47 / 57
【とある王道転校生の恋】
しおりを挟む
放送の終わりを告げるチャイムを聞きながら、いやに存在感のある空席を見つめる。
三色に諭され、今日も居るはずだからというので来てみればいつもの場所に彼の姿はない。
入れ違いになったのだろうか。
彼がここにいないのなら、自分がここに居る意味もない。
目に入ってくる鬱陶しい前髪を三色に触られながら、太陽は彼に初めて会ったときのことを思い出していた。
この学園に転入する前、親に勧められるまま入った学校は、所謂合わないというやつだったらしい。
入学して一ヶ月も経たずに辞めたいと言った太陽に、親はいつも通り寛大だった。
そして、それならば、と。
丁度、今年から父親の兄が理事長代理を務めるという、この学園への転入が決まった。
まるで親のように太陽を可愛がってくれる叔父。
それに負けず劣らず優しい、この学園の副会長であるらしい三色。優しい雰囲気をした、風紀副委員長の篠。
うん、以外ほとんど話さない、静かな悠。
悠といつも一緒にいる笑顔が多い、尚。
みんなみんな綺麗な顔をしていた。
そして、
「............ぇ。」
声がでなかった。
友達になった三色に連れられて、初めて来た食堂。
広いホールに、人の波の割れた先。
ーーあんな綺麗なものを、初めて見た気がした。
胸が、どくどくと締め付けられるように痛い。顔が火照ったように、熱かった。
気がつくとーーーー。
「おいっ!」
掴んでいた。
手を伸ばさなければいけないと思った。
早く、早く捕まえなければ。
早く、早く。はやく。
どうしようもなく不安だった。
自分が好きになったものが、人が。
自分を好きにならないはずがない。そうわかっていても、どうしてか落ち着かない。
何を不安に思うことがあるのか、それすら分からない。だけど、だけれど。
「......ぁっ、」
ただ、思った。
「あ、あ、あなたっ! 太陽になんてことをしているんですかっ!」
「......別に。そいつが」
自分の物にしたい、と思った。
三色に諭され、今日も居るはずだからというので来てみればいつもの場所に彼の姿はない。
入れ違いになったのだろうか。
彼がここにいないのなら、自分がここに居る意味もない。
目に入ってくる鬱陶しい前髪を三色に触られながら、太陽は彼に初めて会ったときのことを思い出していた。
この学園に転入する前、親に勧められるまま入った学校は、所謂合わないというやつだったらしい。
入学して一ヶ月も経たずに辞めたいと言った太陽に、親はいつも通り寛大だった。
そして、それならば、と。
丁度、今年から父親の兄が理事長代理を務めるという、この学園への転入が決まった。
まるで親のように太陽を可愛がってくれる叔父。
それに負けず劣らず優しい、この学園の副会長であるらしい三色。優しい雰囲気をした、風紀副委員長の篠。
うん、以外ほとんど話さない、静かな悠。
悠といつも一緒にいる笑顔が多い、尚。
みんなみんな綺麗な顔をしていた。
そして、
「............ぇ。」
声がでなかった。
友達になった三色に連れられて、初めて来た食堂。
広いホールに、人の波の割れた先。
ーーあんな綺麗なものを、初めて見た気がした。
胸が、どくどくと締め付けられるように痛い。顔が火照ったように、熱かった。
気がつくとーーーー。
「おいっ!」
掴んでいた。
手を伸ばさなければいけないと思った。
早く、早く捕まえなければ。
早く、早く。はやく。
どうしようもなく不安だった。
自分が好きになったものが、人が。
自分を好きにならないはずがない。そうわかっていても、どうしてか落ち着かない。
何を不安に思うことがあるのか、それすら分からない。だけど、だけれど。
「......ぁっ、」
ただ、思った。
「あ、あ、あなたっ! 太陽になんてことをしているんですかっ!」
「......別に。そいつが」
自分の物にしたい、と思った。
33
あなたにおすすめの小説
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
僕の王子様
くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。
無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。
そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。
見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。
元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。
※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。
三ヶ月だけの恋人
perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。
殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。
しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。
罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。
それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。
不器用に惹かれる
タッター
BL
月影暖季は人見知りだ。そのせいで高校に入って二年続けて友達作りに失敗した。
といってもまだ二年生になって一ヶ月しか経っていないが、悲観が止まらない。
それは一年まともに誰とも喋らなかったせいで人見知りが悪化したから。また、一年の時に起こったある出来事がダメ押しとなって見事にこじらせたから。
怖い。それでも友達が欲しい……。
どうするどうすると焦っていれば、なぜか苦手な男が声をかけてくるようになった。
文武両道にいつも微笑みを浮かべていて、物腰も声色も優しい見た目も爽やかイケメンな王子様みたいな男、夜宮。クラスは別だ。
一年生の頃、同じクラスだった時にはほとんど喋らず、あの日以降は一言も喋ったことがなかったのにどうして急に二年になってお昼を誘ってくるようになったのか。
それだけじゃない。月影君月影君と月影攻撃が止まない。
にこにことした笑顔になんとか愛想笑いを返し続けるも、どこか夜宮の様子がおかしいことに気づいていく。
そうして夜宮を知れば知るほどーー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる