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第一章 今日中に契約を取ってこないとクビだ! (蒼side)
1.入社半年、僕だけ契約ゼロ
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「おい、野々原っ!」
上司の鬼塚課長が、今期の契約件数を示したグラフの貼られた壁をバンッ! と叩いて僕を睨んだ。
僕、野々原蒼は法人向け大型ウォーターサーバーの製造及びレンタル販売をする、ハッピーウォーター株式会社の営業マン、なんだけど……。
「お前だけ契約ゼロとはどういうことだっ!? もっと気を引き締めて取り組めと言ったはずだよなっ!?」
課長が怒鳴るのも無理はない。同じ営業二課で働く人たちの名前の上には契約件数を示す高く伸びた棒グラフがあるのに、一件も契約が取れていない僕の名前の上だけは入社してから半年間、ずっと空白のままだ。
「……すみません。僕なりに気を引き締めて頑張っているつもりなんですけど、でも……」
「はぁ? 頑張っているだとっ!? だったらどうしてそれが数字に表れないんだよ、おかしいだろうがっ!」
顔を真っ赤にして怒鳴る鬼塚課長を前に、僕は下唇を噛んでうつむいた。
課長の言う通り、自分でも本当に不甲斐ないって思っている。
決してサボっているとか仕事に対してやる気がないとかそんなことはない。僕なりに必死に飛び込み営業を頑張ってこの結果だ。甘えかもしれないけど、そもそもどんくさくて口下手な僕には営業の仕事なんて向いていない。
僕は学生時代に交通事故で両親を亡くし、道路工事や引っ越し屋など力仕事のアルバイトをしながらどうにか大学を出た。昔からのんびりしている性格だけど背が高くて体力だけは自信があるから、製造の現場仕事か、重たいウォーターサーバーのタンクの納品などの肉体労働だったら自分を活かせると思ってこの会社を志望したのに、いざ入社してみると僕は営業職、それも新規顧客の獲得のための飛び込み営業を行う営業二課に配属されてしまったのだった。
「まったくどうしたものかっ」
課長は大きなため息をついた。
「……お前と同期入社の津田はちゃんと契約が取れていると言うのに」
近くを通りかかった津田千晴くんが前髪をさらっと撫でた。
「うふふ、鬼塚課長、いくら同期入社とはいえ、優秀な僕と比べては野々原くんが気の毒ですよ……」
そう言って彼は自信たっぷりにほほ笑んだ。
「とにかく野々原、お前はこの営業二課の足を引っ張るお荷物なんだよっ! 今日中に契約取れなかったらお前はクビだっ! わかったかっ!」
「え、そんなぁっ」
入社してから半年経って未だに契約ゼロなのに、今日急に契約が取れるわけがない。
うちの会社ってもしかしてブラック企業なのかも? でも亡き両親の残した借金と奨学金の返済に追われている僕は会社をクビになるわけにはいかない。
大学時代の就活で唯一内定をもらったのはこのハッピーウォーター株式会社だけだったから、ここをクビになったら他に雇ってくれる会社なんてないだろう。
こうなったら、どうにかして今日中に、契約を取るしかない。
会社から叩き出された僕は、手持ちの企業リストを頼りに早朝から飛び込み営業をした。
けれど、何社回っても相変わらず受付で門前払いされた。
「弊社ではアポなしで担当者に取り次ぐことはできかねます。お引き取りください」
「担当者と面識はおありですか? ……でしたら結構です! 新規営業は断るように言われておりますので」
僕は手厳しい受付嬢たちに軽くあしらわれて、担当者に会って商談することすらできないのだ。
いつの間にか外が真っ暗になっていた。企業リストは残り一社しかない。
「株式会社美麗クリエイション。主に玩具の製造販売をする会社かぁ……」
リストに記載された売上高、利益、従業員数などのデーターを見る限りでは、契約相手として申し分なさそうだ。
この一社に賭けるしかない。
上司の鬼塚課長が、今期の契約件数を示したグラフの貼られた壁をバンッ! と叩いて僕を睨んだ。
僕、野々原蒼は法人向け大型ウォーターサーバーの製造及びレンタル販売をする、ハッピーウォーター株式会社の営業マン、なんだけど……。
「お前だけ契約ゼロとはどういうことだっ!? もっと気を引き締めて取り組めと言ったはずだよなっ!?」
課長が怒鳴るのも無理はない。同じ営業二課で働く人たちの名前の上には契約件数を示す高く伸びた棒グラフがあるのに、一件も契約が取れていない僕の名前の上だけは入社してから半年間、ずっと空白のままだ。
「……すみません。僕なりに気を引き締めて頑張っているつもりなんですけど、でも……」
「はぁ? 頑張っているだとっ!? だったらどうしてそれが数字に表れないんだよ、おかしいだろうがっ!」
顔を真っ赤にして怒鳴る鬼塚課長を前に、僕は下唇を噛んでうつむいた。
課長の言う通り、自分でも本当に不甲斐ないって思っている。
決してサボっているとか仕事に対してやる気がないとかそんなことはない。僕なりに必死に飛び込み営業を頑張ってこの結果だ。甘えかもしれないけど、そもそもどんくさくて口下手な僕には営業の仕事なんて向いていない。
僕は学生時代に交通事故で両親を亡くし、道路工事や引っ越し屋など力仕事のアルバイトをしながらどうにか大学を出た。昔からのんびりしている性格だけど背が高くて体力だけは自信があるから、製造の現場仕事か、重たいウォーターサーバーのタンクの納品などの肉体労働だったら自分を活かせると思ってこの会社を志望したのに、いざ入社してみると僕は営業職、それも新規顧客の獲得のための飛び込み営業を行う営業二課に配属されてしまったのだった。
「まったくどうしたものかっ」
課長は大きなため息をついた。
「……お前と同期入社の津田はちゃんと契約が取れていると言うのに」
近くを通りかかった津田千晴くんが前髪をさらっと撫でた。
「うふふ、鬼塚課長、いくら同期入社とはいえ、優秀な僕と比べては野々原くんが気の毒ですよ……」
そう言って彼は自信たっぷりにほほ笑んだ。
「とにかく野々原、お前はこの営業二課の足を引っ張るお荷物なんだよっ! 今日中に契約取れなかったらお前はクビだっ! わかったかっ!」
「え、そんなぁっ」
入社してから半年経って未だに契約ゼロなのに、今日急に契約が取れるわけがない。
うちの会社ってもしかしてブラック企業なのかも? でも亡き両親の残した借金と奨学金の返済に追われている僕は会社をクビになるわけにはいかない。
大学時代の就活で唯一内定をもらったのはこのハッピーウォーター株式会社だけだったから、ここをクビになったら他に雇ってくれる会社なんてないだろう。
こうなったら、どうにかして今日中に、契約を取るしかない。
会社から叩き出された僕は、手持ちの企業リストを頼りに早朝から飛び込み営業をした。
けれど、何社回っても相変わらず受付で門前払いされた。
「弊社ではアポなしで担当者に取り次ぐことはできかねます。お引き取りください」
「担当者と面識はおありですか? ……でしたら結構です! 新規営業は断るように言われておりますので」
僕は手厳しい受付嬢たちに軽くあしらわれて、担当者に会って商談することすらできないのだ。
いつの間にか外が真っ暗になっていた。企業リストは残り一社しかない。
「株式会社美麗クリエイション。主に玩具の製造販売をする会社かぁ……」
リストに記載された売上高、利益、従業員数などのデーターを見る限りでは、契約相手として申し分なさそうだ。
この一社に賭けるしかない。
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