を擦り歩く音が、彼に俺を存在を気づかせた。
「そこは立ち入り禁止だぞ。」
さっさと出ろ。
驚いたように振り返った彼にそう付け加えて、手の甲でしっしと向こうへ行くよう指示する。
これが、犬を追い払うときにする仕草だと気づいたのはその瞬間で、もし怒りだしたら面倒だなと思いつつ、淡々彼の表情を伺う。
だけど予想外に。彼は、
「あ、ごめんなさい。俺、今日はじめて来て。......教えてくれてありがとうございます。」
そう言って、すこし恥ずかしそうに笑う彼に。
桜色の花吹雪のなか。
清々しいほど素直な笑顔に、俺は目を奪われて。
いつも探していた。
彼はどこにいるんだろうか。
いつも周りの人間に友好的で、だけどそこには薄い膜が一枚。
話しかけようと何度思っただろう。
拒絶されるのが怖くて踏み出せない。
彼のことになると、途端に弱くなる心が嫌で仕方ない。
「......ら、ば。」
名前を拾って、彼を探して。
声を聞いて、彼を探して。
足音を感じて、彼を探して。
期待した。声をかけてくれ彼に。
もしかしたら、もしかしたらと。
だけれど、それでも。
「っ、......ぁ、ふっ。」
これが現実で。
俺はいつも探すばかりで。
誰か。誰か。だれか、じゃない。
ーーーー彼がいい。
「さくら、ばっ。」
桜庭がいい。
35
あなたにおすすめの小説
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】
まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。
【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜
星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; )
――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ――
“隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け”
音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。
イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
不器用に惹かれる
タッター
BL
月影暖季は人見知りだ。そのせいで高校に入って二年続けて友達作りに失敗した。
といってもまだ二年生になって一ヶ月しか経っていないが、悲観が止まらない。
それは一年まともに誰とも喋らなかったせいで人見知りが悪化したから。また、一年の時に起こったある出来事がダメ押しとなって見事にこじらせたから。
怖い。それでも友達が欲しい……。
どうするどうすると焦っていれば、なぜか苦手な男が声をかけてくるようになった。
文武両道にいつも微笑みを浮かべていて、物腰も声色も優しい見た目も爽やかイケメンな王子様みたいな男、夜宮。クラスは別だ。
一年生の頃、同じクラスだった時にはほとんど喋らず、あの日以降は一言も喋ったことがなかったのにどうして急に二年になってお昼を誘ってくるようになったのか。
それだけじゃない。月影君月影君と月影攻撃が止まない。
にこにことした笑顔になんとか愛想笑いを返し続けるも、どこか夜宮の様子がおかしいことに気づいていく。
そうして夜宮を知れば知るほどーー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる